【専門家解説】ストレスを溜めすぎると痩せてしまう。どうしてストレスで痩せてしまうのか?主な原因は「食欲不振」と「自律神経の不調」です。どちらもストレスを引き金にして起こる不調ですが、そのメカニズムと、ストレスへの対処法について説明します。
ストレス痩せの原因とは?
最近、なんだか痩せてきてるんです。これ以上痩せるとさすがに心配になるのですが、何が原因なのでしょうか?
韮澤 烈監修トレーナーからのアドバイス
田町式パーソナルトレーナー メンタルコーチ
もしかして、お仕事か何かでストレスを溜めていませんか?
ああ、確かに忙しくて目が回りそうです。ストレスは感じていますね。でも、ストレスが溜まるとむしろ太るイメージがあるのですが?
韮澤 烈監修トレーナーからのアドバイス
田町式パーソナルトレーナー メンタルコーチ
いえ、ストレスで太る方ばかりでなく、逆に痩せてしまう方もいるのです。
そうだったんですね!では、私はどうしてストレスで痩せてしまったのでしょうか?
韮澤 烈監修トレーナーからのアドバイス
田町式パーソナルトレーナー メンタルコーチ
はい。その原因のほとんどがストレスによる食欲不振です。きちんとした食事ができないとカロリーが不足し、どうしても痩せてしまいますね。
でも、食欲もあるし沢山食べていても体重が落ちていくんです。カロリーは足りていると思うのですが……。
韮澤 烈監修トレーナーからのアドバイス
田町式パーソナルトレーナー メンタルコーチ
食欲があるのに痩せてしまう場合、ストレスによる自律神経の乱れによる消化不良が原因かもしれません。順番にご説明しましょう。
今回はストレスが引き起こす食欲不振と消化不良についてご説明します。
ストレスで食欲が出なくなる原因とは?
仕事が忙しすぎる。不規則な生活リズム。睡眠不足。または暑さ寒さなど、肉体的に強いストレスに晒されていたり、ハードスケジュールにより疲れすぎている時、食欲がわかない事があります。
また、精神的なストレスに晒されている時も同様です。
ショックな出来事でひどく落ち込んでいる時。長い時間、緊張状態にさらされている時。その他、不安や恐怖など、精神的に疲弊してる時も食欲が湧かなくなることがあります。
食べられなくて痩せてしまう。健康的とは言えませんよね。ダイエットというより「やつれている」状態ですね。
ストレスが食欲を抑えてしまう。その原因の一つに、ストレスによって多く分泌されるホルモン「コルチゾール」があげられます。
ストレスで増えるホルモン「コルチゾール」が痩せる原因になる?
コルチゾールの役割として、
・肝臓での糖の新生
・筋肉でのタンパク質代謝
・脂肪組織での脂肪の分解など、代謝の促進
・抗炎症や免疫の抑制
など、コルチゾールは人間の生命維持にとって大切なホルモンです。分泌が過剰でも不足しても、健康に影響を及ぼすものです。
また、コルチゾールには血液中のブドウ糖を増加させ、血糖値を上昇させるホルモンでもあり、分泌が過剰になると糖尿病のリスクを上げる事となります。
コルチゾールの分泌過剰により血糖値が上がりますが、ストレスによって分泌が増加することが分かっています。
つまり、日常生活でストレスを受けるとコルチゾールが分泌されるのです。それにより血糖値が上がりやすくなり、結果として食欲が抑制されるのです。
血糖値と食欲
血糖値が下がると、脳の摂食中枢から、「エネルギーが足りない」と感知し、「エネルギーを補給しなさい」と信号を送ります。その信号により、私たちは「お腹がすいた!」と感じるのです。
血糖値が上がると食欲が抑えられる
つまり、血糖値が高い状態では空腹を感じないともいえるのです。
以上の事から、ストレスを感じるとコルチゾールの分泌量が増え、血糖値が上昇しやすくなります。
韮澤 烈監修トレーナーからのアドバイス
田町式パーソナルトレーナー メンタルコーチ
血糖値が上昇することで空腹感を感じにくくなり、食欲が抑制され、食欲不振へとつながるのです。
しっかり食べているのに痩せていく。その理由とは?
自律神経とは、人間の生命を維持するために働く神経です。
循環器、消化器、呼吸器などの活動を調整するため24時間活動する神経で、「交感神経」と「副交感神経」に分類されます。交感神経と副交感神経の活動バランスが崩れる事で胃腸の動きが悪くなり、体重の減少を招く可能性があります。
交感神経・副交感神経の働き
交感神経の主な働き
・瞳孔が広がる
・呼吸が早くなる
・心拍数が増加する
・血圧が上がる
・胃腸の働きを抑制する
・消化液の分泌を抑制する
副交感神経の主な働き
・瞳孔の収縮
・呼吸がゆっくりになる
・心拍数が減少する
・血圧が下降する
・胃腸の働きを促進する
・消化液の分泌を促進する
交感神経が優位に働いている時、胃腸の機能が低下し、消化液の分泌も抑制されてしまいます。よって、交感神経が優位な状況が続くことで食べ物を消化吸収しにくい体となるのです。
交感神経と副交感神経はシーソーのような関係にあり、どちらか一方が働いている時には、もう一方は休んでいます。
交感神経は緊急時やストレスに晒された時に、身体を戦闘態勢にする神経です。副交感神経はリラックス。肉体の修復・メンテナンスを担う神経です。
通常、食事中などはリラックスした状況で、副交感神経が優位となります。しかし、強くストレスがかかっている状態では食事中も交感神経が優位なままとなります。
こうなると、せっかくの食事も正しく消化できず、栄養も吸収されません。よって、ストレスが溜まると消化吸収がされにくい状態となり、食事をしていても痩せていってしまうのです。
このように、強いストレスに晒されると食欲不振や消化不良を起こし、肉体はやせ細っていきます。栄養状態の悪いまま生活をしていると、体調不良が長引き、さらにストレスが溜まるという悪循環に陥りかねません。では、こういった状況から抜け出すにはどうしたら良いのでしょうか?
ストレス痩せを脱出する方法は?
ストレスの原因を解消する
韮澤 烈監修トレーナーからのアドバイス
田町式パーソナルトレーナー メンタルコーチ
ストレスの原因も様々ですが、一番の対処法は原因を取り除くことです。
それは分かっていてもなかなか難しいんですよね。そもそも、それができないからストレスを感じているわけですから……。
韮澤 烈監修トレーナーからのアドバイス
田町式パーソナルトレーナー メンタルコーチ
そうですよね。そこで、他の対策・対処法をいくつかご紹介します。
運動でストレスを解消する
毎日通勤で歩いているから問題ない!という方がいらっしゃいますが、毎日の通勤で歩くのと、自分から意図して身体を動かすのとでは効果が違います。
まず、通勤で歩くのは仕事に関わる事柄のため、脳は緊張状態となっています。つまり、脳の心構えが「仕事モード」なのです。この状況では、リフレッシュ効果はあまり期待できません。歩くにしても、運動のため!と意図して歩くことが大切です。運動に集中しましょう!
また、リズミカルな運動により「セロトニン」という脳内ホルモンが分泌されやすくなります。セロトニンはストレスに対して効能があり、セロトニンの分泌を促すことでストレスを緩和することができるのです。
ウォーキングのようなリズミカルな歩行。またはランニング。スクワットなども効果があります。適度な運動で肉体の健康を保ち、セロトニンの分泌も促されるためストレスも軽減されるのです。まさに一石二鳥ですね。
【プロトレーナー解説】スクワットは筋トレ種目BIG3の1つであり、その効果は絶大です。ダイエットや筋力アップ、身体の不調改善など様々です。そんなスクワットですが、正しいやり方をしないと効果が半減してしまう可能性もあります。正しいやり方や効果について解説します。
運動以外でのストレス解消法は?
シャワーだけで済ませず、しっかり湯船につかりましょう。
湯船につかる事で血行が良くなり、疲労が回復するのはもちろん。お湯の浮力が緊張をほぐしてくれる効果もあるのです。体の緊張がほぐれる事で副交感神経が優位になり、リラックス効果を得られます。
・太陽の光を浴びる
もっとも簡単なストレス解消法です。太陽の光を浴びる事で、セロトニンの分泌が活性化されます。
セロトニンがストレスの軽減に効果がある事はご説明しましたが、ウォーキングやランニングと組み合わせる事で更に大きな効果が期待できます。
韮澤 烈監修トレーナーからのアドバイス
田町式パーソナルトレーナー メンタルコーチ
結局のところ、ストレス痩せの対策としては「上手にストレスを発散する」事が大切です。そしてストレスを発散する一番の方法は、「適度な運動」と「規則正しい生活」を心掛ける事なのです。
つまり、腸内環境を整える事で、セロトニンの分泌を増やすことに繋がります。
乳酸菌の摂取などで腸内環境を整え、リズミカルな運動でストレス痩せを解消しましょう!
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