えのきのカロリーはどのくらい?ダイエットに活用するべき驚くべきえのきの効果

味噌汁や炒め物にもよく使われる「えのき」。えのきのカロリー・糖質はどのくらい?えのきの一袋あたりは?最強のダイエットフードというのは本当か?ダイエット食材として不動の人気を誇るえのきの栄養・カロリー・効能などについて徹底解説します。ダイエット効果を高める食べ方・レシピもご紹介します。

えのきのカロリーはどのくらい?ダイエットには向いている?

えのきとは?

えのきは世界中に広く分布しているキシメジ科エノキタケ属のきのこです。
日本でも古くから自生していますが、野生のえのきは色が茶色く、カサも広く、市販のえのきとは似ても似つかぬきのこらしい外見をしています。
昭和初期に冷暗所で人工的に栽培する技術が確立し、その後品種改良を重ねて、日に当てても色づかない現在のえのきが誕生しました。
季節を問わず手に入り、安価で栄養価も高いとあって、今では国内でもっとも生産量が多く、しめじやしいたけと並びすっかりおなじみのきのこです。

えのきのカロリー・糖質・脂質・タンパク質は?

食品 カロリー 糖質 脂質(100g) タンパク質
えのき 22 3.7g 0.2g 2.7g
えのきの場合、糖質は3.7g。これなら目くじらをたてるほどの量ではありません。
スタンダードな糖質制限では一日の糖質摂取量が80gから130gと設定されていますから、えのきは糖質制限中でも問題なく摂取できる食品と言っていいでしょう。

えのきでダイエットはできる?カロリーは低いの?

えのきのカロリーは100gあたり22kcalです。市販されている一袋の可食部分がだいたい100gと考えればいいでしょう。
22kcalと言えば体重50kgの人が30分ほど睡眠をとれば消費できてしまう量。つまりえのきはカロリーを気にせず摂取できる食品と言えます。

えのきのカロリーを他食材と比較

えのきと他のきのこ類とのカロリー比較(100gあたり)

食品 カロリー
えのき 22kcal
えりんぎ 23kcal
まいたけ 16kcal
しいたけ 17kcal
しめじ 14kcal
きのこ全般が低カロリーなのはダイエッターなら常識です。えのきが他のきのこと比較して特別カロリーが高い、低いということはありません。たしかにしめじと比べると若干高く見えますが、気にするほどの差ではありません。

えのきの調理方法別のカロリー比較(1人前)

食品 カロリー
えのきの天ぷら(1個) 72kcal
味噌汁(1杯) 33kcal
せっかくカロリーの低いえのきも、天ぷらにすると揚げ油の影響でカロリーが跳ね上がってしまいます。衣に使う粉類や卵もカロリーを上げる原因です。えのき一袋で天ぷらは4~5個できますから、一袋分を一人で食べればそれだけで360kcalです。

同じ量のえのきでも、味噌汁にした場合、一人前はわずか33kcal。わかめや豆腐と合わせてもカロリーはさほど変わりません。ただしたとえ味噌汁でも、脂肪分の多い豚肉などと合わせれば高カロリーになるのは言う間でもありません。

このようにえのきは組み合わせやレシピによってカロリーが大きく変わる食品です。

えのきの糖質・脂質・タンパク質量を他の食材と比較

えのきと他のきのこ類との糖質・脂質・タンパク質量比較(100gあたり)

食品 糖質 脂質 タンパク質
えのき 3.7g 0.2g 2.7g
えりんぎ 2.7g 0.5g 3.6g
まいたけ 0g 0.7g 3.7g
しいたけ 1.4g 0.4g 3g
しめじ 1.1g 0.3g 2.1g
他のきのことえのきを比較しても、目につく差異はありません。

えのきの調理方法別の糖質・脂質・タンパク質量比較(1人前)

食品 糖質 脂質 タンパク質
えのきの天ぷら(1個) 5.1g 5.4g 1.2g
味噌汁(1杯) 4.7g 0.8g 2.8g
えのき自体に脂肪はほとんど含まれていませんが、天ぷらにするとどうしても脂質量は増加します。衣に使われる粉類の影響で糖質量も上がります。
もちろんバターやオイルで炒めてもおいしいのですが、せっかく甘みとうまみがあって、火を通しても食感を楽しめるきのこですから、脂質や糖質が気になる人は、鍋、味噌汁、煮びたしなど、えのき本来の持ち味をいかしてシンプルにいただくのがいいでしょう。

えのきの特筆すべき栄養素

代謝活動を支えるビタミンB群が豊富

ビタミンB群とは、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン(ビタミンB3)、パンテトン酸(ビタミンB5)など、8種類の水溶性ビタミンの総称です。
糖質、脂質、タンパク質を三大栄養素と呼びますが、ビタミンB群はこれら三大栄養素の代謝に欠かせない存在です。また相互に連携しながら体組織の維持・形成を助けています。
えのきにはこのビタミンB群が豊富に含まれており、中でもビタミンB1の含有量はきのこの中でもトップクラスです。

ビタミンB1は糖質の代謝に欠かせない栄養素です。脳や神経の機能維持、疲労回復などにも大きな役割を果たしています。ビタミンB1が不足すると体はエネルギー不足におちいり、疲労感、イライラ感、集中力の低下が起こります。

ビタミンB2は三大栄養素のすべての代謝に関わっていますが、特に脂質代謝との関連性が深く、過酸化脂質の分解にも貢献しています。細胞の新陳代謝を促し皮膚や粘膜を正常に保つ働きがあるので、ビタミンB2が不足すると肌荒れや口内炎が起こります。

ビタミンB6はタンパク質をアミノ酸に分解・再合成する過程で欠かせない栄養素です。筋肉増強と基礎代謝のアップも助けてくれるビタミンですから、運動をする人やダイエッターには積極的に摂ってほしい栄養素です。

このほかにも、アルコールの分解に役だつナイアシン、アレルギーやストレスを緩和するパンテトン酸、造血や細胞の新陳代謝を支える葉酸など、ビタミンB群は心身の健康に直結する栄養素です。水溶性なので体外に排出されやすく、こまめな補給が必要なので、これらを手軽に摂取できるえのきは非常に便利な食品と言えます。

現代人に不足しがちなミネラル・電解質が豊富

えのきにはミネラル分も豊富です。
えのきに含まれるカリウムは体内の余分な塩分(ナトリウム)を排出し、むくみや高血圧を改善・予防する働きがあります。
マグネシウムは酵素を正常に働かせるミネラルで、歯や骨の形成にも深く関わっています。また腸内で水分を吸収して便を軟らかくする働きもあります。
意外ですがえのきには鉄分も含まれています。鉄分は一回の食事から吸収される量が少なく、現代人には不足しがちなミネラルの一つです。鉄分が不足すると体は酸素不足におちいり、疲れやすくなったり貧血を起こしたりします。特に女性には意識的に摂ってほしい必須ミネラルです。

内臓脂肪を減らしてくれるエノキタケリノール酸

えのきを語る上で絶対にはずせないのがエノキタケリノール酸の存在です。
そもそもきのこ類の細胞壁にはキノコキトサンという植物性キトサンが含まれています。甲殻類の甲羅や殻から抽出される動物性キトサン同様、キノコキトサンにも体内の余分な脂肪や有害物質を排出する働きがあります。
もともとえのきはこのキノコキトサンの含有量が最も多いきのことして知られていました。
さらに2006年、えのきのキノコキトサンの一部としてえのき特有の新成分が発見され大きな注目を浴びます。これがエノキタケリノール酸です。研究が進むにつれて、なんとエノキタケリノール酸には内臓脂肪を減少させる効果があることが証明されました。
発見者である横浜薬科大学の渡邉泰雄教授によれば、エノキタケリノール酸は脳を「運動中」と錯覚させて、脂肪の燃焼など運動をした時と同じ反応を体に起こす作用があるということです。
エノキタケリノール酸を効果的に摂取するには、えのきを数時間天日で干して細胞壁を破壊した上でお茶やスープに使うのが最適とされています。内臓脂肪が気になる人はぜひ継続してみましょう。

これら以外にも、えのきにはダイエットと健康に役立つ成分が目白押しです。副交感神経を優位に立たせてリラックスをもたらすGABA。腸内で善玉菌のエサとなって腸内フローラを整えるトレハロース。免疫細胞を活性化させるβ-グルカン。便秘を緩和する不溶性食物繊維。さらには保湿成分として有名な、美肌に役立つグアニル酸…。まさに心身を健康に保ちダイエットに役立つ有効成分の宝庫です。まさにえのきは「最強のダイエット食品」なのですね。

えのきのおすすめ調理方法・レシピ

えのきは理想的なかさ増し食品

えのきはくせがなくどんな料理にもなじむので、かさ増しに使うと糖質制限やカロリー制限を助けてくれます。
ハンバーグ、ドライカレー、餃子などのミンチを使う料理で、肉を減らして刻んだえのきを混ぜれば大幅なカロリーダウンが期待できます。
あるいはパスタの量を減らしてえのきをたっぷり混ぜれば、その分、パスタの糖質をカットすることが可能です。

ベーコン巻き

つまみやお弁当のおかずとして大人気のベーコン巻き。ベーコン2枚とえのき一袋で一般的なベーコン巻きを作ると総カロリーは200kcalを超えてしまいます。ただしこのカロリーのほとんどは焼く時の油とベーコンのものです。油やバターを使わず、ベーコンを赤身のものに替え、巻いたえのきを電子レンジで加熱する方法なら、ベーコンの余分な油も落ちて、総カロリーを半分以下に抑えることができてヘルシーです。

えのき氷

えのき氷って一時期はやりましたよね。えのきと水をミキサーで攪拌し、煮つめて冷まして凍らせたものです。
作ったことはありますか?「めんどくさい」という理由で続かなかった人もいるのでは?
けれども実は、えのきに秘められたダイエットパワーを余すところなく活用するのに、えのき氷はとても合理的なアイテムなのです。
まず、ペースト状にすることによってえのきの丈夫な細胞壁が壊れ、キノコキトサンやアミノ酸などの有効成分が出やすくなります。それを一時間煮つめることで、お湯の中に有効成分がしっかりと抽出されます。冷凍するのは、もちろん保存の意味もありますが、ここまでの工程でまだ壊れずに残っていた頑固な細胞壁を徹底的に破壊して有効成分を残らず取り出すための工夫でもあります。
一番敬遠されるのが「一時間煮込む」という作業でしょう。これは一度沸騰させたペーストを炊飯器に移して一時間保温することで簡略化できます。
火が通ると思いのほか量が減るので、一度にたくさん作ることをおすすめします。味も香りもほとんどなく、料理の邪魔にはなりません。代わりにうまみとコクが出るので、煮物でも味噌汁でも炊飯でもシチューでも、水気のあるものにどんどん放り込めばO.K.です。
いくらえのきがダイエットにいいと聞いても毎日食べ続けるのは大変です。えのき氷を作っておけば、挫折せずにすむでしょう。

えのきでダイエットの注意点、健康上に問題、太ってしまう理由

えのきダイエットの注意点

えのきには不溶性食物繊維が豊富です。不溶性食物繊維は便の量を増やしたり、腸のぜん動運動をうながすなど便秘の解消に効果的ですが、一度にたくさん摂取すると逆に便が硬くなったり、おなかが張ったり、便秘がひどくなったりすることがあります。普段から便秘気味で腸の動きが悪い人、あるいは逆に腸が過敏でおなかを壊しやすい人などは、少量から様子を見て徐々に増やすことをおすすめします。
不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の量のバランスも大切です。水溶性食物繊維はこんにゃくや海藻類に多く含まれ、腸内の余分な水分を引き寄せて便の硬さを調整してくれます。不溶性と水溶性の理想的な割合は2:1。えのきなどのきのこ類を積極的に摂る場合は、水溶性食物繊維も意識的に摂りましょう。
また、えのきはこの文中でも何度か触れた通り、とても細胞壁が頑丈です。そのまま食べても細胞壁に守られて、せっかくの栄養素がうまく消化・吸収されないことがあります。よく噛むことも大切ですが、こまかく刻む、干す、凍らせるなど、細胞壁を壊すひと手間を加えることで吸収効率が大幅にアップします。

調理の方法に注意

さいごに、えのき自体は低糖質・低カロリーでも、みりんや砂糖は糖質を上げ、炒めたり揚げたりすればカロリーも上がります。油断していると知らない間に摂取量の限度をオーバーしてしまうので、たとええのきを使った料理でも食べすぎには十分気をつけましょう。

以上のことさえ気をつければ、えのきはダイエットだけでなく免疫力アップや生活習慣病の予防など体にいいことがいっぱいのヘルシーフードです。毎日の食卓にどんどん登場させましょう。