水泳は全身の筋肉を使い、水の特性も関係し非常に効率の高い有酸素運動です。しかし、筋肉を鍛えられるかどうかは別問題です。水泳選手の多くはかっこいい体つきですがそれは、水泳の練習のみでついた筋肉なのでしょうか。水泳で筋肉を鍛えることはできるのか、トレーニング理論の観点から解説します。
水泳における、有酸素運動の効果
全身を使うため非常に効率的な有酸素運動として知られています。とくにフィットネスクラブのプールでは1〜2時間泳ぐ方もいるほどです。さらにランニングやジョギングと違い、水中で行うため水の特性である、「抵抗・浮力・水圧・水温」の効果を受けることで体にも嬉しい効果がたくさんあります。
有酸素運動としての効果が高いものがありますが、果たして水泳で筋肉は鍛えられるのでしょうか?水泳のみで筋肉が付きかっこいい体になることは可能なのでしょうか?トレーニング理論を混ぜながら解説します。
水泳で筋肉は鍛えられる?筋肉がつく条件とは
そもそも、筋肉がつくには今の筋肉のレベルより高い負荷を与え、ストレスかけることで疲労させ、受けたストレスより強くなっていくという過程があり、そのことを「超回復」と呼びます。
超回復現象が起こるためには筋肉に対してストレスをかけなければなりません。この観点からいくと長時間続ける水泳で筋肉を鍛えられるかは怪しいです。運動初期であれば体が水泳というストレスに慣れていないため水泳で使われる全身の筋肉は鍛えることはできるでしょう。
しかし、1〜3ヶ月定期的に水泳をしていれば長時間泳いでいるようになり筋肥大(筋肉を大きく)するにはストレス不足となるでしょう。
筋肉は受けたストレスに対して適応していく特性があります。ベンチプレスやスクワットで重い負荷を与えればその負荷をあげられるように成長していきます。
対して水泳はどうでしょうか。筋肉が肥大するほどの負荷をかけることは難しいでしょう。その代わり、「長時間泳いでいられるように筋肉の持久力」は鍛えられます。
水泳によって筋肉は「弱めの負荷を長い時間動く」というストレスがかかります。このストレスに対応しようとするため筋肉の持久力が鍛えられると考えられています。水泳によって筋肉を付けることは難しくても水泳や水中運動には多くの良い効果があるので解説します。
水泳で筋肉は付きにくいがこんないい効果がある
水の特性4つ「抵抗・浮力・水圧・水温」があります。これらは地上での運動では受けれないい恩恵であり、運動初心者の方には水泳等の水中運動はオススメです。水の特性は様々サポートをしてくれます。解説します。
抵抗
水の密度は空気の600〜800倍と言われてます。空中で腕を動かすより、水中の方が大変なのです。
水の抵抗の一番良いところは自分の負荷の強度を「自分の頑張り次第で変えられる」事です。水の抵抗を大きくしたい時は早く動かすもしくは、面積を大きくするとより負荷がかかる抵抗になります。水泳時には水をかくときに早く動かそうとすると負荷を増やせるので筋肉を多少鍛えることができるでしょう。
浮力
水中には地上よりも体を軽く感じさせる浮力という力が働いています。浮力には運動不足の方や運動初心者に嬉しい効果があります。
水中の浮力によって関節への負担軽減されます。浮力のおかげで水中では体重が軽くなり、膝や腰への負担が軽減されます。体重が重い方は陸上でのウォーキングやジョギングよりもまずは水中でのウォーキングや水泳をお勧めします。
さらに関節可動域が広がります。水中で立っているときに片足を高く上げようとします。持ち上げようとしている足にも浮力はかかります。陸上よりも高く上げることができるため、ストレッチにも効果的です。これにより関節の可動域が広がり大きな動作での運動が可能となります。浮力の効果により、ダイエット効果や関節の機能改善が期待できます。
水圧
水中では胸を押さえつけられるような圧迫感や深く潜ったときには耳が痛くなることがあると思います。これらはすべて水圧の影響です。水圧とは身体中にまとわりついてる水の圧力の強さの事です。
水圧にも筋肉を鍛えるには向きませんが大きな効果が大きくあります。水圧によって身体全体に圧力がかかるため、コルセットで固定されたような感じになります。
さらに浮力の効果も働くため地上に比べ姿勢が良くしやすく局所負荷が軽くなるため、腰痛や膝痛を軽減した状態で運動ができます。
さらに水圧によって血流の促進してくれます。水圧は深いところほど圧力が増します。つまり、上半身よりも下半身の方が圧力が高い状態になります。下半身が締め付けられることで下半身に溜まってしまった血液を心臓にもどる血流が促進されます。
水圧により水中ウォーキングなどを行うと血流の促進、浮腫みの軽減に効果があると言われています。また水圧によって体のバランスを保ちやすくなるため、片足をあげるストレッチの際のバランスを保つ手助けをしてれるでしょう。水圧は水泳では受けにくい恩恵ではありますが多くのメリットがあります。
水温
水の特性、4つ目は水温についてです。空気中より水中のほうが温度の移動(熱伝導率)が高いです。体温よりも低い水中では水が身体の熱を奪っていきます。人間は生命維持とし、身体は体温を保とうとします。このときエネルギーを使うので消費カロリーがアップします。
上記のように、自分で体温を上げようとするので、身体の体温調節機能が向上します。これにより免疫力がアップして、風邪などをひきにくくなります。水泳で長い時間泳ぐことによって運動消費カロリーと体温維持のための消費エネルギー両方を受ける事ができます。
水泳などの水中運動で4つの特性を利用すれば筋肉を鍛えることもできますがそれ以上にダイエットや機能改善、クールダウンや体の調子を整えるのには非常に効果的です。
水泳と筋トレで筋肉をかっこよく見せる
トレーニングに加えて水泳を実践すると効果的です。なぜなら、上記でも解説しましたが水泳は有酸素運動であり、さらに水の特性によって高い消費カロリーが期待できるため、ダイエットに最適でしょう。
地上のトレーニングで筋肉を鍛え水泳で脂肪を落とし、筋肉を浮き彫りにすることでより、かっこよく鍛えた体を際立たせられるでしょう。どの種類の運動にも特性や特徴があるため自分にあったスタイルでの筋トレと有酸素運動を混ぜながら行う事で、より一層高い効果を期待できるでしょう。
水泳はメンタルにも好影響?
運動はストレスを軽減し抗うつ効果をもたらします。さらにポジティブで前向きな気分になります。適度な運動をすることで、軽度の疲労を起こし、睡眠の質にも関わってきます。
睡眠には疲労回復、記憶の定着などの効果に加え睡眠中は成長ホルモンの分泌が多くなるためトレーニングで気づついた筋肉をより効果的に成長させてくれるでしょう。睡眠の質をあげることでトレーニング、運動の効果をより引き上げてくれるでしょう。
水泳をはじめとする、有酸素運動には筋肉を大きくするような効果は薄いとされながらも、健康増進やトレーニングの効果をより引き出すほかメンタルヘルスにも効果的でいいことがたくさんあります。これから筋トレを始める方も健康になりたい方も水泳を取り入れて効果を実感してみてください。