オーバープロネーションとは?原因と改善方法2つ!【プロトレーナー解説】

監修者

藤井隆太

理学療法士、認定ランニング指導員、TOGUインストラクター、SpineDynamics療上級認定セラピスト、mysole®︎ベーシックマイスター

オーバープロネーションとは、足部がベタ足のようになり、足の衝撃が一部に集中した状態を言います。オーバープロネーションでランニングを行うと怪我にも繋がります。オーバープロネーションになる原因とは?オーバープロネーションを改善する方法についても解説します。

オーバープロネーションって何?

足を痛めた原因が「オーバープロネーションじゃないか」と言われました。オーバープロネーションって何ですか?

藤井隆太監修トレーナーからのアドバイス

理学療法士、認定ランニング指導員、TOGUインストラクター、SpineDynamics療上級認定セラピスト、mysole®︎ベーシックマイスター

オーバープロネーションは、先ずは簡単に言うと、「足の内側のアーチがなく、ベタ足に近い状態」とイメージしてください。少し詳しくご説明していきますね。

先ずはプロネーションの定義からみていきましょう。
プロネーションとは、株式会社アシックスの仲谷によると、「ランニング中の足部挙動に基づく分類方法の1つで、踵部の外反と下腿の内旋、そして足部のアーチの変形が観察できる。この事を総称している。」と説明されています。

つまり、ランニング中に膝から
①下のすねの部分
②足部のかかと
③足底の形

がどのようになっているかを示していると考える事ができます。

もっと、平たく言えば、べた足なのか、甲高なのかという事になりますね。

ただ、細かくみていくと、ランナーの方それぞれの問題点があり、オーバープロネーションだから◯◯が悪いと原因を簡単に決めつけてしまう事は難しいのですが、オーバープロネーションがあると、少しべた足気味のランナーという事は理解できます。

短い距離なら、それほど問題にはなりませんが、マラソンなどの長距離になると、オーバープトネーションでのかかと着地を数万回も繰り返す事になり、足にかかる衝撃が強くなります。

そういった意味では、オーバープロネーションは、よく理解しておく必要があり、足を痛める原因にもなり得ると考えておく必要があるでしょう。

オーバープロネーションでランニングを行うと起こる問題

オーバープロネーションは理解できました。でもそのままランニングを続けるとどんな問題が生じるんですか?そもそもオーバープロネーションの原因で何ですか?

藤井隆太監修トレーナーからのアドバイス

理学療法士、認定ランニング指導員、TOGUインストラクター、SpineDynamics療上級認定セラピスト、mysole®︎ベーシックマイスター

そうですね。人の身体は十人十色なので、それぞれの特徴があって良いはずです。何が問題になるか具体的にみていきましょう。

正しいプロネーションとは

オーバープロネーションの原因を知る前にキレイにランニングが行えるとどのようなプロネーションになるか少し考えてみます。

基本的に、人が立った姿勢でいるときは踵は少しだけ内側に倒れています。
これは人の身体には、膝関節には生理的外反という角度がついていたり、骨盤から足までに下ろした垂線と太ももの骨と足を結んだ線とでは、約9°ほど外側に傾いている影響を受けています。

つまり、人の身体を支える上で、足首を少し内側に倒す事で、他の身体の関節とのバランスを保っていると捉えられます。
逆に足部がオーバープロネーションになっているが故に、他の関節がうまくバランスを保ってくれているとも捉える事ができます。

どちらが原因になるかは、お一人お一人によって違いますので、ここでは省略して話を進めます。

オーバープロネーションでランニングを行うと起こる問題

オーバープロネーションは、「足部がべた足のように内側へ倒れている状態」とここまでお伝えしてきました。

では、その状態のままでランニングを続けていくとどうなるでしょう?
例えば、ズレた積み木の上に、どんどん積み木を足していくとどうなるでしょう?

早々にその積み木は潰れてしまいますね。

逆にまっすぐに整えられた積み木の上に、どんどん積み木を足していくとどうなるでしょう?
前者よりは、安定して多くの積み木を積む事ができそうですよね。

人の身体は脳からの指令で動く部分があるため、単純に比較はできませんが、足部が内側に倒れた状態で、私たちの下肢や上半身の荷重が加わる事は、一部の関節に負担をかける事を意味します。

ここでは、足部の内側への負担が増す事が容易に想像できますね。
すると、足部の内側にある、骨や関節、靭帯、筋肉などは慢性的に負担を受け続ける事になります。そして、やがてその部分が破綻してしまい、痛みを生じます。これが良くないオーバープロネーションの流れですね。

ランニングは、私たちが感じている以上に関節へ負担をかける事になります。できる限りニュートラルな位置で足を接地してランニングを行う事が故障しないためにも重要である事がわかります。

オーバープロネーションになる原因と改善方法

オーバープロネーションの原因は本当に様々です。足部が原因の場合もあれば、姿勢全体の影響を受ける事もあり、膝痛から始まる方や、中には肩が痛いのをかばった影響で足部がオーバープロネーションになる事もあります。

個人差はありますが、ここでは原因を
①足部のアーチ
②姿勢

の2つに絞って説明していきます。

オーバープロネーションの原因①足部のアーチ

足部のアーチが原因である場合は、非常にわかりやすいです。足の内側がベタ足になっている方のほとんどは、オーバープロネーションと言えるでしょう。

この場合は、インソールでの解決方法が手っ取り早いです。

単純に沈んでいる足部の内側のアーチを持ち上げるようなインソールを使用すると良いでしょう。

しかし、本当の意味で改善をしていくならば、ベタ足の原因も追求していかなければなりません。

それは、各個人の他の関節からの影響が何十通りも考えられますので、専門家に診てもらう事が大切になるでしょう。
先ずは既製品のインソールなどで少し経過をみてみるのも良いかもしれません。

オーバープロネーションの原因②姿勢

オーバープロネーションになりやすい姿勢の方は、意外かもしれませんが、「良い姿勢」の方です。

良い姿勢の方は、骨盤が起きていて、いわゆるハイヒールを履いているようなピンっとした姿勢の方です。
このような姿勢の方は、骨盤が前傾という状態にあり、股関節が内側へ締まりやすくなります。

股関節が内側を向く事により、膝関節も内側を向きやすく、その代償として足部が外を向いている事が多く見受けられます。
その場合、踵は内側へ倒れやすい形となり、オーバープロネーションが生じやすくなります。

この状態を改善するには、いつも良い姿勢ではなく、姿勢を崩せる事が重要になります。

本来、良い姿勢とは、ピンとした姿勢を常に保持することではなく、ソファーに座るようにダラけた姿勢も意図的に作る事ができ、なおかつ必要に応じて、ピンとした良い姿勢も意図的に作れる状態を言います。

つまり、臨機応変に自分の姿勢を変えられるかがポイントになります。

オーバープロネーションが悪いわけではない

最後に、オーバープロネーションの捉え方について少しご説明しておきます。

オーバープロネーションは、一般的に「悪いもの」と理解されがちですが、決してそんな事はありません。

例えば、陸上競技場でコーナーを回って走っている場合、内側にある足はある程度オーバープロネーションの動きになってくれないと困ります。そうしないと、地面をうまく蹴る事が出来ないし、足部のクッション性も失われてしまいます。

でも直線になった時には、ニュートラルな位置へ戻ってくれないとより体全体に力が伝達されません。

つまり、足部の動きが状況に応じて、様々な動きができるという事が重要なポイントという事になります。ランニングは走り込みが大切になるスポーツですが、ただ走り込みだけだと、一部の関節だけに負担をかける事につながってしまいます。

そうならないように、オーバープロネーションの形やその意味を理解し、決して全てが悪いわけではないという事を頭の片隅に置きながら、ランニングを楽しんでいきましょう。