【プロ解説】筋力アップに最適なトレーニング方法・食事とは?筋肥大との違いも

監修者

木暮 淳一

NSCA-CSCS

もっと重いものを持ち上げたい!ベンチプレスを強くなりたい!筋力アップはただ筋肥大させればいいわけではありません。筋肥大の違いから、筋力アップに必要なトレーニングの方法・ポイント、効果的な食事・栄養摂取のコツをお教えします!

筋力アップのメカニズム

「ベンチプレスでもっと重い重量をあげられるようになりたい」といった目標を持つと必要になることが「筋力アップ」です。
筋力アップさせるには何が必要になるのでしょうか?

実は、筋力アップさせるためには、ただ闇雲に筋肉を大きく(=筋肥大)させればいいというわけではありません。

まずは筋力アップのメカニズムから解説します。

■筋力について
筋力は筋肉の大きさに比例して向上します。(=筋肥大)
しかし、筋肥大で筋肉を増やしても、増やした筋肉が動いてくれないと筋力は向上しません。
そのため、筋力アップを目的とした筋トレで、増やした筋肉を効率的に動いてもらえるようにしていく必要があります。

■筋力アップのメカニズム
増やした筋肉を効率的に動いてもらえるようにしていくためには、増やした筋肉を使わざるを得ない状況を作ることで、効率的に筋が動員され、筋力アップします。

では、増やした筋肉を使わざるを得ない状況をどのようにして作れば良いのでしょうか?

筋力アップに必要なトレーニング方法

増やした筋肉を使わざるを得ない状況は、フリーウェイトトレーニングを中心に高重量を扱っていきます。

フリーウェイトトレーニングを行う理由は、

・全身の力を使うので
・より重い重量を扱え、
・一部分だけではなく全身同時に力を出す能力を鍛えられる

といったことが挙げられます。

特定の箇所を鍛えるマシントレーニングと違って、足で踏ん張りながら地面を押す力を利用できる部分で、その力を利用することで上半身のトレーニングもより重いものを持ち上げられるようになります。

筋力アップのためのプログラム(回数、セット、インターバル)

筋力アップのための筋トレのやり方は以下の通りです。

・3~5セット×5レップ(5回がギリギリの重さで5回行う)
・セット間インターバルは、長めで2分~5分
筋肥大と異なる点は、

・追い込まない(効かせるために追い込むことは避ける)
・疲れが取れるまでインターバルを長めに取る

というところです。

筋肥大では「筋肉に効かせる」ということを意識しますが、筋力アップでは効かせる意識はほぼ無くて構いません。その分の意識を「全力を出す」という意識に置き換えます。

具体的に言うと、

①1回1回全力を出す
②挙上時のスピードを出す

という意識です。

この2点についてもっと詳しく解説します。

筋力アップトレーニングのコツ

「1回1回全力を出す」、「挙上時のスピードを意識する」の2点をより詳しく解説します。

①1回1回全力を出して神経系を強くする

「1回1回全力を出す」ということは、その名の通り120%の力を毎回出すように意識するということです。
なぜなら、筋肉とつながっている神経系を鍛えなければいけないためです。

筋肉が力を発揮するためには、【脳みそ→神経系→筋肉】というように、脳からの指令を運ぶ命令系統である神経系も強くなければいけません。
この神経系を強くするためには、「1回1回脳みそで意識して全力を出す」という作業が必要になるのです。

②挙上時のスピードを上げて速筋を鍛える

「挙上時のスピードを意識する」ということもとても大切です。

筋肉には主に速筋と遅筋の二種類あります。
・速筋…大きな力を出す。陸上の短距離選手や野球選手に多い。
・遅筋…小さい力を持続的に出す。マラソン選手に多い。
という特徴があります。

筋力アップを目指す時は、速筋を鍛えるとより力を出しやすくなるということになります。そしてその速筋を鍛えるためには、トレーニングの時に挙上時のスピードを上げることが効果的なのです。

理由は、スピードを上げることで筋肉の疲労を抑えながら高重量を高回数行うことができるからです。

まとめますと、

・ベンチプレス…ゆっくり下ろして→全力でスピードを意識してバーを押す
・スクワット…ゆっくり下ろして→全力でスピードを意識してバーを上げる
・デッドリフト…全力でスピードを意識してバーを引く
という意識がポイントです。

筋力アップに必要な栄養素

筋力アップをするための栄養で気を付ける点を教えてください。

木暮 淳一監修トレーナーからのアドバイス

NSCA-CSCS

筋力アップの為にはトレーニングだけではなく、栄養も必要です。
栄養が足りなければ筋力アップはかなり難しくなってしまいます。さらに量と質を意識することが大切です。

筋力アップをする時に大切なことは、以下の2種類が主に必要です。

①トレーニングの質を高めるための身体の準備の栄養
②トレーニング後の回復の栄養

①トレーニングの質を高めるための栄養

ざっくり言ってしまうと、力を出すための栄養です。

◯たんぱく質

たんぱく質が重要なことは言わずもがな、たんぱく質の種類によってパワーの出方は変わります。

△植物性たんぱく質
◯動物性たんぱく質

イメージしていただくと分かりやすいと思いますが、トレーニング前に豆腐を食べた時と牛肉を食べた時、牛肉(動物性たんぱく質)の方が力が出そうですよね。

実際に、肉を食べたほうが男性ホルモンの分泌が盛んになるという研究結果があります。
そのため、トレーニング日の朝食には肉を食べるようにする・前日に肉を食べる等の意識が大切です。

<摂取量>
体重×1.5〜2.0g

明確な基準はないので、ご自身で色々試して記録をつけて、データを集めていくことをお勧めします。

木暮 淳一監修トレーナーからのアドバイス

NSCA-CSCS

ちなみに私はスクワットの前日に牛肉を食べるようにしています。
1日のたんぱく質の摂取量は200gにしています。(体重の約2.7倍)

◯炭水化物
炭水化物は筋肉を動かすエネルギー源になります。そしてもう一つ忘れてはいけないのが、脳みその栄養にもなるということです。

脳みその栄養になるということは、脳みそから繋がっている神経の働きも良くなる(正常になる)ということです。
逆に神経の働きが悪ければ力は出にくくなってしまいますので、筋力アップは難しくなってしまいます。

例え減量期であろうと、トレーニング前には炭水化物は摂取しなければいけません。
これもトレーニング前に40gや60gなど様々な意見がありますが、その方によって変わりますので明確な基準はありません。
色々試していくことが必要になってきます。

②トレーニング後の回復の為の栄養

これはトレーニングの疲労を回復し、次回のトレーニングに繋げる栄養です。

トレーニング後は身体が疲弊しますが、筋力アップのトレーニングを行うと筋肉だけでなく、神経や脳みそも疲れます。

・筋肉→たんぱく質
・脳みそ→炭水化物

といった栄養が主に必要です。

◯摂取タイミング
トレーニング後、なるべく早く摂取することが望ましいとされています。

もし、トレーニングの疲れで食欲がすぐには湧かない場合は、プロテインを摂取しましょう。
プロテインは消化吸収が早いのでお勧めのサプリメントになります。

③ビタミンも重要

ビタミンB群はたんぱく質や炭水化物の吸収を助ける働きがあるので、意識して摂取したいものです。
主に肉類や魚類に多く含まれています。

また他のビタミン群には体の調子を整える働きがあるので、それらを摂取するために野菜もたくさん食べなければいけません。
理想としてはたんぱく質の3倍の体積とも言われていますので、意識しないと中々摂れない量になります。

筋力アップの方法まとめ

結構意識することがたくさんありますね。

木暮 淳一監修トレーナーからのアドバイス

NSCA-CSCS

以下にまとめます。

筋力アップをするために必要なことは

・少ないレップ数で限界の90%程度の高重量の負荷で3~5レップ・セット数は3~5セット
・1回1回全力を出して速筋の筋繊維を鍛える
・栄養をたくさん摂る・なるべくたんぱく質は動物性たんぱく質を多めに
という点がポイントになります。

木暮 淳一監修トレーナーからのアドバイス

NSCA-CSCS

筋力アップの答えはその方それぞれですので、今回の記事を参考にしていただき、色々試してぜひ自分なりの筋力アップ方法を構築していってください。
皆さんのトレーニングが上手くいくことを願っています。