骨盤矯正のための運動・ストレッチ方法5選!プロトレーナー解説!

監修者

中嶋 沙理英

マンツーマン専門ピラティス教室LB-Cat代表/ NSCA-CPT / PHI Pilates Mat I &II / Lesmills™ BODYJAM™、CX-WORX™ /骨盤力®️認定講師

【プロトレーナー解説】エステ、整体院、スポーツクラブなど、あらゆる場所で耳にする「骨盤矯正」。骨盤を矯正するための運動・ストレッチ方法を5つ紹介します。また、そもそも骨盤矯矯正とは何なのか?骨盤が歪む原因とは?について徹底的にご紹介します。

そもそも骨盤矯正とは何?

骨盤矯正とは何か?

骨盤矯正ってなんとなく体にいい気がします!痩せたり、痛みがなくなったりいいことづくめじゃないですか!

中嶋 沙理英監修トレーナーからのアドバイス

マンツーマン専門ピラティス教室LB-Cat代表/ NSCA-CPT / PHI Pilates Mat I &II / Lesmills™ BODYJAM™、CX-WORX™ /骨盤力®️認定講師

確かに「矯正パンツを履いて普段通り生活するだけ!」や、「骨盤を整えてこんなに変わりました!」など、ネットで検索したら星の数ほどの「骨盤矯正」の方法がヒットしますよね。

骨盤さえ整えれば、人生バラ色!みたいに言われているのが現状です。
ですが、よく考えると、いったい骨盤の何を矯正しているのでしょうか?歯医者さんでやってもらう「歯並び矯正」のようなものなのでしょうか?「これが骨盤矯正です!」という明確な基準はあるのでしょうか?

基準というと、定義みたいなものですか?言われてみればそうですね。なんなんですか?

中嶋 沙理英監修トレーナーからのアドバイス

マンツーマン専門ピラティス教室LB-Cat代表/ NSCA-CPT / PHI Pilates Mat I &II / Lesmills™ BODYJAM™、CX-WORX™ /骨盤力®️認定講師

実は、明確な基準はなかったんですよ。骨盤がどんな状態なら完璧なのか、ゴールが不明確だったのですね。なので、ここでは骨盤矯正の方法を紹介する前に「骨盤矯正の基準」を明確にしていきましょう。

なるほど。ゴールが明確だと俄然やる気が出て来ますね!ぜひ教えてください!

骨盤矯正の基準

それは、「足腰に力が入るかどうか」です。
人間の体は「木」と同じです。

・根っこは人間でいうと足腰にあたります
・木の幹や枝葉は腰から上、肩、腕、首などです

つまり腰から下はシッカリと力強く、肩や首は力が抜けていてリラックスしている状態です。木や植物も根っこの部分がしっかりしていて、枝や葉っぱは風が吹いたらゆらゆら揺れますよね。
骨盤を丁寧に整えると、足腰にしっかりと力が入り、上半身がリラックスするようになります。また、整えるためには「テコの原理」を使います。

テコの原理って、小さい力で重たいものを動かすってやつですか?

中嶋 沙理英監修トレーナーからのアドバイス

マンツーマン専門ピラティス教室LB-Cat代表/ NSCA-CPT / PHI Pilates Mat I &II / Lesmills™ BODYJAM™、CX-WORX™ /骨盤力®️認定講師

そうです!「重たいものを運ぶときに、少しでも楽に運びたい」と言う発想から生まれた「技術」を私たちの体は自然とやっているんです。

骨盤矯正を行うことで得られる効果

テコの原理と人間の体

小学校で習った理科の授業を思い出してください。
人間の体はテコの原理で動いていて、その力を効率よく使えば、体は思うように動きます。
力が入る支点のバランスが整っていれば、体を効率よく使え、毎日辛い筋力トレーニッグで足腰を強くするよりも、数十倍もの差が出ます。

力が入る支点が、骨盤です。
力が入る支点(骨盤)のバランスが崩れると、人間はテコの原理を効率よく使えなくなり、限られた体の部位しか使えなくなったり、全く使わない筋肉が出てきます。
そして使わないところから脂肪が付いたり、血行不良を起こし、コリ、痛みに繋がります。

さらにダイエットしても上半身はゲッソリなのに下半身だけが太いままだったり、重い生理痛や腰痛、肩こり、便秘、冷え性に悩まされます。

テコの原理を使って骨盤周りが整えば、足腰に力が入る。そうすると体にいい影響が出てくるんですね。

中嶋 沙理英監修トレーナーからのアドバイス

マンツーマン専門ピラティス教室LB-Cat代表/ NSCA-CPT / PHI Pilates Mat I &II / Lesmills™ BODYJAM™、CX-WORX™ /骨盤力®️認定講師

そうなんです。まさに「地に足がついている状態」!どっしり地球に足をつけて生きれます。骨盤矯正を行うことで次のような効果が得られます。

骨盤矯正の効果①:肩こり・腰痛の改善

骨盤は肩こり・腰痛とも関係があります。
肩こり、腰痛の原因は様々な段階がありますが、主に関節の動ける幅が狭くなって起こります。それが血行不良を招き老廃物を溜め込み、コリや痛みになっているのです。骨盤矯正をし、骨盤周りの血行をよくすることで改善が期待されるでしょう。

骨盤矯正の効果②:生理痛の改善

骨盤底筋群が押しつぶされると、生理痛は重くなります。そこで骨盤矯正をすると、日常的に猫背姿勢や反り腰姿勢だった姿勢が改善され、骨盤底筋が押しつぶされなくなります。すると生理痛が改善されます。生理痛がつらい方は、ご自身の姿勢を見直してみましょう。

骨盤矯正の効果③:便秘の改善

骨盤矯正すると、内臓の位置がリセットされ、腸が動きやすくなるためです。
また内臓が働くようになると自律神経も安定していくため、便秘改善に効果的です。

骨盤矯正の効果④:冷え性の改善

これは、骨盤周りの筋肉が過度に緊張している状態をリセットし、血の巡りがスムーズになるからです。

骨盤矯正の効果⑤:ダイエット効果

骨盤矯正をしたら、日常の姿勢が良くなります。美しい姿勢は体の関節や筋肉の動きが全然違うため、代謝量が増えます、呼吸も深くなり、内臓の働きも活性化されますので、カロリー消費量が上がり、ダイエットの強い味方になります。

骨盤矯正の効果⑥:その他

他にも
・腸の運動が活性化され、お通じがよくなって毎日気持ちよく朝を迎えられる
・腰への負担が軽減され、歩くことが楽しくなる
・体がポカポカ温まる
・下半身やお腹がスッキリして大好きなファッションを楽しめる
など、いいことがたくさん起こります。

骨盤の役割と構造

骨盤の役割とは?

そもそも骨盤の役割ってなんですか?

中嶋 沙理英監修トレーナーからのアドバイス

マンツーマン専門ピラティス教室LB-Cat代表/ NSCA-CPT / PHI Pilates Mat I &II / Lesmills™ BODYJAM™、CX-WORX™ /骨盤力®️認定講師

一言で言うと骨盤は体を支えるとても重要な「土台」です。体重を支え、地面からの衝撃(反作用)をカバーする役割を持っています。

男性と女性とでは骨盤の形が違います。男性の骨盤は縦長です。女性は 横幅が広いです。

さらにお腹の筋肉、内臓を支えてくれていたり、体全体も支えてくれています。

立っているときは股関節で体のバランスをとります。座っているときは坐骨で体のバランスをとります。

しかしバランスをとると言っても、左右均等にはほぼなりません。

人間は内臓の付いている位置が左右で違いますので、体の作りから見ても左右差はあります。日常生活の動きや姿勢のクセでその左右差はさらに広がっていきます。

骨盤って、人体にとってかなり重要な部位なんですね。

中嶋 沙理英監修トレーナーからのアドバイス

マンツーマン専門ピラティス教室LB-Cat代表/ NSCA-CPT / PHI Pilates Mat I &II / Lesmills™ BODYJAM™、CX-WORX™ /骨盤力®️認定講師

その通りです。では次に大切な役目を担当してくれている骨盤の関節をご紹介しますね。

骨盤の構造を理解しよう

●腰仙関節
背骨(頚椎、胸椎、腰椎)と仙骨とが組み合わさっている部分です。上半身の重さが最も掛かる部分です。
●仙腸関節
靭帯でしっかりと覆われています。上下から体にかかる衝撃を吸収する能力を持ちながらも体重を支持してくれる頑張り屋さんです。
●恥骨結合
左右の寛骨と連結した部分です。線維性軟骨と靭帯で繋がっています。圧迫されたり、分離したり、上下、前後にかかるストレスをバネのように(弾性的に)伸縮吸収してくれる仕事人です。
●股関節
股関節はボールのような球体状の関節です。坐骨、腸骨、恥骨の結合部に深くカッポリと大腿骨とはまっています。そして3つの靭帯が繋いでくれています。

そんな骨盤が、「歪んでいる」と言われた人の体にどんなことが起こっているかというと・・・。

骨盤の歪みが生じる原因とは

骨盤が歪むはウソ!骨盤は歪まない!

骨盤矯正ってやっぱり素晴らしいですね!しかし、そもそも骨盤って本当に歪むのでしょうか?

中嶋 沙理英監修トレーナーからのアドバイス

マンツーマン専門ピラティス教室LB-Cat代表/ NSCA-CPT / PHI Pilates Mat I &II / Lesmills™ BODYJAM™、CX-WORX™ /骨盤力®️認定講師

結論から言うと、骨盤は歪みません。骨盤が本当に歪んだら緊急入院ですよ!

骨盤は寛骨(腸骨、坐骨、恥骨)、仙骨尾骨で構成されます。

これらを構成している骨同士が成長とともに強力にくっついていきます(骨性癒合)。

骨同士を繋いでいる関節が一つでもズレると体を支えることができなくなるために、強力な靭帯、筋肉で関節を覆っているのです。
つまり、非常に頑丈な作りをしているので、よっぽどのことがない限り本当に歪みません。歪んでいるように見えて本当は歪んでいる訳ではないのです。

「骨盤の歪み」とは本当はどういう状態なのか?

いよいよ確信に迫ってきましたね!

中嶋 沙理英監修トレーナーからのアドバイス

マンツーマン専門ピラティス教室LB-Cat代表/ NSCA-CPT / PHI Pilates Mat I &II / Lesmills™ BODYJAM™、CX-WORX™ /骨盤力®️認定講師

大きく分けてこの二つのケースが起こっていると考えられます


1.骨盤の関節可動域の位置関係が変わった
2.ホルモンの分泌で関節や靭帯が緩みすぎてしまった

「骨盤歪み」の原因①:骨盤の関節可動域の位置関係の変化

まず1は、背骨のカーブが猫背姿勢(骨盤後傾)や反り腰姿勢(骨盤前傾)などの普段の姿勢の影響で変化し、骨盤周りの傾き具合が前後左右に変化して起こるケースです。

つまり骨盤の問題ではなく、普段の姿勢が原因で、筋肉がそのまま定着し、歪んでいるように見えているんです。

「骨盤歪み」の原因②:産後女性に見られる関節・靭帯の緩み

次に2のケースです。これは産後女性の見られるケースです。女性が妊娠するとリラキシンホルモンが分泌され出産の準備のために関節や靭帯を緩めます。

女性の恥骨結合は通常3mm程度ですが、出産時に恥骨結合を1~2cmほどまで開き産道を広げます。出産したら産後に元に戻ろうとしますが、うまく戻らなかった場合、いわゆる「骨盤が歪んでいる」状態になります。< 強い痛みが残り、歩くことが困難になったり、足を持ち上げることさえ困難になります。 骨盤矯正とは、これらのケースを整えることをいいます。

なるほど。骨盤矯正の仕組みが少し理解できました。

骨盤矯正を行う方法と骨盤矯正の簡単エクササイズ5選!

大切な骨盤を整える方法とは?

骨盤の左右差や、前傾、後傾は、日常生活の「動きのクセ」や「姿勢」が原因で起こることがほとんどです。さらに、骨盤を安定させる役割を担っている腹横筋や多裂筋、骨盤底筋群などの筋力が、加齢によって低下することも一因です。

手技や機械で行う骨盤矯正などで一時的に整えても、体をバランスよく使えるようになるか?というと、はっきり「YES」とは言えません。日々の生活で自分のクセを意識したり、ご自身の力で運動を行うことがもっとも「早道」です。骨盤矯正に通われている場合は、通う頻度を少なくできるかもしれません。では習慣にしたい厳選した運動エクササイズを3つをご紹介します。

骨盤矯正の簡単エクササイズ①:股関節スクワット

股関節をきちんと働かせるためのエクササイズです。股関節に関連している下腹部周りの筋肉が使えるようになり、ぽっこりお腹が解消されます。同じく関連している太もも裏の筋肉、太もも内側の筋肉が使えるようになり、スラリとした美脚を手に入れることができたり、日常生活で腰への負担を抑えることができます。

1.足幅は腰幅に立ち、つま先を正面に向けます
2.足の付け根に手を置きます
3.その手をお腹と足の付け根で挟むように6秒間かけてお辞儀します。背中はまっすぐです 
4.元の位置に戻します 
5.反対側も同様に行います

ゆっくり10〜15回行いましょう

骨盤矯正の簡単エクササイズ②:クラム

足の付け根(股関節)の位置を外側に向けるエクササイズです。骨盤周りが前傾、後傾している状態は、付け根が内側に向きやすく、日常の動きを制限させています。このエクササイズで骨盤周りが効率よく働く力を引き出します。骨盤周りの筋肉の伸び縮みを大きくしていきます。

1.横向きで寝ます。下になっているひじを曲げて手で頭を支えます
2.両膝を曲げ、両足を揃えます 
3.下になっている脇腹を床から浮かせます

4.上になってる足を持ち上げます。カカトと足の親指はくっつけたままです。おへその向きは正面に向いていましょう

5.膝を元の位置に戻します
6.反対側も同様に行います

ゆっくり15〜20回行いましょう

骨盤矯正の簡単エクササイズ③:骨盤引き上げ

アンバランスになりがちな脇腹、ヒップが同時び動きバランスが整います。
交互の動作は、日常生活で歩くことと同じエクササイズも左右交互に行うことでより日常への影響が強くなります。

1.椅子に座り両手で椅子を掴み方を固定します。
2.膝は90度に曲げ、片方のお尻を椅子から浮かせます。この時浮かせた脚側の腰に方を近づけるように引き下げましょう
3.反対も同様に行います。

左右交互に10〜15回ずつ

骨盤矯正の簡単エクササイズ(ストレッチ)④:お尻のストレッチ

足の付け根〜お尻の筋肉への刺激で骨盤の位置のバランスが整います。

1.椅子に座り背筋を伸ばします
2.片方の足を反対側に乗せ、上体を前屈します
3.反対も同様に行います

10秒キープ、3回ずつ行いましょう。

骨盤矯正の簡単エクササイズ⑤:うつ伏せ足上げ

脚の付け根からヒップにかけての筋肉を刺激することによって骨盤位置のバランスが整います。
肘を立てたうつ伏せ姿勢の維持は、日常生活の姿勢も整えてくれます。
肩や胸の筋肉、お腹がストレッチされ、スッと伸びた姿勢を日常的に取りやすくなります。
エクササイズの時だけ骨盤が整っていても、日常生活でも整っていないければ全く意味がないのです。

1.うつ伏せになり、肘を地面につきます。
2.両膝を90度に曲げます。
3.上半身はキープしたまま、太ももを左右交互に地面から浮かせます。

20往復目安に繰り返しましょう。