全粒粉の糖質は?糖質制限ダイエット向きか?その他の栄養素も解説

健康や美容に良い食材として注目を集めている全粒粉。栄養価がとても高い全粒粉ですが、糖質制限ダイエットに向いているのでしょうか。全粒粉の糖質・カロリーはどのぐらい?全粒粉の栄養素や、ダイエット中におすすめの食べ方、注意点についてご説明いたします。

全粒粉とは?全粒粉の糖質、脂質、タンパク質を他の食品と比較

全粒粉とは

全粒粉とは、小麦粉の一種で小麦をまるごと粉にしたものです。一般的な小麦粉は胚乳のみを使用しますが、全粒粉は小麦の表皮、胚芽、胚乳をすべて使用します。
不純物が多いため、色はやや茶褐色を帯びており、粒子が荒くザラザラした質感です。
通常の小麦粉よりも栄養価が高く、健康食品として用いられます。
主にパンやクッキー、シリアル、麺の原材料としてよく使われており、口当たりをよくするために小麦粉と混ぜて使用されることが多いです。
表皮と胚芽からくる香ばしい風味と、歯ごたえのある食感が特徴です。

小麦を使わない「大豆全粒粉」も

大豆をまるごと主原料とした、「大豆全粒粉」も人気です。
栄養満点の大豆をそのまま粉砕して作られているので、とても健康に良い食材です。
小麦は一切使用しておらず、小麦アレルギーの人でも安心して使うことができるので、おすすめです。

全粒粉のカロリー、糖質、脂質、タンパク質

全粒粉のカロリーは100gあたり約328kcalです。100gあたりの糖質は57g、脂質は2.9g、タンパク質は12.8gとなっています。

全粒粉と他の食品とのカロリー比較

全粒粉のカロリーを、他の食材と比較してみましょう。
小麦粉のカロリーは100gあたり368kcalで、全粒粉に比べると多めです。
小麦に近い作物のライムギから作られたライムギ粉は、351kcalでこちらも多め。
パンにしたときを比べてみると、全粒粉パンは100gあたり255kcal、食パンは264kcalとなっており、小麦粉を用いた食パンのほうがカロリーが高いです。

全粒粉と他の食品との糖質・脂質・タンパク質量比較

全粒粉の糖質、脂質、タンパク質量を、他の小麦粉や食材と比べてみましょう。
糖質が一番高いのは小麦粉で100gあたり73.4g、次いでライムギ粉が62.9g、一番低いのは全粒粉で57gです。
脂質量とタンパク質量は全粒粉が一番多く、脂質量が2.9g、タンパク質量が12.8gとなっています。
パンにしたときを比べてみると、全粒粉パンのほうが糖質量が少ないです。脂質量、タンパク質量はほぼ同じとなっています。
糖質量が少ない全粒粉は、糖質制限ダイエットに向いていると言えます。

全粒粉の栄養素や成分

全粒粉は、小麦をまるごと粉にしているので、栄養素が豊富に含まれています。全粒粉に含まれる栄養素や成分と、その効果についてご説明します。

食物繊維

全粒粉には食物繊維が豊富に含まれています。小麦粉と比べるとなんと3倍もの食物繊維が含まれており、現代では不足しがちな食物繊維を手軽に補うことができます。
食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の二種類があります。全粒粉に含まれているのは、後者の不溶性食物繊維です。不溶性食物繊維には、水分を含み、便をかさましして排便を促進する働きがあります。体内のデトックスをしてくれ、便秘の解消にも効果的です。
発ガン性物質など、有害物質を体外へ排出してくれる働きもあります。

ビタミンB1

ビタミンB1は、水溶性ビタミンの一種です。
人間が活動するためのエネルギーをつくりだす、とても大事な役割を担っています。
脂質や糖質の代謝を助けてくれる働きがあるので、ダイエットに欠かせない存在です。
また、糖を栄養分としている脳の働きを正常に保ったり、皮膚や粘膜を健康な状態に保ったりする重要な働きもあります。

ポリフェノール

ポリフェノールとは、主に野菜や果実などに含まれる色素のことです。
渋味やえぐ味があり、強い抗酸化作用があります。活性酸素などの有害物質を無害な物質に変える働きがあるので、動脈硬化などの恐ろしい病を予防する効果があります。
短時間で作用しますが、その効果はあまり長続きしないのでこまめに摂取する必要があります。

鉄分

鉄分は、私たちの体を健康に保つために欠かすことのできない栄養素です。
主に血液中の赤血球を構成する、ヘモグロビンという物質の原料となっています。
血が赤い色をしているのは、このヘモグロビンによるものです。
鉄分を摂取することで、血の巡りが良くなり、貧血を予防・改善することができます。
また、疲労回復にも効果的です。

全粒粉が糖質制限ダイエットに向いている?

栄養満点な全粒粉は健康に良いだけでなく、ダイエットに向いている食材です。全粒粉がダイエットに向いている理由についてご紹介します。

他の小麦粉と比べて糖質・カロリーが低い

全粒粉は他の小麦粉に比べてカロリーや糖質が1割程度低くなっています。
そのため普段主食として食べているパンを全粒粉のものに置き換えるだけで大幅にカロリーカットすることができます。

GI値が低い

全粒粉は、GI値が比較的に低い食材です。
GI値とは、グリセミックインデックス指数の略称で、摂取した食品が体内で糖に変わり、血糖値が上昇するスピードを測定した数値です。
このGI値が低ければ低いほど、血糖値の上昇が遅くなり、インシュリンの分泌も抑えられます。その結果、血糖値が体全体に行き渡り、エネルギーとしてされるため脂肪として蓄積されにくくなります。
また、中性脂肪を減らしてくれる効果もあります。

噛み応えがあり、満腹感を得られる

全粒粉は、普通の小麦粉と違い独特の食感で噛み応えがあります。よく噛んで食べるため、満腹中枢が刺激され、少しの量でも満足感を得られます。
ダイエットで辛い空腹に耐えることが減るのでおすすめです。

グルテンを形成しにくい

全粒粉は、普通の小麦粉に比べるとグルテンが形成されにくいです。
グルテンとは、小麦に含まれているタンパク質のこと。食品をフワフワ、もちもちさせる効果があり、パンやうどん、パスタには欠かせません。
しかしこのグルテンは、腸の粘膜を荒らしたり、中毒性があり知らず知らずのうちに食べ過ぎてしまったりと、体に有害な性質も持っています。
全粒粉はこのグルテンが形成されにくいために、食欲のコントロールをしやすくなり、自然と痩せやすい体質に近づくことができます。

全粒粉を使用した糖質制限ダイエットの方法

全粒粉は、緩い糖質制限ダイエットに活用するのがおすすめです。
普段の食生活から、いきなり糖質を全て排除するのはなかなか難しいですよね。特に普段からパンをよく食べる、という人にとってはかなり厳しくなってしまいます。あまり無理をしてもダイエットは続かないので、最初は緩く始めてみるのがおすすめ。そんなときに便利なのが全粒粉です。全粒粉を使ったパンなら、糖質は押さえつつ美味しいパンを楽しむことができます。全粒粉パンは、小麦粉を使ったパンのようなフワフワした食感は無いですが、もっちりとした噛み応えと独特の香ばしい風味ががあって、引けを取らない美味しさです。パンだけでなくシリアルやパスタ、クッキーなど、全粒粉を使った様々な食品があります。普段の食生活に気軽に取り入れやすく、飽きずに糖質制限を続けることができます。
まずは1日一食、朝食や昼食の主食を全粒粉を使ったパンやシリアルに置き換えてみましょう。慣れてきたら、3食を全粒粉にするとより効果的です。

全粒粉を使った糖質制限ダイエットの注意点

糖質制限ダイエットに効果的な全粒粉ですが、より効果を出すために注意しなければいけないことがあります。全粒粉ダイエットの注意点をいくつかご紹介いたします。

食べ過ぎに注意

小麦粉と比べるとカロリーも糖質量も少なめですが、全粒粉はそこまでカロリーが低い食材というわけではありません。
市販の全粒粉パンには、食感をよくするために薄力粉が混ぜられていることも。
パンには小麦粉だけでなくバターや卵を豊富に使うこともあるので、意外にカロリーはそこまで低くなりません。
そのため、食べ過ぎてしまうとせっかくのダイエットも無意味になってしまいます。
ダイエットに向いている食材だからといって安心しすぎず、しっかり量は守って食べましょう。

よく噛んで食べる

全粒粉パンは、よく噛むことで満腹中枢を刺激し、満腹感を持続しやすくなります。
小麦をそのまま使用しているので、噛めば噛むほど小麦本来のほのかな甘みを楽しむことができます。

バランスのとれた食生活を心がける

全粒粉は栄養豊富な食材ですが、これだけで人間の体に必要な栄養素をすべて補うことはできません。
栄養素を摂取することは、健康を維持するためにはもちろん、ダイエットを成功させるためにおいてもとても重要なポイントです。
全粒粉だけで足りない栄養素は、他の食事でしっかりと摂取しましょう。
野菜やお肉、魚など、バランスの良い食生活が大切です。

全粒粉の活用方法

全粒粉を原料とした食材もたくさん販売されていますが、時間に余裕のある方や料理が好きな方は全粒粉を使って様々なお料理を作ってみましょう。
全粒粉には、様々な使用用途があります。一般的なのはパンですが、それ以外にもパスタやケーキ、お菓子に使用されることも。
全粒粉を使ったクッキーは香ばしく、ザクザクとした食感も楽しいのでおすすめです。
全粒粉を100%で使用した料理は、食感がぼそぼそになりやすく少し難易度が高いので、何割か小麦粉を混ぜて使ったりするのがおすすめです。

全粒粉を使用したおすすめ糖質制限ダイエットレシピ

全粒粉を使用した、ハード系のパンです。噛み応えがあるので、どっしりと腹持ちが良いです。くるみやドライフルールの食感が楽しく、飽きることなく食べられます。糖質制限ダイエット中の朝食や昼食におすすめです。パンというと難しそうに聞こえますが、工程は簡単なものばかり。ぜひ作ってみてはいかがでしょうか。

ドライフルーツのパン

【材料】
・強力粉 200g
・全粒粉 50g
・イースト 3g
・塩 5g
・砂糖 7g
・くるみ 50g
・レーズン 60g
・オレンジピール 30g
・水 170㏄

【作り方】
1.レーズンは熱湯をかけてざるにあけておきます。くるみは軽くローストして刻みます。強力粉と全粒粉はボウルにいれて、泡だて器で軽く混ぜておきます。
2.①のボウルに、塩、砂糖、イースト、水を入れて手でこねます。
こねあがったら、レーズンとオレンジピール、くるみを入れて生地に混ぜ込みます。
3.発酵をして、2倍近くの大きさになったら5分割にして丸め、20分間ベンチタイムを取ります。好きな形に成形し、最終発酵させます。
4.横に切り込みを入れて、霧吹きでたっぷりと水をかけます。230度に予熱したオーブンを、210度に下げて15~18分焼いたら完成です。