人の体の中には「ミオスタチン」という筋肉の成長を妨げる物質が作られていることを知っていますか?小さな子供なのに筋肉隆々な身体をしている写真を見たことがありますか?あれです。筋トレしている人には厄介に思われる「ミオスタチン」のメカニズムと対策を解説します。
筋肉が成長する仕組み
筋肉隆々な小さな子供がカンフーをしている動画を見たことがあるんですが、子供なのにあんなに筋肉モリモリになるのっておかしくないですか?
小川 雄翔監修トレーナーからのアドバイス
日本トレーニング指導者協会の資格(JATI-ATI)保持者。パーソナルトレーナーとして科学的根拠に基づいた指導が得意。
はい、あれは「ミオスタチン関連筋肉肥大」と呼ばれる症状です。ミオスタチンという体内で分泌される物質が鍵を握っています。ミオスタチンの前に、まずは筋肉がつく仕組みからおさらいしましょう。
①筋トレなどで筋繊維が損傷する
↓
②筋繊維の表面の「筋サテライト細胞(衛生細胞)」という細胞が、筋繊維を修復するために数を増やす
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③筋サテライト細胞の数が増え、筋繊維を太くする働きをする(筋肥大)
ここで登場!ミオスタチンです。ミオスタチンは、この筋サテライト細胞の数が増えすぎないようにする役割を果たします。
小川 雄翔監修トレーナーからのアドバイス
日本トレーニング指導者協会の資格(JATI-ATI)保持者。パーソナルトレーナーとして科学的根拠に基づいた指導が得意。
ミオスタチンはヒトの身体が筋肉がつきすぎないように抑制するために存在するのです。
「ミオスタチン」とは
筋トレをしている人は、それぞれ引き締めたいや大きくしたいなど細かい目的は違っていても筋肉をつけたいという点では共通しており、その上で筋肉の成長を妨げる「ミオスタチン」は厄介な物質に感じるでしょう。
しかしミオスタチンが完全にないとなると、筋肉が異常に発達しすぎたり、ガンになるリスクも高くなるという側面もあるため、人間にとっては必要な成長因子といえます。
ミオスタチンは骨格筋で作られます。体内でミオスタチンが多量に作られると、筋肉を分解し、体脂肪も燃焼されにくくなります。反対にミオスタチンが少量しか作られないと、筋肉はつきやすくなり、体脂肪は燃焼されやすくなります。
「ミオスタチン」の量と遺伝子の関係
しかし先天的な突然変異によって、ミオスタチンを作る量が少なかったり、作ることができないという遺伝子を持つ人や動物もいます。4万分の1の確率で遺伝子の突然変異が起きる計算なので、先天的に筋肉がつきやすい体質の人は意外と多くいるといえます。
そして先天的な突然変異によってミオスタチンに異常があると、筋肉の筋線維の数も多くなるので、より筋肉を肥大させることが可能になります。
突然変異によって先天的にミオスタチンが少ないのは病気の一種ともいわれ、「ミオスタチン関連筋肉肥大」といわれています。筋肉がつきやすいという反面、摂取した食べ物のカロリーを筋肉の増加や維持に使われてしまうので、多量の食べ物を摂取する必要があります。
「ミオスタチン」を抑えて筋肉をつける方法とは?
ミオスタチンの分泌量を抑制することができたら筋肉がつきやすくなるってことですよね?そういう方法ってあるんですか?
小川 雄翔監修トレーナーからのアドバイス
日本トレーニング指導者協会の資格(JATI-ATI)保持者。パーソナルトレーナーとして科学的根拠に基づいた指導が得意。
はい、あります。ミオスタチンを少しだけ抑制させて筋肉をつけやすくする方法をご紹介しますね。
① 高強度の筋トレ
また高強度な筋トレによって筋肉を破壊すると、傷ついた筋肉を修復して筋肉が前よりも強くなるという過程に体は集中しなくてはならないため、筋肉をつけにくくなる「ミオスタチン」の量を少なくして筋肉をつけやすい状態にしようとするため、高強度の筋トレは「ミオスタチン」の抑制に効果があります
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② 加圧トレーニング
加圧トレーニングは通常よりも軽い重量で行い、短時間で効果が出るのが特徴です。加圧トレーニングは「ミオスタチン」の量が少なくなるだけでなく、「フォリスタチン」という「ミオスタチン」と結合することで「ミオスタチン」の働きを抑制する効果のある物質の分泌量も多くなります。
よって加圧トレーニングは「ミオスタチン」の抑制に効果があります。
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③ クレアチン
体内でATPが余っている場合は、「クレアチン」がATPと結合して、「クレアチンリン酸」という形に変えます。ATPからクレアチンリン酸に変化する際に、リン酸が2つ余るのでクレアチンリン酸以外にも「ADP(アデノシン二リン酸)」を生み出します。
そしてATPが運動で減った場合は、クレアチンリン酸とADPが、ATPとクレアチンという元の状態に戻します。クレアチンを多量に摂取することで、クレアチンリン酸も多量に作られ、体内で使えるエネルギーのATPを作り出す量は多くなります。
そのため筋トレにおいては、より高重量を扱うことができたり、回数を多くできたりするようになります。クレアチンはより高強度な筋トレができるように助けることでミオスタチンの分泌量を抑制する働きがある他にも、クレアチンの摂取自体がミオスタチンの量を減少させます。
小川 雄翔監修トレーナーからのアドバイス
日本トレーニング指導者協会の資格(JATI-ATI)保持者。パーソナルトレーナーとして科学的根拠に基づいた指導が得意。
ただクレアチンを必要な時に食べ物から摂取しようとすると、筋トレに合わせて食事をする必要があるため、消化などの時間も考えると食事の時間がばらばらになるだけでなく必要な量を食べることは厳しいかと思います。
クレアチンを手軽に必要な時間に必要な量を摂取するとなるとサプリから摂取することが出来るととても楽になりますので、サプリから摂取することをオススメします。
④ HMB
そして、ロイシンが体内で代謝されると「HMB」という形に変わります。「HMB」には筋肉の超回復を促進させる効果、筋肉の増加を助ける効果、筋肉が減少するのを抑制する効果がある他にも、HMBを摂取することでミオスタチンの量を減少させることができるといわれています。
小川 雄翔監修トレーナーからのアドバイス
日本トレーニング指導者協会の資格(JATI-ATI)保持者。パーソナルトレーナーとして科学的根拠に基づいた指導が得意。
「HMB」を食べ物から必要な量を摂取しようとすると、相当な量を食べなくてはいけなくなってしまい現実的ではないですので手軽に取ることが出来るサプリから「HMB」を摂取することをオススメします。
筋肉をつけるためには栄養が重要
筋肉をつけるためにまず大事な栄養素がタンパク質です。タンパク質は筋肉などの体を作るための栄養素で、筋トレをしている人であれば運動強度に合わせて体重当たり1.2〜2g相当のタンパク質を摂る必要があります。
しかしタンパク質だけをとれば良いというわけではなく、体を動かすためのエネルギーとなる炭水化物や脂質、代謝に関わるビタミン、体を作ることに関わるミネラルといった五大栄養素を全て必要としています。
特にビタミンは代謝に関わる栄養素であり、不足すると摂取したエネルギーを上手く代謝することができなかったり、タンパク質を摂取しても代謝することが上手く出来ないので筋肉をつけることが難しくなります。糖質を代謝するビタミンB1、脂質を代謝するビタミンB2、タンパク質の代謝に関わるビタミンB6は積極的に摂ると良いでしょう。
また、筋肉が損傷して回復するためには少し時間がかかるため、筋トレによって損傷している同じ部位の筋を連日続けて筋トレをせずに、休養をとって休めることが大切です。
小川 雄翔監修トレーナーからのアドバイス
日本トレーニング指導者協会の資格(JATI-ATI)保持者。パーソナルトレーナーとして科学的根拠に基づいた指導が得意。
筋トレをしている人にとって厄介に思われる「ミオスタチン」ですが、「ミオスタチン」の分泌量は抑制することができます。
高強度の筋トレ、加圧トレーニング、「クレアチン」、「HMB」などの「ミオスタチン」を抑える方法を上手に活用することで、憧れの体を手に入れましょう。
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