みそのカロリーは高いけどダイエット向きって本当?糖質・脂質・タンパク質比較

みそがダイエットに向いている理由を詳しく解説します。
みそはカロリーや脂質がそこまで低いわけではありませんが、ダイエットする方には必見の栄養素がたっぷり。
みそが持つダイエット効果について見ていきましょう。

みそとは?みその種類

みそとは?

味噌(みそ)はわたしたち日本人には欠かせない調味料のひとつです。その発祥は古く、中国から米作が伝わった頃にまでさかのぼります。
みその原型は中国の保存食「ひしお」に由来するといわれており、未完成のひしおが美味しかっということで「みそ」として食べられるようになったのだとか。
みそは麹の力で大豆を発酵させてつくるのが一般的で、およそ1年ほどの時間をかけて食べごろとなります。
発酵のやり方や環境によっても熟成期間は異なりますが、早いもので3~6ヶ月、長いもので2~3年といったものも少なくありません。

毎日当たり前に食べているみそですが、知らず知らずのうちに日本人の健康を支えています。みそは発酵食品であることから健康にもいいとされ、見直されている食品のひとつです。
みその原料である豆は良質な植物性のたんぱく質が豊富で、皮膚や筋肉、髪の毛や爪などからだの細胞をつくり出します。
大豆イソフラボンには女性ホルモンと似た働きをする効果があるため美肌にも効果的で、コエンザイムQ10とともにアンチエイジング食材としても注目されているのです。

みその種類

みそは大豆と麹を混ぜて発酵させた食品です。しかし、みそには以下のような種類があります。

・米みそ
・麦みそ
・豆みそ

この3種類のみそは原材料は大豆なのですが、使う麹の種類によって呼び名が変わります。
米みそは大豆と米麹を発酵させたみそ、麦みそは大豆と麦麹を発酵させたもの、豆みそは豆麹だけを材料としています。
そこからさらに、甘口と辛口に分けられます。仕込み段階の塩の量でも変わりますが、麹をどのくらい配合するかによっても塩分は変わるのです。
一般的には麹の配合が多いほど、甘口でマイルドな塩分のみそができあがります。

また、「赤みそ」と「白みそ」がありますよね。両者とも発酵の段階で「メイラード反応」という反応によって色が濃くなっていき、うまみ成分が増えます。
この反応によっても色が変わりますが、赤みそと白みその大きな違いは、原材料の豆を蒸すか煮るかという点です。
白みそは豆を煮るため糖分やたんぱく質が取り除かれ、メイラード反応がゆるやかになります。
一方の赤みそは豆を蒸しているので、発酵の段階でメイラード反応が活発になって色が濃くなるのです。
白みその方が塩分が控えめで5~7%、赤みそは7~13%ほどで、地域によって食べるみそが異なるのが面白いですよね。

みそのカロリーはどのくらい?ダイエットに向いているのか?

みそのカロリー・糖質・脂質・タンパク質

食品 カロリー 糖質 脂質 タンパク質
みそ(大さじ1) 39 5.81g 0.54g 1.75g
ここで、みその食品分析を見てみましょう。
大豆製品というだけあってカロリーは決して低くはありませんが、脂質が低くたんぱく質が豊富であることが分かりますね。
みそはそのまま単体で食べることはほとんどないので、味噌汁や炒めものなどほかの材料が加わることで摂取カロリーも変化するでしょう。

みそでダイエットはできる?カロリーは低いの?

みそは大豆製品なので、そこまでカロリーが低い食品ではありません。
しかし、塩分を多く含んでおり調味料として使うため、カロリーオーバーするほど食べてしまう恐れは低いのではないでしょうか。
入れる具材によっても変わりますが、一般的な味噌汁1杯のカロリーは30~70kcalほどです。
毎食飲んでも1日100~150kcal程度なので、カロリーを気にするよりもみそのいいところに目を向けていきたいですね。

みそは糖質制限ダイエットに適している?

糖質制限ダイエットをしていても味噌汁を飲みたい!と思う人もいるでしょう。
みそは糖質がやや低めの食品なので、1食に1杯であれば糖質制限ダイエット中でも味噌汁を飲めます。
低糖質ダイエットの場合、厳しさによって異なりますが、1日の糖質は30~160g以下におさえるのがベストであり、味噌汁1杯あたりの糖質は5g程度だからです。
ただ、入れる具材には注意しましょう。油揚げやじゃがいもはカロリーや糖質があるため、野菜やわかめ、豆腐などを選んでください。

みそのカロリーを他食材と比較

みそのカロリー比較(おおさじ1あたりあたり)

食品 カロリー
麦みそ(大さじ1) 36kcal
酢みそ(大さじ1) 29kcal
豆みそ(大さじ1) 39kcal
こちらは、具体的に米みそ・麦みそ・酢みそ・豆みそのカロリーを比べたものです。
同じ「みそ」でも、材料が変わればカロリーも変化するということが分かりますね。
こんにゃくや茹で野菜に相性のいい酢みそはカロリーも低く、抗酸化作用のある酢が入っているのでおすすめです。
味噌汁や炒めものなど、調味料としてみそを使う場合には麦みそが最も低カロリー。
麦には食物繊維・ビタミン・ミネラル・カリウム・カルシウムなどの栄養素が豊富で、カロリーと脂質が低い食品です。

みその調理方法別のカロリー比較(1人前)

食品 カロリー
みそラーメン(1杯668.6g) 568kcal
みそ煮込みうどん(1人前721g) 570kcal
肉みそ(小鉢一杯63.9g) 118kcal
味噌汁(1杯142g) 43kcal
みそはカロリーが低めで脂質が少ない食品であるため、低糖質ダイエットでも食べていい食品だとお伝えしました。
しかし、それはあくまでも味噌汁の話。みそは調味料なので、味が濃くてカロリーが高めの食品とも相性がいいですよね。
こちらの表にあるように、みそラーメン・みそ煮込みうどんはとくにカロリーも高く、糖質が高い料理です。
一方、味噌汁は1杯あたり大さじ1杯ほどで43kcalと、低カロリーなのがわかります。
味噌汁はダイエット中にもおすすめですが、カロリーが高くなりがちなみそラーメンやみそ煮込みうどんなどの料理は避けましょう。

みその糖質・脂質・タンパク質量を他の食材と比較

みその糖質・脂質・タンパク質量比較(おおさじ1あたり)

食品 糖質 脂質 タンパク質
麦みそ(大さじ1) 4.27g 0.77g 1.75g
酢みそ(大さじ1) 4.84g 0.29g 0.95g
豆みそ(大さじ1) 1.44g 1.89g 3.1g
今度はそれぞれのみその糖質・脂質・たんぱく質量を比べてみます。
糖質が一番低いのは豆みそ、米を原材料にしているみそや砂糖が入っている酢みそはやはり糖質が高いですね。
豆みそは糖質は低く、脂質とたんぱく質が多いことが分かります。
しかし、脂質が多いからという理由だけで豆みそを避けるのはいかがでしょう。
大豆が持つ脂質のパワーについては、後ほど詳しく解説します。

みその調理方法別の糖質・脂質・タンパク質量比較(1人前)

食品 糖質 脂質 タンパク質
みそラーメン(1杯668.6g) 82.24g 11.83g 22.4g
みそ煮込みうどん(1人前721g) 67.7g 15.93g 26.17g
肉みそ(小鉢一杯63.9g) 10.25g 4.97g 6.21g
味噌汁(1杯142g) 3.44g 1.73g 3.61g
続いては、味噌を使った料理別に糖質・脂質・たんぱく質量を比べました。
色々な野菜や肉類を使えばたんぱく質が増えますが、糖質と脂質も大幅に上がっています。
ラーメンやみそ煮込みうどんに至っては、1食分だけで厚生労働省が推奨する1日の糖質(260g)の3分の1ほどに匹敵しています。
みそが健康やダイエットに効果的だとはいっても、1日3食をこのような高カロリー・高糖質の食事にしてしまうとダイエットには逆効果です。

みその特筆すべき栄養素

ここからは「みそは健康にいい」「ダイエットにもおすすめ」という理由を詳しく解説していきます。
日頃からあまりみそは食べないという人でも、ぜひ注目してみてくださいね。

良質な植物性たんぱく質

上記でも解説したように、みそにはたんぱく質が豊富に含まれています。たんぱく質は炭水化物・脂質とともに「3大栄養素」と呼ばれ、わたしたち人間が生きていくために欠かせない栄養素です。
みそのたんぱく質は発酵の段階でアミノ酸に細かく分解されているため、身体に吸収されやすくなっています。
発酵によって豊富な栄養素を逃さずに吸収でき、大豆やほかの大豆製品にはないビタミンや食物繊維を含んでいるのがみその特徴です。
みそのたんぱく質は「畑の肉」とも呼ばれ、完全栄養食品のひとつとして知られています。

良質な脂質「多価不飽和脂肪酸」

脂質というと、一般的に「太る原因」「身体が酸化したり老化したりする原因」だというイメージが強く、できる限り油ものをとらないようにしている方も多いかもしれません。
しかし、脂肪もわたしたち人間が生きてく上では欠かせない栄養素のひとつです。
そして、みそを含む大豆製品が豊富に含むのは「良い油」であり、積極的にとり入れるべきだといいます。

一般的なイメージの油は「不飽和脂肪酸」と呼ばれ、摂りすぎると肥満や動脈硬化、高血圧などの生活習慣病を引き起こします。
一方の良い油とは、多価不飽和脂肪酸と呼ばれる脂肪分のことで、以下のようなものがあげられます。
・リノール酸
・リノレン酸
・DHA(ドコサヘキサエン酸)
・EPA(エイサコペンタエン酸)
・アラキドン酸
このような多価不飽和脂肪酸は不飽和脂肪酸とは違い、血中悪玉コレステロールの低下や中性脂肪を減らす効果などにより、脂肪がつきにくい体質に変わります。
高血圧や動脈硬化を予防できるため、心臓の血管系の病気を防ぐ効果が期待されているのです。また、アレルギー改善やがん予防、免疫力の向上などの効果も期待されているとか。

先ほど豆みそは他のみそと比べて脂質が高いというお話をしましたが、生活習慣病を予防したり肥満を予防したりするには豆みそが一番効果的だということです。
豆みそは糖質も低いですし、ダイエットに最も向いているみそだといえるでしょう。

女性にうれしい「大豆イソフラボン」

大豆製品が注目されている理由に「大豆イソフラボン」があります。大豆イソフラボンはポリフェノールの一種で、アンチエイジング効果にも期待されている成分です。
大豆イソフラボンは女性ホルモンに似た働きをして、女性ホルモンのバランスを整えてくれます。
すると更年期障害や生理痛が改善されたり、髪の毛を抜けにくくしたり肌ツヤをきれいに保ったりするのです。

ダイエットのために食事制限をすると、肌が荒れたり体調が崩れたりしやすくなりますが、みそを始めとする大豆製品で身体のバランスを整えてあげられます。
みその豊富な栄養素と発酵パワーによって、ダイエット中でも内側からからだをキレイに保つことができますね。

みそのおすすめ調理方法・レシピ

みその調理方法のポイント

みそは味が塩分がしっかりしていて、アミノ酸などの旨味成分が豊富であることから、少量でも食べごたえを感じられます。
味噌汁はもちろん、炒め物の調味料やサラダなどのドレッシングに活用するのもおすすめです。
ダイエットであれば、こんにゃくに酢みそを合わせるとよいでしょう。こんにゃくは糖質・脂質・カロリーともに低く、食物繊維が豊富で便通を改善する効果があります。
みそとマヨネーズを合わせて、野菜スティックのソースとするのもいいでしょう。

「鶏肉の味噌レモン焼き」のレシピ

以下では、サッパリとしているのにご飯のおかずにもなる「鶏肉の味噌レモン焼き」のレシピを紹介します。

【材料】2人前
・鶏むね肉 2枚
・みそ 大さじ2杯
・レモン汁 大さじ1杯
・砂糖 小さじ2分の1杯
・水 適量
・塩コショウ
・付け合せのサラダやトマト お好みで

【つくり方】
1.みそ・レモン汁・砂糖を合わせよく混ぜる。様子を見ながら水を加え、鶏肉に塗りやすい固さまでのばす。
2.鶏むね肉の厚い部分を切り開き、厚さを均一にする。
3.鶏むね肉に軽く塩コショウをして、皮目を下にしてグリルかオーブントースターへ。(アルミホイルを敷くとよい)
4.3分の1ほど火が通ったら裏返し、合わせておいた調味料を鶏肉の皮目にぬる。
5.塗った面を上にして、しっかり火が通るまで加熱する。
6.鶏むね肉に火が通ったら、サラダなどの付け合せと一緒にお皿に盛る。完成!

本格的にダイエットしている方はこの料理をメインとしてもいいですし、食事制限なしにダイエットをするならご飯のおかずとしても相性がいいですよ。
また、時間がある場合は、朝にとり肉を調味料に漬け込んでおいて夕食として調理すれば、肉がやわらかくしっとりしてよりおいしく食べられます。

みそでダイエットの注意点、太ってしまう理由

みそが健康にいい理由やダイエットにおすすめの理由を述べてきました。
しかし、方法を間違うと逆効果になってしまうこともあるので、注意点をまとめておきます。

本物のみそとニセモノのみそを見分けよう

見た目で見分けるのは難しいですが、市販のみその中には「ニセモノ」がある場合も少なくありません。
ニセモノとは、きちんとした発酵過程を経ておらず、これまで紹介した栄養素や効果を得られないみそのことです。
遺伝子組み換え大豆や添加物をたくさん使用したり、短い発酵時間で無理に「みそっぽく」仕上げていたりするものや、商品が劣化しないようにアルコールや加熱で
菌を殺していたりするものまで。
このようなみそを食べても、みそ本来のおいしさや健康に対する効果は見込めません。
本物のみそは「天然醸造」と書かれているものですので、みそを買う際は「天然醸造」と書かれているか注意しましょう。

みその食べ過ぎは太る原因に

みそは良質な脂肪や豊富なたんぱく質などの栄養素を多く含むため、ダイエットにおすすめだと紹介しました。
だからといって大量に食べては逆効果。塩分を多く含んでいるのでむくみやすくなり、太る原因になってしまいます。
みそは糖質は低いですが、カロリーが低いわけではありません。
1日3食すべてみそ汁を飲むくらいであれば問題ありませんが、カロリーオーバーや脂質のとり過ぎにならないように注意しましょう。