過食の原因は人により様々です。まず、大きく分けて身体的原因と精神的原因があります。身体的原因には食事法や睡眠の改善、各々にあった強度のトレーニング、精神的原因には医療や自助グループ、カウンセリング、ヨガなどが有効ですが、詳しく解説します。
過食の原因には身体的原因と精神的原因がある
食べちゃいけないと思うのに食べ過ぎてしまうのがやめられません。何が原因でしょうか。
大畠 美保監修トレーナーからのアドバイス
NESTA PFT取得。basiマットピラティスインストラクター資格取得。
よくあるケースだと、栄養不足か、ホルモン分泌異常か、心の問題があると考えられます。
過食しているので栄養不足はないと思いますが…
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いえ、よくあるんです。そのあたり詳しく解説していきます。私も過食症経験者でありたくさん摂食障害のかたに関わった経験も踏まえてお話しします。
<身体面>
・低血糖
・不足栄養素がある
・食欲増進ホルモンの分泌過多
<精神面>
・不安
・孤独感
・怒り
・愛情飢餓
そして、過食の度合いによってアプローチは異なってきますので、しっかり確認してください。
摂食障害の診断基準に当てはまる場合、担当するのは精神科です。ただし、摂食障害専門のところに行かないと意味がないので必ず確認してください。
神経性無食欲症(アメリカ精神医学会のDSM-IVによる)
1.年齢と身長に対する正常体重の最低限を維持することを拒否する。
(例えば、期待される体重より15%以上少ない体重を維持するような体重減少、または成長期間中に予想される体重増加がないために、期待されるより15%以上少ない体重)
2.体重が不足している場合でも、体重が増加すること、または肥満することに対して感じる強い恐怖。
3.自分の体重や体形を感じる感じ方の障害、または体型や体重の自己評価による過度の影響、または現在の体重の深刻さの否認。
4.(女性の場合)他の理由が無い場合に、あるはずの月経周期が少なくとも連続3回欠如すること。
いわゆる拒食症ですが、低体重の場合は生命維持のために入院治療なりで体重を正常範囲に戻すことが先決です。
その過程で過食がおこるのは、飢餓からの回復のための必然なので、必要なのは過食することは自分の体がよくなる過程なのだと心から理解し納得することです。
しかし、拒食症の方が体重増加を受け入れることはとても難しいことなので、国の難病に指定されるほど治療は困難をきわめます。実は最低限の体重を回復できれば医療以外の自助グループや専門のカウンセリングなどに通い効果を出すパターンが多いです。
それ以外の方は、ご自身で過食の原因となる、心当たりのあるものを見つけ、そこにアプローチしていくのが効果的です。
食べ過ぎているのに栄養不足とは?
過食で食べるものはどんなものですか?
大畠 美保監修トレーナーからのアドバイス
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菓子パン、スナック菓子、チョコレート、ケーキ、ドーナツ、揚げ物総菜などではないでしょうか。
これら、いくら食べても栄養不足になっています。
実際、食パンですら成分表示を見てみてください。炭水化物8:タンパク質1:脂質1くらいですので、これにクリームやあんこが入るとさらに糖質、脂質が増えます。糖質の代謝にはビタミンが消費されますので、さらに栄養素が偏ります。
炭水化物=糖質、食物繊維です。
脳のエネルギー源はブドウ糖なのですが、糖類がたくさん結合したものが複合炭水化物になります。結合が複雑なほうが消化に時間がかかり、血糖値の上昇が穏やかになります。
血糖値が下がると空腹を感じますが、ブドウ糖、果糖などは早く吸収されるので血糖値が急上昇します。それを下げるのにインスリンが分泌されます。インスリンは血中のブドウ糖を脂肪にかえて体内に蓄えてしまいます。そして血糖値が急激に下がります。ですので、食べても食べても止まらなくなるのです。過食のエンドレスループが続く仕組みです。
過食の対策|低GI食品とは?
そして食物繊維も腸での吸収を穏やかにするので積極的に取りたいものです。雑穀米や玄米などは食物繊維、その他ビタミン類も含まれますので、定食屋では白米より雑穀米を選ぶほうが健康的です。野菜や海藻類を食べておくだけでも食事始めてから血糖値の急上昇が抑えられるのでお勧めです。
このような低GI食品は食後の血糖値の安定に優れているので、低血糖による過食は普段の食事を工夫することで改善できます。根気よくできるところから始めてみてください。
お菓子は高カロリー・多糖質であるため、ダイエット中は控えたいものです。しかし、ダイエットの敵はカロリーだけれはなく、「ストレス」も侮れません。極端な食事制限によりストレスを溜めてしまうのであれば、少しはお菓子を食べつつ、ストレスを溜めないようにしましょう。
忙しくて食べる時間が取れない人の対策
よくあるのが、仕事で忙しくて食べる時間が取れないと、手軽な菓子パンで食事を済ませている場合。
その場合、わかってはいるけれど栄養バランスのとれた和定食などとても食べている場合ではないでしょうから、軽くとろろ昆布やワカメスープでもおともにパンでなくおにぎりを選択してください。どうしてもパンでなけれぱという場合は、全粉粉パンやライ麦パンの卵やチキンなど入ったサンドイッチを選択するのが無難です。タンパク質も体を作る大切な栄養素ですし腹持ちもいいのでぜひ、肉、魚、卵、牛乳、豆乳のどれかを工夫して取り入れてください。
そして、ダイエットを意識するあまり脂質を避けているパターンだと、逆に少量の良質な脂質をとることで精神が安定したりします。肌のつやもよくなります。
ナッツ類、青魚、亜麻仁油など。
食欲抑制ホルモンと食欲増進ホルモン
インスリンは血糖値のコントロールに作用します。
それ以外にも、ホルモンは色々ありますがレプチンという食欲抑制ホルモンが存在します。しかし、睡眠不足になるとこのレプチンの働きが鈍り、食欲増進ホルモンのグレリンがかわりに増加します。睡眠不足になると必要のない食欲を感じるようになってしまいます。
ストレスも原因になります。ここでいうストレスとは、心身に無理な負荷がかかった状態です。仕事、人間関係、お金、環境の変化などです。
ストレスがかかるとコルチゾールというホルモンが分泌され、これも血糖値に影響を及ぼします。高血糖になるとインスリンがでてきてまた脂肪に蓄えるように働きます。すると、たいして食べていないのに太るという現象が起きます。
解決策はストレスをためないことです。具体的には、その各々にあったストレス対処法を探すことです。
お勧めは、気持ちいいと感じるトレーニングをすること、適切な負荷での筋トレと適切な心拍数での有酸素運動の組み合わせが王道です。肉体労働の方は、使いすぎる筋肉のストレッチやマッサージをしたりゆっくり休むことも必要になります。
大畠 美保監修トレーナーからのアドバイス
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無理をしてやるトレーニングは逆にストレスになりますので、目的をしっかり確認してからトレーニングのプランを立てましょう。
その過食、実は口唇欲求を満たすため。本当は寂しい内なるコドモの存在
幼児期に欲する愛情を口をもぐもぐすることで埋めようとしています。おなかがはちきれそうなのに、食べるのをやめれない、涙を流しながらひたすら食べ物をつめこんでいる。この状態になっている方は、心に傷があります。もし、過食したあとに自分で嘔吐したり下剤を使ってなかったことにしようとしてたりする度合いが日常生活を送れないほどになっていると、神経性大食症、つまり過食症と診断されます。普通の精神科、心療内科では、抗うつ剤や向精神薬を処方されると思いますが、一時しのぎです。全く効果ない可能性もあります。
拒食症と同様に摂食障害専門の精神科に行ってください。対人関係療法、認知行動療法など、長期にわたってじっくり取り組む覚悟が必要です。
それと安心できるネットワークが必要です。
どんなに円満に見える家庭環境でも、親との心理的関係が複雑にこじれていて、それぞれが正しい認識を持たない限り予期せず症状は進行し本人も周りも疲弊します。
幼児期の口唇欲求ですので、性的に逸脱することで症状が一時おさまることもありますが、ふつうはさらに傷を深め、いつの間にか過食はぶりかえし進行するでしょう。そういう場合は、心の傷を癒す期間を経て、安全な人間関係を再構築していくことで、徐々に食べることで埋めようとする行為が減ってきます。
摂食障害の自助グループがあります。とても難しい病気なので、過食真っ最中の方も多く、回復の希望が持てないと思うかもしれませんが、完ぺきに治したい!というゼロ百思考が生きることを苦しくしているんだという気づきを得るのも、同じ病気の仲間が集まるグループならではです。
知識のない周囲の方は、ダイエットに振り回されている摂食障害本人の理解はできていなく、責めたり、腫れ物に触るようだったり、善意でも思いはすれ違います。そういったときに、当事者にしかわからない世界を共感できて、さらにうまく傷を癒す手伝いをする相手を見つけられたら、回復のきっかけをつかめます。
摂食障害となると、取りすぎたカロリーを運動で消費しようという、運動脅迫もあり得ますので、この場合、ハードなトレーニングというよりヨガのエクササイズをすることをオススメします。継続して取り組んでみてください。ポーズの真似をすることに重点を置くのでなく、ご自身の呼吸と体がどう動いているのかを評価せずに観察するという訓練がとても役に立ちます。たいがい過緊張の生き方ですので、腹式呼吸でリラックスすること、自分を許すことを体感して覚えることが変わっていくヒントとなります。
過食の原因はそれぞれ違う、まとめ
・ストレス
・睡眠不足
・心の傷
栄養不足の場合、普段の主食を低GI食品に変えてみる。やむを得ずパンを食べる場合は野菜や海藻スープをお供にして血糖値の急上昇を避ける。
ストレスには適度な運動、デスクワークや車の運転手などは積極的にアクティブな運動を、肉体労働の方は、普段使いすぎる筋肉をストレッチなりマッサージしてゆっくり休む。
寝る前に過度な飲酒は避け、入浴し、スマホやパソコン画面は直前まで見ないで布団に入る。無駄に早く目覚ましをかけないで睡眠時間を確保する。
心の傷はすぐには治らないので長い目で見て家族以外に信用できるネットワーク探しをする。自助グループもよい。実は過食することで心のバランスを保っているので、そんな自分を責めることはない。ヨガがお勧め。