下半身痩せを成功させるために|3つの原因別解消方法【プロトレーナー解説】

監修者

松永有紀

Body Control Pilates マットワークティーチャー、産前/産後インストラクター、シニアピラティスインストラクター

せっかく少し痩せたのに、なぜか脚は太くなっている気がする…。それはダイエットのやり方が悪いせい?いえ、それ以前に気を付けるべきポイントを押さえていなかったからかもしれません。下半身痩せを成功させるためにはある部分を意識することが大切です。ある部分とは?詳しく見ていきましょう。

下半身太り、3つのタイプ

食事に気を付けてダイエットをしても、上半身は貧相になって痩せてほしい下半身は痩せないんですよね…。筋トレもするとむしろ太くなるような。

松永有紀監修トレーナーからのアドバイス

Body Control Pilates マットワークティーチャー、産前/産後インストラクター、シニアピラティスインストラクター

部分痩せをしたい場合、なぜそこが太いのかの原因がわかると対策も立てやすいですよ!

全体的に体重を減らす、余分な脂肪を減らすためには「摂取カロリー < 消費カロリー」にする必要があります。そのためにはざっくりでも1日の自分の活動量を把握し、それに見合った食事量にし、有酸素運動で余分なカロリーを消費する必要があるでしょう。

さらに部分痩せをしたい場合、カロリー制限と有酸素運動だけではまずうまくいきません。太くなってしまった原因を探りましょう。そしてその原因に合わせた対策を練りましょう。今回のテーマ、下半身が太くなる原因には大きく分けて「むくみ」「脂肪」「筋肉」の3つのタイプがあります。

①下半身への血流、リンパの流れが悪い「むくみ」タイプ

水分を蓄え、たぷたぷ太って見えるこのタイプ。むくみとは血液中の水分や老廃物が染み出して皮下組織にたまった状態のこと。血流やリンパの流れが悪くなることで起こります。下半身はこの流れが悪くなりやすいためとてもむくみやすい部分です。

②下半身にたっぷりついてしまう「脂肪」タイプ

むっちりとお肉がついて太って見えるこのタイプ。セルライトなども気になります。摂取カロリー>消費カロリーとなるとあまったカロリーは脂肪となり体に蓄積されます。

特に女性はあまったカロリーを、ぱっと見て付いていることがわかりやすい皮下脂肪として蓄える傾向があり、その皮下脂肪は子宮を守り体を冷やさないように下腹、お尻、太ももにつく傾向があります。

③運動や生活習慣が原因の「筋肉」タイプ

がっしりと筋肉がついて太く見えるこのタイプ。腿の外側やお尻の大きい筋肉が発達し、太ももの骨の出っ張った部分、大転子が目立ちさらに脚を太く見せていることも。激しいスポーツをしていた人だけでなく、歩き方のクセなどでこのタイプになる人もいます。

下半身痩せを成功させるための3タイプ!

「むくみ」「脂肪」「筋肉」、それぞれ全く違う原因ですが、この3つの原因にアプローチする共通の大事な場所があります。それが股関節です。下半身痩せを成功させるのはずばりこの股関節の意識なのです!

股関節とは

3つのタイプに股関節がどう関係するかを見ていく前に、まずは股関節について確認しておきましょう。

股関節とは骨盤と太ももの骨(大腿骨)の境目です。脚の付け根、鼠蹊部とは違うことに注意しましょう。英語で股関節をhip jointと言いますが、お尻にある関節、と思ったほうが実態に近いでしょう。大腿骨の上部、骨盤にはまっている部分は丸くなっていて大腿骨頭といいます。この特殊な形のおかげで、足は前後に動くだけではなく横にも動きますし、腿を持ち上げることもできます。また股関節から脚を外側にも内側にもひねるように動かすことができます。

このように複雑な動きができる股関節なので、その動きをサポートするための筋肉も様々あります。筋肉の名前をいちいち覚える必要はありませんが、骨盤の中や外には股関節を動かす色々な筋肉がある、ということは是非覚えておいてください。

さて、下半身太り3つのタイプと股関節はどのように関係するでしょうか。順番に見ていきましょう。

①むくみタイプと股関節

股関節の近くには下半身に向かう大きな血管、大腿動脈があります。また太いリンパ管もあります。股関節の動きが悪いと血管やリンパ管が圧迫され下半身への流れが悪くなってしまいむくみを引き起こすのです。

また、股関節の動きが悪く硬いと、骨盤の下の方を前に引っ張るような形になり、骨盤が後ろに傾きます。骨盤が後ろに傾くとさらに血管やリンパが圧迫されむくみが悪化する悪循環に陥ります。

②脂肪タイプと股関節

大事な子宮を守るために、女性の皮下脂肪はもともと骨盤近辺に付きやすい傾向があります。そのため下腹やお尻、太ももの上の方は皮下脂肪がつきやすい部分です。さらに脂肪には動きが悪いところ、冷えているところに付く傾向があります。股関節の動きが悪ければその近辺、つまりお尻や太ももの上の方に付いてしまうのです。

③筋肉タイプと股関節

体はとてもよくできていて、どこかの筋肉の働きが悪いと別のどこかが代わりに頑張ってくれ、動きに支障がないようにしてくれます。これを代償動作と言います。股関節の動きが悪いとその代償として、お尻の外側や腿の外側が頑張ります。その結果、本来あるべき姿よりも筋肉が発達し、お尻や太腿の外側ががっしりしてしまうのです。
このように、股関節の動きが悪く硬いことはどのタイプの下半身太りにも影響を与えます。しかも、股関節周りの筋肉がうまく働いていないと筋肉が衰えることでお尻に厚みがなくなり、のっぺりとした残念な形になってしまいます。ということは、股関節の動きをよくし、柔らかくすることが下半身痩せには大事なポイントとなるだけでなく、ぷりっとした形のよいお尻をつくるのにも大切になってくるのです。

股関節の動きをよくするために –大腿骨頭と大腰筋の意識

完璧な動きをしている自分を想像するイメージトレーニング、スポーツ選手のものだけだと思っていませんか?実は実際に筋肉を動かさないでも、動かしているイメージをするだけで脳からの指令が筋肉に届き、実際に動かした時には劣るものの筋力がアップするというデータがあるのです。つまり、股関節の位置を正しく想像し、動いていることを想像するだけで股関節周りの筋肉のトレーニングになるのです。

股関節の位置については上でご説明した通りです。脚の付け根の鼠蹊部を股関節だと思っていた人がお尻奥にイメージを変えただけでトレーニング効果が出てくるでしょう。さらにここでは股関節を動かすイメージの助けになるような例を挙げてみましょう。

大腿骨頭の意識

太腿の骨(大腿骨)が骨盤に接している大腿骨頭は丸くなめらかです。大腿骨頭がはまる骨盤側はお椀のようにくぼんでいてやはり滑らかです。歩いたり脚を動かしたりするときはこの大腿骨頭のまわりに360度の隙間があり、くるくる滑らかに動く感じをイメージしてみましょう。

大腰筋の意識

股関節を動かす筋肉はたくさんあるというお話をしましたが、是非覚えておいていただきたい筋肉があります。それが大腰筋です。背骨の下の方、腰のあたりから骨盤の中を通り太ももの骨の内側につながっているとても長い筋肉です。この長い筋肉が脚を動かすのに重要な役割をしています。歩くときは、この腰から伸びた大腰筋が脚を動かしていることをイメージしてみましょう。余計な力が抜け、本来動くべき筋肉が働くのを助けてくれます。

意識の仕方を工夫してみる

大腰筋を「調理用のトング」のようだ、とイメージした方がいらっしゃいました。確かに、腰からトングをぶら下げてみるとまさに大腰筋です。「腰からトング!」と思えば、筋肉の名前や場所を覚えるのに苦手意識がある方も忘れないかもしれません。

股関節を「お椀とボール」とイメージした方もいらっしゃいました。大腿骨頭がボールで、骨盤側がお椀だと思うと、滑らかに動く感じをよりリアルに想像できるかもしれません。

どんなものをイメージすると想像しやすいかは人それぞれです。ここで使われている図などを眺めながらあなたの想像力を働かせてみてください。そして、歩くとき、脚を動かす時、座っているとき、寝ているとき…、そのときあなたの股関節がどんな状態か想像してみましょう。そんな習慣が、よく動く柔らかい股関節を作っていきます。

下半身痩せのためのエクササイズ2選

股関節の位置、動きのイメージができたところで、実際に股関節を動かす下半身痩せのためのエクササイズを2つご紹介しましょう。

①クラム

股関節の周りの小さい筋肉や、骨盤が余計な動きをしないことを助ける筋肉を鍛えることで、腿やお尻の太くなってほしくない筋肉が出しゃばることを防ぎます。美脚、美尻効果抜群のエクササイズです。

<やり方>
・横向きで行います
・片ひじを前に突き出すようにし腕の上に頭を乗せ、下の肩の位置を決めます
・下の肩の延長線上に骨盤を置きます
・膝を90度ぐらいに曲げ、かかとを下の肩、骨盤の延長線上に置きます
・ウエストの下には少し隙間ができるよう、肋骨を閉じるように、背骨をまっすぐにセットしましょう
・腰や胸を反らせないようにします
・上の手で骨盤を軽く押さえ、吐く息に合わせかかとを付けたまま、上のひざをゆっくり持ち上げます
・吸う息に合わせて膝を閉じます
・左右それぞれ10回ほど行ってみましょう

膝を高く上げようと頑張りすぎないことがポイントです。骨盤を動かさず、お尻奥の股関節が動いていることを感じましょう。さらに、お尻の少し上の方が引き締まる感じがすれば成功です。

②サイドリフト

クラムで意識できた股関節周りをもっと使ってみましょう。クラムの効果に加えて、さらに内腿、外腿の筋肉をバランスよく鍛える効果があります。骨盤を動かさないようにすることが大事なので、呼吸に合わせて骨盤底筋群を引き上げるようにしてみましょう。肩や首に力が入らないよう、リラックスした状態で行います。

<やり方>
・クラムの体勢から、上の脚を伸ばし骨盤の高さに上げます。膝、足の甲がまっすぐ前を向くように、股関節の周りに十分スペースがあることを意識してみましょう
・骨盤を動かさないように、吐く息に合わせてゆっくり脚をあげます。動きの起点は股関節です。ウエストが落ちやすいので注意しましょう
・吸う息に合わせて脚を下ろします
・左右それぞれ10回ほど行ってみます

どちらのエクササイズも、ただ膝を上げよう、脚を上げようとするとお尻や腿の外側の筋肉が頑張ってしまい狙った効果が出ません。太くなってほしくないところは頑張らせないように、そして股関節まわりの小さい筋肉に頑張ってもらいましょう。エクササイズを通じて股関節の動きをよりはっきり感じることで、普段の生活でもイメージしやすくなりトレーニング効果が高まります。

筋トレはかえって太くなる、と思っていたのですが、太くなるように筋肉を使っていたのかもしれません…

松永有紀監修トレーナーからのアドバイス

Body Control Pilates マットワークティーチャー、産前/産後インストラクター、シニアピラティスインストラクター

どこの筋肉を使うかのイメージがはっきりできると、余計なところを太くせず引き締めることができますよ!

下半身痩せのための簡単ケア2選

最後に、下半身痩せに導く、小さいボールを使った簡単ケアを2つご紹介しましょう。目に見える大きな効果がすぐ現れるわけではありませんが、毎日続けることで体に気を配る習慣ができ、少しづつ効果が実感できるはずです。

①お尻マッサージ

ラクロスボール(テニスボールやゴルフボールでも可)を1つ用意します。
床に座った状態で片尻を浮かせ、坐骨のきわにボールを入れます。
ボールを入れた側のひざを倒し、お尻を回して坐骨の周りを転がしましょう。
しばらく回したら坐骨の後ろ(背中側)にボールを置き、骨盤を後ろに傾けます。痛気持ちいい程度でストップし、出来そうだったら倒している膝を立てたり、また倒したり、お尻の下にボールを入れたまま脚を動かしてみます。

数回動かしたらボールを抜いて、体育座りをしてみましょう。ボールでほぐした方のお尻が柔らかく、床との設置面積が大きくなっていることが感じられるでしょう。
反対側のお尻も同じようにしてほぐします。

お尻をマッサージすることで血流、股関節の動きもよくなりセルライトを防ぎます。どのタイプの下半身太りにも効果があります。

②足裏マッサージ

片脚づつ行います。
まずはかかと部分でボールをぎゅっぎゅっと踏みましょう。何か所か踏みます。
かかとから親指(拇指)の付け根にかけて、ぎゅーっと老廃物を押し出すようにボールを転がします。何回か転がしたら今度はかかとから小指の付け根にかけて同じように転がします。
次に指の付け根のふくらみ、親指側から小指側にかけて(拇指球から小指球にかけて)ボールを何度か転がします。
最後に土踏まず全体を痛気持ちいい程度に転がしましょう。

足裏がほぐれ、足裏全体で地面を押せるようになると脚の筋肉のバランスが整い、股関節にも影響します。また血流もよくなり、どのタイプの下半身太りにも効果があります。

松永有紀監修トレーナーからのアドバイス

Body Control Pilates マットワークティーチャー、産前/産後インストラクター、シニアピラティスインストラクター

部分痩せを成功させるためには、脳からの指令をターゲットとしている筋肉に伝えることが大切です。どこがターゲットかわからないままやみくもに体を動かしても願った効果はでません。自分がどのように体を使っているのか、どう使えばよいのかを考えることで臨む体型を手に入れましょう。

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