肩甲骨の可動域を広げるストレッチ|これで肩こり知らず!

監修者

北村 真美

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

肩甲骨の可動域と肩こりには深い関係があります。まずは肩甲骨の機能を知ること。そして上半身を中心とした肩甲骨周囲筋のストレッチを行い、肩甲骨の可動域を広げることで、肩こり解消を行いましょう。また、普段の姿勢に気を付けるようになることで、肩こりになりにくい体を作っていきましょう。

可動域を広げる前に|肩甲骨の正しい位置を知ろう

肩こりと肩甲骨は関係あるのですか?

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

肩甲骨は主に筋肉によって支えられているので、肩甲骨の正しい位置を知ることで、肩こりと呼ばれている筋肉の硬い場所を知ることができるのです。

肩甲骨の位置を直すと肩こりが治るということですか?

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

そういうことになります。まずは、肩甲骨の正しい位置を知り、普段の姿勢の改善や痛みの原因を探してみましょう。

肩甲骨と鎖骨を合わせて肩甲帯といいます。肩甲骨は主に筋によって支えられており、第2肋骨から第7肋骨の範囲に位置し、肩甲棘内縁は第3胸椎棘突起、肩甲骨下角は第7~8胸椎棘突起の高さにあります。椎骨縁は棘突起から1ないし3インチ外側で平行に近く、下角は押し込まれたようになっています。もし肩甲骨下角が胸郭から離れ傾いているようであれば、小胸筋の緊張、僧帽筋の筋力減弱、脊椎変形がないか否か調べてみましょう。翼状の場合は椎骨縁が胸郭から離れ、浮き上がるように傾きを示します。これは前鋸筋の弱いことを示す兆候です。
ストレッチや筋トレを行う際には、まず肩甲骨の位置が左右対称であるかを確認し、非対象であれば怪我や痛みの原因となるため開始前に確認することをお勧めします。

肩甲骨の動きを知ろう

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

肩甲骨の正しい位置はわかりましたか?次は肩甲骨の動きについて知識を持ちましょう。肩甲骨の正しい位置を知るときにも、どのように変位しているかわかると、改善方法が見つかりやすくなります。

肩こりに悩んでいますが、肩甲骨の可動域が昔より狭いような気がします。

肩甲骨の動きには、外転、内転、下方回旋、上方回旋、挙上、下制があります。よく「肩甲骨の可動域が狭い」といった表現をするのは以下のいずれかの動きの可動域が限定されてしまっていることを意味します。
外転:肩甲骨が脊柱から外側へ向かって離れる動き。
内転:肩甲骨が脊柱の方向へ近づく動き。
下方回旋:肩甲骨の下角が、内側と下方へ向かって同時に動く。
上方回旋:肩甲骨の下角が、外側と上方ヘ勝手同時に動き、関節窩も上方へ動く。
挙上:肩甲骨を引き上げる動きで、肩をすくめる動き。
下制:肩を引き下げる動きで、肩甲骨が下方に動く。

肩甲骨は多くの筋が付着しており、胸郭に沿って運動しています。
肩関節と肩甲帯が連動することではじめて、腕の自由な動きが可能になりますが、肩甲骨を動かす筋肉と肩関節を動かす筋肉は異なっています。

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

前項で行った肩甲骨の正しい位置を左右で確認することも大事ですが、肩甲骨の動き方に関しても左右で対称的であるかどうかは大事です。次項では肩甲骨を動かす筋肉について記載していきますので、動きに左右差がある場合には、どの筋肉に問題があるのかも確認してみてください。

肩甲骨の動きに関する筋肉を知ろう

肩こりがあり、首や背中にも痛みがでることがあります。これも肩甲骨を動かすことで治りますか。

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

肩こりには肩甲骨の動きが大きく関与しています。まずは肩甲骨の動きに関与している筋肉をみてみましょう。

肩甲骨の動きに対する筋活動(カッコ内は起始・停止)

挙上時には僧帽筋上部(後頭骨・項靱帯から鎖骨外側後面1/3)、肩甲挙筋(第1~4頸椎横突起から肩甲骨上角と内側縁上部)
内転時には僧帽筋中部(第7頸椎と第1~3胸椎棘突起から肩峰内側縁と肩甲棘上縁)、大菱形筋
下制と内転時には僧帽筋下部(第4から12胸椎棘突起から肩甲棘内端)
内転と下方回旋時には大菱形筋、小菱形筋(第7頸椎と第1~5胸椎棘突起から肩甲骨の内側縁)
外転と上方回旋時には前鋸筋(第1~9肋骨の外側から肩甲骨の内側縁前方)が働いています。

肩甲帯の筋肉は肩甲骨の安定性にとって不可欠であり、それによって肩関節の筋肉にしっかりとした土台ができ、上腕骨のパワフルな動きを生み出すことができるのです。

肩甲骨の動きに関与している僧帽筋が、大きな筋肉であり上部・中部・下部に分けられ、頸部から第12胸椎にかけての脊柱から肩甲骨に及ぶ広い範囲に触れることができます。そのため、僧帽筋の柔軟性が低下して肩甲骨の動きに制限がみられると、首から背中にかけての痛みが生じることがある、というわけです。

上半身の筋肉のストレッチ

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

肩甲骨周囲筋のストレッチを行う際に、肩甲骨周囲筋のみではなく、首や背中・肩の周りについている筋肉もストレッチしていくことによって、肩甲骨の可動域を広げることができます。拡大していきます。そのことも踏まえて、上半身のストレッチを行っていきましょう。

ストレッチのポイント
・反動を使わない。
・筋肉が伸びていることが感じられたら静止する。
・静止したら、呼吸を止めずに15~20秒姿勢を保つ。

1.僧帽筋(上部)、肩甲挙筋のストレッチ

椅子に坐り、片手を反対側の側頭部に置く。上体をまっすぐにして胸を張り、腕の重みを利用しながら置いた手の方へ首を真横に倒していきます。この時、伸ばしている方の手を下方に押すように意識するとストレッチの効果が上がります。左右交互に行ってみてください。

2.僧帽筋(上部・中部)のストレッチ

立位姿勢で、足は肩幅に開きます。(座位姿勢でも可)手を組み肩の高さで腕を前に伸ばします。背中を丸めながら、伸ばした腕を前方へ押し出し、肩甲骨を左右に開いて背中をストレッチします。このとき、胸の前に大きなボールを抱えるようなイメージで背中を丸めることがポイントとなります。首も前に傾けることで、より背中の筋肉がストレッチされます。

3.広背筋・肩甲下筋、小円筋のストレッチ

立位姿勢(座位でも可)で足は肩幅に開きます。両腕をまっすぐ頭上に上げ、クロスさせてから手のひらを合わせます。肘を伸ばし、指先を天井に向かって突き上げるような意識を行い、目線は正面に向けたまま腰から状態を真横に曲げていきます。このとき体が捻らないように注意して、左右交互に行ってみてください。

ストレッチポールを使用した肩甲骨周りのストレッチ

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

ストレッチポールを使用することで、背中側の筋肉を緩めるのに効果を発揮します。しかし、ストレッチポールを初めて使用する場合には、上手くポールに仰向けになれず緊張してしまう場合もありますので、サポートを入れる等、緊張状態を改善しなければ逆効果となることがあります。

ストレッチポールを使用した運動を行う際の注意点

1.ポールに頭からお尻までを乗せ仰向きになります。(後頭部、胸椎、仙骨で体を支えている状態)
2.両脚は肩幅に開き、膝を曲げて立てます。不安定な場合は両手も床に添えて体を安定させます。
3.動作中には息を止めず、リラックスした状態で行います。この状態で、腹式呼吸を行う等して、ストレッチポール上での姿勢保持が安定して行えるようにします。

ストレッチポール上で安定した姿勢が保てるようになったら、下記の運動を始めていきます。
1.両腕を床に沿って伸ばし手のひらを上に向けます。(肩関節外旋位)その状態で、肩関節を外転させていきます。上半身に力が入らないように手の甲は床に沿って大きな弧を描くように行うのがコツです。(肩甲骨の上方回旋運動)

2.次は軽く肘を曲げ(肩外転70~80°)、手のひらを下に向けます。(肩関節内旋位)手を床に沿って小さく内向き、外向きに円を描きます。(肩甲骨の挙上/上方回旋・下制/下方回旋運動)

3.両腕を肩の位置で上に伸ばします。(肩屈曲90°)手の平を向かい合わせ肩を引き上げ腕を垂直に伸ばします。肩甲骨が背骨から離れるイメージで力を入れ、その後脱力します。(肩甲骨の外転運動)

4.次は、片腕を肩の位置で垂直に伸ばし、反対の腕は肘を曲げ床に近づける。これを左右交互に行います。(肩甲骨の外転・内転運動)

5.3の姿勢から両肘を曲げて床に近づけて、手のひらは足側を向ける。(肩関節水平伸展)肘を伸ばして両腕を肩の位置で上に伸ばし(肩関節水平屈曲)、肩甲骨を離しながら肩を上げ手のひらを向かい合わせにする。(肩甲骨外転・内転運動)

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

現代人の病とも言える肩こりですが、肩甲骨の位置がずれていしまっていること、可動域が狭いことが原因であることが多いです。本記事で紹介したストレッチを実践して肩こり知らずになりましょう!

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