腰の痛みで悩んでいる多くの方々へ、スクワットがなぜ腰痛予防・改善の効果があるのかをプロのトレーナーが徹底解説!腰痛のタイプ別に分けたスクワットで自分の予防をしましょう!
あなたの腰痛の原因は?!
イタタ…最近腰の痛みが…
原田 直生監修トレーナーからのアドバイス
JHCA-ホリスティックコンディショナー, aFT-アディダスファンクショナルトレーナー
腰痛ですか??
デスクワークでの作業は腰にきます(>_<)
原田 直生監修トレーナーからのアドバイス
JHCA-ホリスティックコンディショナー, aFT-アディダスファンクショナルトレーナー
それは大変ですね。。この機会に腰痛について解説してみましょう!
腰痛の8割が原因不明?
あなたは日頃、腰の痛みを感じることはありますか?
厚生労働省の国民生活基礎調査にも記されているように、なんと日本人の4人に1人に相当する2800万人の人々が腰痛に悩まされています。
その内の15%は「特異的腰痛」と呼ばれ原因が特定できるものです。しかし残りの85%がX 線・MRI・CTなどの画像検査では原因の特定が難しい「非特異的腰痛」と言われています。これだけ多くの人々が悩む腰痛なのですが、ほとんどの場合は原因が分からないのです。
特異的腰痛について
腰の痛みがある場合、まずは医療機関にて診察を受けましょう。以下の原因が特定できる15%の特異的腰痛の場合は医療機関による治療で治る腰痛です。
・椎間板ヘルニア
・脊柱管狭窄症(坐骨神経痛などを含む)
・圧迫骨折
・感染性脊椎炎や癌の脊椎転移
・大動脈瘤、尿路結石などの内臓疾患
ぎっくり腰も原因不明?!
腰痛の代表的な「ぎっくり腰」は腰椎捻挫(ようついねんざ)または腰部挫傷(ようぶざしょう)と診断されますが、厳密にどの組織のケガかはX線検査をしても断定できないため非特異的腰痛に該当します。
姿勢からくる腰の痛み
腰の痛みはどんな時に感じるのか、どんな動きをすると痛いのかを分析し自身の姿勢タイプを把握しましょう。今回は分かりやすく2種類のタイプで解説していきます。
反り腰タイプの場合
腰が痛いと感じた時、少し身体を丸めたくなるような仕草をすることで楽になる人は「反り腰タイプ」だと言えます。立ち姿勢が長時間続いていたり、女性の場合「ヒールを履くことで腰の反りが強調され痛くなる」という人もこの反り腰タイプです。
そもそも腰椎は前弯していますので、腰は最初から反っています。ここで言う反り腰タイプとは、過剰に前弯した腰の状態を言います。
壁に「かかと」ー「お尻」ー「背中」ー「後頭部」を付けて立ってみて下さい。その際に壁と腰との間に空間が出来ると思います。その空間が手の平1枚分であれば腰の前弯は正常です。ですが2〜3枚の手の平が入るほどスペースが空いていれば間違いなく反り腰タイプと言えます。
原田 直生監修トレーナーからのアドバイス
JHCA-ホリスティックコンディショナー, aFT-アディダスファンクショナルトレーナー
反り腰タイプの場合、ももの前側の筋肉である大腿四頭筋や股関節の付け根にある腸腰筋が過剰に硬くなっていることで腰を反らせているケースが多いです。
猫背(丸腰)タイプの場合
腰が痛いと感じた時、少し背スジを伸ばす仕草をすると楽に感じられる人は猫背(丸腰)タイプと言えます。デスクワークなど長時間イスに座っている姿勢が続く事で腰に痛みを感じる人もこのタイプです。
このタイプの人は腰が丸々ことで腰背部の筋肉が常に引っ張られる状態となるため、腰へ負担がかかり痛みやダルさを感じてしまいます。
原田 直生監修トレーナーからのアドバイス
JHCA-ホリスティックコンディショナー, aFT-アディダスファンクショナルトレーナー
猫背(丸腰)タイプの場合、ももの裏側に付くハムストリングスやお尻の大きな筋肉でもある大臀筋などが過剰に硬くなっていることで腰が丸まっているケースが多いです。
非特異的腰痛にはスクワットを?!
原田 直生監修トレーナーからのアドバイス
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ちなみにレントゲンなどの画像診断は受けられましたか?
はい、でも問題はないと言われました。
原田 直生監修トレーナーからのアドバイス
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では原因不明の非特異的腰痛ですね。スクワットで改善していきましょう!
えっ?!なんか逆効果な気が…
原田 直生監修トレーナーからのアドバイス
JHCA-ホリスティックコンディショナー, aFT-アディダスファンクショナルトレーナー
スクワットには腰痛予防・改善の効果があるんですよ!
しかし日本整形外科学会と日本腰痛学会が発表した『腰痛診療ガイドライン2012』の中で、この非特異的腰痛の改善には運動療法が有効であると記されているんです。
ではスクワットがどのように腰痛予防・改善に有効なのかを解説していきましょう!
スクワットが腰痛予防・改善にオススメな理由とは
体幹の筋力が不足している人ほど姿勢が崩れ、腰へ負担がかかってしまいます。そこで重要なのが体幹トレーニングなのですが…四つ這いや寝転がった姿勢での体幹トレーニングでは腰痛を予防するには少し足りません。
人間は重力の中で背骨を立て2足歩行で生活をしています。体幹が重力に耐えきれなくなり姿勢の崩れを起こすと考えると…やはり立位姿勢での体幹強化が必須です。
そこでスクワットは立位姿勢はもちろん、立ちしゃがみの運動を行う中で「背スジを伸ばし、胸を張り、お腹を凹ませた状態」つまり体幹固めたまま動作を行わなければなりません。さらにバーベルを担ぐことにで、背骨に対し真上からの負荷を加えることができます。負荷に対して姿勢が崩れないように体幹の筋肉が頑張るため腰痛改善・予防に適したトレーニングなんです!
原田 直生監修トレーナーからのアドバイス
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さらにスクワットのフォームや種類を変えることで腰の痛み感じるタイプ別にアプローチ方法を分けていくことが可能です!
腰痛のタイプに合わせたスクワット
反り腰タイプの場合はワイドスクワットを!
ワイドスクワットとは、通常のスクワットよりも足幅を大きく開き、つま先を外に向け、大臀筋へ刺激を入れるスクワットです。
反り腰タイプの人は足の表面の筋肉が硬くなることで腰を過剰に反らせている傾向があります。そこで逆側にある大臀筋などの後面の筋肉を強化する必要があります。
またワイドスクワットは通常のスクワットよりもお辞儀の角度が浅いため、スクワット中に起こる過剰な体幹の反りを防ぐこともできます。
猫背(丸腰)タイプの場合はハーフスクワットを!
ハーフスクワットとは、しゃがむ深さを浅くしたスクワットです。
猫背(丸腰)タイプの人はお尻やもも裏の筋肉が硬くなることで腰を丸めてしまっている傾向があります。深くまでしゃがもうとすると大臀筋の伸縮性が少ないことで腰の丸みを作りかねません。
そこでハーフスクワットでしゃがむ範囲を限定し、体幹を固めたまましゃがめる深さでトレーニングを行いましょう!
僕の場合はハーフスクワットですね!
原田 直生監修トレーナーからのアドバイス
JHCA-ホリスティックコンディショナー, aFT-アディダスファンクショナルトレーナー
そうですね!繰り返し行うことで大臀筋の柔軟性が出てくると思いますので徐々に深くしゃがめるように頑張りましょう!
スクワットは動きがシンプルなので誰にでも取り組みやすいですが、実はそのフォームは奥が深く、間違って行う人が多いのです。スクワットを行って筋肉痛になった部位でフォームの正しさが分かるかもしれません。筋肉痛になる部位の特徴と回復方法も解説します。
知っておきたい相反性神経支配について
例えば肘を曲げ力こぶをグッと出すポーズをすると上腕二頭筋が収縮します。と同時に二の腕側にある肘を伸ばす上腕三頭筋は弛緩するよう命令が出ています。これを相反性神経支配と言います。(当然ですが肘を伸ばす筋肉が縮んでいては、肘を曲げることができないないためです。)
同様に「猫背(丸腰)タイプの人がハーフスクワットを行う」と「腸腰筋・大腿四頭筋を収縮させ、拮抗側の大臀筋を弛緩させる」ことへ繋がり、「大臀筋が緩むことで腰が丸々ことを防ぐ」こととなり、根本的な改善へと繋がります。
このように腰痛だからと言って腰周りだけに目を向けるのではなく、「体幹強化」と「腰を反らせている(丸めている)硬い筋肉を結果的に緩める」事のできるスクワットは腰痛の予防・改善にすごく効果的です!!
医療機関での検査の結果「原因不明の腰痛」と診断されたのであれば、「湿布を貼って安静に…」ではなくご自身の身体のためにもスクワットで根本的な腰痛の予防・改善を行ってみてください!
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