時間?距離?ランニングでダイエット効果を得るために大切なこととは?

監修者

沖 和彦

NESTA ハートレートスペシャリスト

【プロトレーナー解説】ダイエットのためにランニングを活用する場合に意識する点は何でしょうか?時間?距離?朝?夜?初心者でもランニングでしっかりダイエット効果を得るために大切な点を解説します。

ランニングは距離より時間を意識する

ダイエットのためにランニングを始める人は多いでしょう。ランニングは特に道具もいらず、その気になれば始められる素晴らしいエクササイズです。初心者がランニングをダイエットに活用する場合は、走る距離よりも走る時間を重要視しましょう。

一般的にランニングの場合、距離に比例して消費カロリーが増えていきます。つまり、長い距離を走れば走るほどダイエット効果が高いというわけです。

ランニングの消費カロリーの計算式はざっくりですが、以下になります。
『消費カロリー(kcal) = 体重(kg) × 距離(km)』

しかし、ランニング初心者がいきなり長距離を走ろうと思っても難しいです。それどころか、距離を目標にして無理に走ると怪我をしてしまったり、モチベーションの低下につながりランニングを継続することができなくなってしまいます。

そのため、まずは初心者は「走る時間」を目標に設定しましょう。
3km走る、ではなく30分間走る、であればその時間に合わせてペースをゆっくりにすることもできます。

ダイエット効果を得るためには20分以上走らないと意味がない!?

よく、「ランニングは20分以上走らないと脂肪が燃焼されない」という情報を目にしますが、これは誤りです。20分走って全く脂肪が燃焼されないなんてことはありません。

確かに20分以上ランニングを続けることで脂肪の燃焼率が高くなるという特徴はあります。20分以上走らないと脂肪を燃焼しないわけではないですが、まずは20分以上ランニングを継続するという意識が大事になってきます。
ランニングのような有酸素運動は、運動開始後最初の20分は糖を優先的にエネルギーとして消費します。20分経過後は脂肪が優先的に消費されやすくなってきます。

沖 和彦監修トレーナーからのアドバイス

NESTA ハートレートスペシャリスト

20分しないと脂肪が燃焼しないことはないですし、運動習慣や生活習慣(特に食事や睡眠)、そして走るスピード(強度)によって、糖質がエネルギーとして優先されるか脂肪がエネルギーとして優先して使用されるか同じスピードのランニングだとしても変わってきます。

まずは30分以上走り続けることを目標にしてください。初心者の方は普通に走ったら30分間走り続けること自体が難しいかもしれませんが、ペースは気にする必要はありません。まずは長時間走り続けることが大切です。難しい場合は10分でも構いません。少しずつ走れるようになっていきましょう。

ウォーキングのスピードと同じスピードで走ったとしても、その消費カロリーは歩く場合の約1.6倍もあるのです!
このメカニズムについては、以下の記事に解説してあります。

朝?夜?ダイエット効果が高い時間帯は?

ダイエットのためには朝ランニングをすればいいのでしょうか?夜でしょうか?
この時間帯は走ってはいけない、ということはありませんが、ことダイエット効果に絞って考えれば朝の方がダイエットに効果的です。

その理由は、体内の糖質量にあります。
日本人は平均的に1日の摂取カロリーの約60%を糖質から摂取します。ランニングを開始すると最初は脂肪よりもこの糖質が燃焼される割合が高いです。

しかし、朝、特に朝食前は前日の夕食を摂った後何も食べていません。長時間何も摂取していないと体内の糖質量は減り、この状態でランニングをすると脂肪が通常時より燃焼されやすくなる、ということなのです。

しかし、朝のランニングには注意が必要です。
朝はまだ身体が起ききっていないため、無理に速いペースで走ると怪我をしてしまう可能性があります。走る前にはしっかりストレッチをし、ゆっくりとランニングをしましょう。

実はゆっくりランニングをすることはダイエット効果という観点でも良いのです。
脂肪を燃焼させるためには、あまり高強度なトレーニングをしてはいけません。高強度になると脂肪ではなく糖質が消費されるためです。つまり、ゆっくりランニングをすれば脂肪を燃焼させるのにも良く、ダイエットのためにもなるということなのです。

ペースとしては「人と話しながら走れるくらいのペース」としましょう。

沖 和彦監修トレーナーからのアドバイス

NESTA ハートレートスペシャリスト

安全面的な話ですが、寝ている最中に体は汗をかいており多量の水分が失われていますので朝走る前及び、寝る前に水分をとって脱水を防ぎ、安全で効果的なランニングをしましょう。

ランニングはダイエットにデメリットもある!?

ランニングをダイエットに活用するために必要な走る時間やペースについて解説してきましたが、実はランニングにはデメリットもあります。

それは「ランニングは筋肉を分解する」という点です。

ランニングのような有酸素運動は筋肉を分解するという特徴があります。筋肉が分解されると身体の筋肉量が減り、基礎代謝が落ちます。基礎代謝が落ちると太りやすい身体となってしまいます。つまり、ランニングで筋肉が分解されるとダイエットに逆効果となってしまうのです。

このデメリットを防ぐ方法は次の2つがあります。

①筋トレも平行しておこなう

筋トレをして筋肉量も増やしておくことでランニングの筋肉分解による基礎代謝の低下を防ぐことができます。

また、ランニング前に筋トレをしておくと(やり過ぎはNG)、筋トレによって糖質が消費されており、その後のランニングでは早い段階で脂肪が燃焼されやすくなるのです。

前述したように一般的にはランニングをはじめてから20分以上経たないと脂肪燃焼率は高くなりません。しかし、ランニング前に筋トレをしておくことによって、ランニングをしてすぐに脂肪燃焼がはじまります。このように脂肪燃焼の効率が高まるので、ランニング前の筋トレはとてもおすすめです。

ランニングと筋トレの相乗効果については以下の記事でも詳しく紹介していますのでぜひご覧ください。

②タンパク質やアミノ酸を摂取する

筋肉の栄養素であるタンパク質を普段の食事でしっかり摂取しましょう。体内でタンパク質が十分に足りていればランニングによる筋肉分解を抑えることができます。

普段の食事でタンパク質の摂取が不足している場合(体重1kgあたり1g未満)は、ランニングの2時間前までにプロテインを摂取しておくといいです。プロテインをランニング前に飲むと気分が悪くなる人がたまにいるため、そういう人はアミノ酸を飲みましょう。タンパク質は体内に入るとアミノ酸に分解されるため、アミノ酸を飲んでおくことでも筋肉分解を抑えることが出来ます。

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ひざへの負担に気をつける

ランニングでひざを痛める人が圧倒的に多いです。そうならないためにも、次の3つのことを実践してください。

①膝の負担(膝、股関節、足首)の各関節のリスクを減らすために体幹の筋トレを行う

②余分な体重を落とすように規則正しい食事をする(摂取と消費のバランスを考える。簡単におおざっぱに言うと、腹八分目で食事を摂取する【消費(基礎代謝+運動)>摂取(食事】

③準備運動と終ってからのストレッチ(ケア)をする。

上記3点に加え、長距離を走る場合はひざのサポーターをを活用することも有効です。

サポーターをつけて走ることによって、怪我のリスクは大幅に減少します。今では、非常に走りやすいサポーターも出ています。

こういったサポーターは、特に怪我をしてからではなく、予防として使用するのが効果的です。 左足用と右足用があるので、負担に感じやすい方を購入するようにしましょう。3000円以下と手ごろな値段で買えます。

ランニングで意識すべきポイントまとめ

初心者がランニングを始める上で意識すべきことを解説しました。

●膝の負担(膝、股関節、足首)の各関節のリスクを減らすために体幹の筋力トレーニングをランニング+で行う。
●余分な体重を落とすように規則正しい食事をする(摂取と消費のバランスを考える。簡単におおざっぱに言うと、腹八分目で食事を摂取する【消費(基礎代謝+運動)>摂取(食事)】
●準備運動と終ってからのストレッチ(ケア)をする。

せっかくランニングを始めよう、と思えたのであれば継続することを第一に考えてください。上記の内容を意識して、ぜひ快適なランニングライフを送ってください。

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