プロテインとアミノ酸の併用はOKか?

アミノ酸がスポーツに関係することは多くの人が知っていると思いますが、一体アミノ酸にどのような効果があるのか知っている人は少ないと思います。アミノ酸はプロテインの代わりになるのか、同時摂取してもいいのかなどを解説します。

アミノ酸とは一体何?

アミノ酸とは人の体の中にある約10万種のタンパク質を構成する物質で、体のタンパク質を構成するアミノ酸は20種類あり、αアミノ酸と呼ばれています。体のタンパク質を構成していないアミノ酸も含めると、約500種あります。

アミノ酸には9種類の必須アミノ酸と非必須アミノ酸があります。必須アミノ酸は、体内で作り出すことが出来ないため、食べ物から摂取する必要があります。非必須アミノ酸は、体内で作り出すことが出来ることから単体を積極的に摂取する必要はありませんが、ある一定の条件になると量が不十分になり摂取する必要が出てきます。また、アミノ酸にはタンパク質を構成するだけでなく、1つの物質として働きを持つアミノ酸もあります。

必須アミノ酸の9種類には、リジン、ロイシン、イソロイシン、バリン、フェニルアラニン、トレオニン、メチオニン、ヒスチジン、トリブトファンがあります。必須アミノ酸はどれか1つでも欠けても、筋肉をつける効果が出ません。

9種類全てのアミノ酸が一定量含まれているかどうかはアミノ酸スコアが高いかどうかで判断することができ、アミノ酸スコアが満点(100点)の食材には、肉類、魚介類、大豆、卵、牛乳があげられます。アミノ酸スコアの高い食材を選んで摂取することが、筋肉をつける近道となります。

プロテインとアミノ酸の違いによる同時摂取のメリット

アミノ酸とはタンパク質を構成する最小単位の物質のことで、プロテインが分解されるとアミノ酸となります。つまりプロテインも最終的にはアミノ酸となって吸収されるということです。
そのためプロテインの代わりにアミノ酸を摂取しても、プロテイン同様に作用すると考えて良いでしょう。

プロテインは胃で消化され、小腸で吸収されることでアミノ酸に分解されるので、血液中にアミノ酸が現れるまでに約2時間程度かかります。
しかしアミノ酸はそれ以上分解できない状態のまま摂取しているため、消化される必要がなく、最短で約30分程度で血液中に現れます。

それならば、プロテインよりアミノ酸を摂取するほうが効果が高いと考えるかもしれませんが、アミノ酸は吸収速度が早いのと同時に、血液中のアミノ酸濃度が下がるのも早いです。
それに対し、プロテインは吸収速度は遅いですが、血液中のアミノ酸濃度を高い状態に維持し続けることがアミノ酸よりも長時間できます。
そのためアミノ酸とプロテインを同時摂取することで、吸収速度を早くしたい場合や血液中のアミノ酸濃度をより長く高い状態にしておきたい場合など、それぞれのシーンに応じた使い分けをすることができます。

アミノ酸に適したシーン

トレーニング直後30分以内のゴールデンタイムに一刻も早く摂取するため、プロテインの代わりにアミノ酸を摂取することで、より早く筋肉にアミノ酸を送ることができます。

その場合、アミノ酸濃度がすぐに下がってしまわないように、アミノ酸摂取後しばらくしてからプロテインを摂取すると良いでしょう。
プロテインとアミノ酸を同時摂取する場合には、吸収速度が遅くなってしまわないように、アミノ酸を摂取してから少し時間を置いてから、プロテインを飲むようにしましょう。

プロテインに適したシーン

トレーニング前やトレーニング中は、筋肉の分解を防ぐためにも血液中のアミノ酸濃度を高くしておく必要があります。しかしトレーニング前やトレーニング中にプロテインを摂取すると消化不良を起こしてしまうかもしれません。そこで代わりに、消化の必要のないアミノ酸を摂取して、アミノ酸濃度を高い状態にすることがオススメです。

また食後や間食に摂取する際は、血液中のアミノ酸濃度を高い状態に長時間保てるプロテインを摂取すると良いでしょう。

プロテインに表記されている「ペプチド」とは?

プロテインの中にはホエイペプチドと記載されているものがあります。では一体ペプチドとは何なのでしょうか?

プロテインとはアミノ酸が約50個以上つながった状態をしています。プロテインよりも少ない数のアミノ酸がつながった状態であるものは全てペプチドと呼ばれ、2個つながったものはジ・ペプチド、3個つながったものはトリ・ペプチド、10個以下がつながったものはオリゴ・ペプチドと呼ばれています。

プロテインは分子が大きいため、消化吸収を経ることでアミノ酸となりますが、ジ・ペプチドやトリ・ペプチドの場合は、アミノ酸に分解されることなくペプチドの状態のまま吸収されます。そのためアミノ酸の2倍、3倍の量が吸収されるため、吸収の効率がアミノ酸よりも良く、吸収のスピードが早いということになります。

しかしペプチドという形で吸収できるのはアミノ酸が3個つながった状態のトリ・ペプチドまでと考えられており、それ以上の分子がつながっている状態のペプチドもプロテインと同様に、アミノ酸に分解されて吸収されます。

アミノ酸サプリ① BCAA

BCAAとは必須アミノ酸のバリン、ロイシン、イソロイシンの3種類を指して呼ばれ、日本語では分岐鎖アミノ酸と呼ばれています。筋肉のタンパク質を構成するアミノ酸の中でBCAAが最も多く、筋トレのために摂取するメリットが高いです。

BCAAはトレーニング前やトレーニング中に摂取することによって、筋肉の分解を防ぐことが出来ます。また、トレーニングによって傷ついた状態から早く回復させる効果もあります。また血液中ではBCAAとトリプトファンというアミノ酸の物質が存在しますが、筋トレによって血液中のBCAAが減少すると、トリプトファンの働きによってリラックス効果が生まれ、集中力が切れてしまいます。そのためBCAAを摂取することは集中力を維持させるために効果的です。

またアミノ酸はエネルギーとして利用することが難しい物質ですが、BCAAは疲労困憊で使うエネルギーがなくなった場合などにエネルギーとして利用されます。

【参考文献】

アミノ酸サプリ② クレアチン

クレアチンは、体のタンパク質を構成するアミノ酸ではありませんが、体内に存在するアミノ酸の1つです。
クレアチンは摂取することで、筋トレで扱う重量がより重くできたり、回数を多くあげられたりと、筋トレのパフォーマンスを向上させることができます。

クレアチンは体内に少量しか存在しない物質であり、一度に多量に摂取しても体外に排出されるため、体内に蓄積させるローディングという期間を設けることが必要です。ローディングの方法としては、6〜7日の間、1回5gを1日4回摂取するとよいでしょう。

ローディングが完了すると、体内のクレアチン量は約10%増え、それを維持するメンテナンス期間に移ります。メンテナンスとは、増えたクレアチンを維持するために1日に5g摂取するというものです。クレアチンを摂取する期間は3ヶ月程にして、1〜2ヶ月程全く摂取しない期間を設けるのが一般的です。その後再びクレアチンを摂取する際はローディングから始めてください。

プロテインにアミノ酸をプラスしてみよう!

プロテインは吸収される際に、アミノ酸に分解されて吸収します。そのためアミノ酸はプロテインの代わりにすることができると考えて良いでしょう。しかしプロテインとアミノ酸は吸収速度が違うため、同時摂取することでより効果的に筋肉をつけることができるでしょう。またアミノ酸は体を構成していないものも含めると500種類以上存在しており、アミノ酸自体に効果を持つものもあるため、自分に必要なアミノ酸を探して摂取してみるのもオススメです。

【あわせて読みたい】