肩甲骨の下が痛い!それ、放っておくと大変かも?正しい対処法とは

監修者

北村 真美

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

【専門家解説】肩甲骨の下の痛みの原因とは何か?解説します。肩甲骨の下が痛い場合は、肩甲骨周囲の筋肉の影響による痛みと、内臓からくる痛みとがあります。正しい判断と対処法により改善が可能な場合もありますので、チェックしてみましょう。

肩甲骨の下が痛い。考えられる原因とは?

肩甲骨の下に痛みがあります。原因によっては病院に行った方がよいでしょうか?

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

肩甲骨の下の痛みの原因は主に二つあります。その原因を知り改善策を考えていきましょう。
場合によっては医療機関への受診をお勧めします。正しい判断ができない場合は医療機関に相談しましょう。

姿勢不良や身体のゆがみからくる筋肉や骨に原因がある場合

身体を動かす際に、筋肉は単体で活動しているわけではなく、多くの筋肉が連動して動いています。そのため、体にゆがみが生じると、一部の筋肉に負担がかかり、連動している筋肉が代替したり、バランスを取ったりすることで体を動かしていきます。
身体のゆがみといっても、肩甲骨のゆがみのみではなく、脊柱のゆがみや骨盤のゆがみによっても、背中にある筋肉には大きな負担が生じるため、肩甲骨の下に痛みが出現するというわけです。

肩甲骨や背中の筋肉の過緊張による痛みが原因の場合と、頸椎などの脊柱がズレることでヘルニアのように神経が圧迫することにより起こる痛みがありますので、次項より詳しく説明していきます。

内臓が原因の場合

内臓の炎症や内臓からの痛みが、体壁や同じ脊髄文節に入力されている皮膚に痛みを生じさせる、筋性防御や関連痛といった内臓の直接の痛みではない部位の痛みとして生じるものがあります。
内臓には直接痛みを感じる知覚神経がなく、異常を知らせる方法として、皮膚や筋肉に痛みを感じるメカニズムを持っているというわけです。

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

それぞれの原因による痛みのメカニズムについて詳しく説明していきます。

肩甲骨の下が痛い原因|筋肉または骨の場合

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

筋肉の過緊張による痛みに対しては、後半に説明するストレッチによって改善が可能な場合が多いです。

筋肉に原因がある痛み

肩甲骨周囲には多くの筋肉が付着しており、肩関節の動きに伴って肩甲骨を動かす働きがあります。
日常生活において、肩関節を動かす機会は多く、肩甲骨周囲筋の筋疲労が起こり、筋肉の過緊張によって痛みが生じる可能性が考えられます。

肩甲骨の下が痛いということであれば、僧帽筋下部、前鋸筋、広背筋は肩甲骨下部に位置しているため、過緊張による痛みの部位としての可能性は考えられます。また連動して、脊柱起立筋群や腰部筋肉への緊張も起こりやすく、肩甲骨周囲の痛みのみならず背中、腰部の痛みに繋がる可能性が考えられます。

骨や神経の異常が原因の痛み

現代ではパソコンやスマホが普及したことで、使用時は常に頸部が屈曲しており、利き手側への頸部の傾きが同時に起こっていることが多いです。また、座位姿勢での操作では骨盤の後傾や脊柱の湾曲が長時間持続することが多く、脊柱や骨盤にゆがみが生じる原因となります。

頸部や腰部への負担が増大すると骨のズレや椎間板ヘルニア等によって神経が圧迫され、肩甲骨周囲のみならず、手や下肢の筋肉に痛みやしびれを起こすことがあります。

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

肩甲骨周囲の痛みのみではなく、手や下肢にもしびれの症状がある場合には、ヘルニア等の神経への圧迫が考えられますので、医療機関への受診をお勧めします。

筋肉に原因がある場合の対処法について

肩甲骨の下が痛い場合の過緊張が起きている筋肉は、上記に挙げた通り、僧帽筋下部、前鋸筋、広背筋である可能性が高いです。しかし、筋肉は連動して動いているため、背中から腰部にかけての筋肉のストレッチも同時に行うことで今後の痛みの予防にも繋がります。

1.僧帽筋のストレッチ
立位姿勢で足は肩幅に開き、手を組みます。肩の高さで腕を前に伸ばします。伸ばした腕を前方へ押し出し、肩甲骨を左右に開いて背中をストレッチします。背中を丸めながら行います。この際、イマージとして胸の前に大きなボールを抱えるように行うと背中を正しく丸めることできるでしょう。首を前に傾けると、より背中の筋肉がストレッチされます。

2.前鋸筋のストレッチ
正座した状態から、両腕を前方に伸ばしながら身体を前に倒していきます。臀部は両足から離れないようにして、両腕を前方に伸ばしていきます。
正座ができない場合には、立位で両手を壁につき、頭を下げた状態で両肩をゆっくりと下方へ下げていきます。
3.広背筋のストレッチ
立位姿勢で足は肩幅に開きます。両腕をクロスさせてまっすぐ頭上に上げ、手のひらを合わせます。肘を伸ばし、指先を天井に向かって突き上げるような意識を行い、目線は正面に向けたまま腰から上体を真横に曲げます。このとき体が捻らないように注意して、左右交互に行っていきます。
4.脊柱起立筋のストレッチ
四つ這いの姿勢で、両手は肩の真下、両膝は股関節の真下につきます。両手・両膝で床を押し、お腹を凹ませて背中を丸めていきます。脊柱全体が伸びていくイメージをもって行うと効果的です。

肩甲骨の下が痛い原因|内臓が原因の場合

内臓が原因で肩甲骨の下が痛くなることがあるのですか?

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

そうなんです。内臓が原因で起こる痛みのメカニズムについて説明していきたいと思います。

まずは内臓の神経支配について説明します。

内臓は自律神経系により支配されています。自律神経は、内臓、血管などの働きを不随意的にコントロールし、体内の環境を整える神経です。

自律神経には、交感神経(起きている時の神経・緊張している時の神経)と副交感神経(寝ている時の神経・リラックスしている時の神経)があり、一つの器官に対して互いに相反する働きをしています。また、内臓機能を調節する遠心性機序と、内臓からの情報を中枢神経系に伝える求心性の二つの機序からなっています。

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

ここからは内臓の異常が体に現れる仕組みについて説明します。

筋性防御

求心路が求心性自律神経、遠心路が体性運動神経からなる内臓‐体性反射という反射機構があり、腹腔臓器や腹膜の障害(炎症、機械的な変化)が求心路を介して腹筋群を収縮させるという現象です。

関連痛

求心性内臓神経は、同一レベル体性求心神経と同じ脊髄神経節に入り、共通の脊髄視床路を上行して中枢に向かいます。このため求心性内臓神経からの痛覚刺激を大脳では体性領域からの刺激として認識し、内臓からの激しい痛みを、そこから離れた体表面で感じるという現象です。

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

内臓が原因で体表に痛みが出る要因として、多くの場合はストレスが考えられます。
ストレスにより自律神経の乱れが起こり、内臓機能が低下することによって、上記の経路による痛み出現の原因となります。内臓炎症等による痛みであれば生活習慣の変化やストレス解消により改善は可能です。

内臓に原因がある場合の対処法について

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

ここからは対処法について解説します。

右の肩甲骨に痛みが出た場合は、肝臓や胆のうの病気という可能性がある

肝臓や胆のうの機能低下は食生活やアルコールの過剰摂取が原因のことも多いため、食生活や生活習慣の改善が予防に繋がります。
大きな病気の場合は、肩甲骨だけでなく、背中全体や腰にも痛みが広がってくるため、その際には医療機関を受診しましょう。

左の肩甲骨のあたりだけが痛い場合は、心臓疾患によるものという可能性がある

心疾患は血圧と大きく関係しています。高血圧は心疾患を引き起こす原因ともなりうるため、食生活の改善を行い、血圧のコントロールをすることが予防に繋がります。
狭心症の場合、症状は15分ほどで治まりますが、心筋梗塞、心室細動といった死につながる病気のきっかけになるため、速やかに医療機関を受診して治療を受けましょう。

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

内臓が原因の痛みの場合は、医療機関への受診が最善です。メカニズムを知ることで予防に繋がることを期待しています。

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