サッカーが上手くなるためにはスピード、体幹力が欠かせない。しかし、どのような筋トレをするべきなのか?ウエイトトレーニングだけに頼ってもいいのか?今回は器具なしで鍛えられて圧倒的なフィジカルを手に入れて瞬発力のある身体を作れるように意識していただけるようんな説明をしていきます。
サッカー上達に必要なスピードとは?
そもそもスピードとは何か?
サッカーで相手を置き去りにするようなスピードが欲しいのですが、どうすれば手に入りますか?
伊藤俊太監修トレーナーからのアドバイス
全米ストレングス&コンディショニング協会ストレングス&コンディショニングスペシャリスト・NSCA認定パーソナルトレーナー
サッカーはスピードが非常に大事ですよね。では、スピードとは何か?からお話ししていきましょう。
それに伴い持久力が非常に重要になってくるかと思います。
持久力の問われるスポーツであることは間違い無いので、ある程度の有酸素系トレーニングも必要になります。
また、持久力だけでなくスピードと言った”スキル”も高くなくてはいけません。
基本的にそのためには瞬発力も必要になります。常に走っていて持久力完全優位のような印象が強いですが、実際はショートスプリントを繰り返していることが意外と多いのがサッカーというスポーツの特徴でもあります。
ちなみにサッカー界で言われているスピードとは何か?
それは、『10mから30mのスプリントスキルがどれくらいあるのか?』ということになります。
すなわち、『いかに短い距離でトップスピードに近いスピードを発揮できるか』これが重要なポイントとなることは間違いありません。
では、スピードスキルを向上させる因子とは何か?
それに必要な機能やスキルは何かを解いていきましょう!
サッカーに必要なスピードスキル!
例えば、ボールを受ける、ドリブルする、パス、シュート、切り返し、ジャンプ、走る、競り合う……
軽く考えただけでもたくさんの動作があります。
その動作を組み合わせていくことがサッカーというスポーツを成り立たせています。
そして、その中でも”走る”という動作ですが、それがスピードスキルという事につながります。
そのスキルを向上させるのにまずは絶対獲得しなければいけないのがスクワットポジションです。
俗にいう、パワーポジションですね。
そして、今回はスクワットポジションを獲得したという前提で話を進めて行きたいと思います。
ポイントはストライド×ピッチ
そのために必要なトレーニングは後ほど説明して行きます。
エリートサッカー選手は試合中10mから30mのスプリントを繰り返していると言われています。
ポジションによっても変わってきますが、これが先ほど記載した”細かい動きが組み合わさる”理由でもあります。
ショートスプリントからの切り返し、ショートスプリントからのストップ動作などが例に挙げられれます。
また、実際の試合では常に直線を走るわけではありませんし、ドリブルする場合はボールをコントロールしながらドリブルしなければいけませんので、これもまた細かい動きが組み合わさります。
しかし、その中でもスピードを落とさずにパフォーマンス発揮をしなければいけません。
その条件下の中でいかにスピードを殺さずにコントロールできるかがスピードスキルを発展させていくにあたっての鍵となります。
ピッチ走法とストライド走法の違いは「足の接地位置」です。踏み出した一歩が近ければピッチ走法、遠くに慣ればストライド走法です。どちらも大切な走り方ですが、マラソン初心者にとっては、ストライド走法は様々な故障のリスクも高く、ピッチ走法をしっかり意識できる事が大切でしょう。
サッカー選手の差はどこで出るのか
他にも細かい動きの要因がありますが、今回はショートスプリントに標準を合わせて説明していきましょう。
よくありがちなのが、サッカーだけでなく他の競技でも『身体能力が高い』と言われる選手は多いのでは無いでしょうか。
しかし、そう言った選手って意外と股関節が硬くトラップや動作の切り替えなどが意外と苦手な選手が多いです。
それ以上のレベルでプレーをするにはやはり関節可動域も大いに必要になってくることは間違いありません。
ジュニア世代では以上の3つのスキルで差がつきますが、トップレベルになるとやはり関節可動域、すなわち柔軟性(特に股関節、肩甲骨)が必要になってくることは間違いありません。
1番の理想は柔軟性を持って爆発力を作って行きたいですね。
サッカーのスピード向上のためのトレーニング3選
スピードスキルを向上するにあたってのトレーニングメニューを教えてください。
伊藤俊太監修トレーナーからのアドバイス
全米ストレングス&コンディショニング協会ストレングス&コンディショニングスペシャリスト・NSCA認定パーソナルトレーナー
わかりました。スピードを向上させるトレーニング方法を三つ紹介していきますので一緒に確認していきましょう!
スピードトレーニング①ストライドを広げる
何が効果的なのかというと、”ストライド長の拡大”です。
ストライドの幅が広がることで一歩で足を遠くに運べることができます。
そのためには、ただスプリントを繰り返して、がむしゃらに走るだけでなく、一歩を大きく踏み出して走ってみてください。
1ミリでも全然いいのでとにかく大きく前に足を前に出すことが重要になります。
大きく踏み出せないという選手は、腸腰筋という筋肉が固くなっている可能性も考えられます。
股関節の伸展が入らないことによって可動域制限が起きている可能性がありますので、走る前に腸腰筋のストレッチや動的エクササイズを行うことをお勧めします。
スピードトレーニング②ピッチの回転を速くする
足の回転を速くするには、踏み出した足を素早く前に運ばなければいけません。
その時に多いのが”踵から先に地面についてしまう”選手が多いです。
ではなぜ、先に踵から着いてしまうのか。
この理由はたくさん考えられますが、もっともの原因は股関節にあります。
特に、骨盤が起きてこない=前傾動作が入らない選手は後方重心になるため前に足を運ぶ動作が苦手になります。
骨盤が後傾の選手がつま先から足を踏み出そうとすると、前に引っかかるような感覚になります。
こういった選手がいくらピッチを速くしようとしてもなかなか速くできません。
だからこそスクワットというのは非常に重要になりますし、そのためには骨盤を前傾位に持ってくる柔軟性も必要になります。
そこで、ピッチ速度を速くするトレーニングとしては”ウォールドリル”というトレーニングがお勧めです。
骨盤前傾位を保ち、背骨を丸めることなく足を上げて行くトレーニングです。
始め不慣れなうちはゆっくりでいいので足を上げて行くようにしましょう。
だんだん慣れてきたら足を動かすスピードを速くしていきましょう。
このトレーニングの目的はピッチの回転速度を速くすることなので、ゆっくりとした速度で動かしてても最終的には効果が出にくくなります。
サッカーというスポーツは、ドリブルをしなければいけません。
ボールをコントロールしながらスピードを保つ必要がありますが、ストライドのみに頼ってしまうとボールコントロールができなくなります。
だからこそ、ピッチの回転数を速くしてドリブルスピードを極力落とさないように、かつコントロールしやすいような走り方も身につけておかなければいけません。
スピードトレーニング③坂道スプリント
登り坂をストライドを意識して、下り坂はピッチを意識して走ることが鍵となります。
登り坂を走るときは、大きく脚を前に運ぶようにして意識して見ると良いと思います。
ストライドが広がる分一歩でより遠くに前に進むことができます。
爆発的なエクササイズとして捉えることもできるので瞬発力がつき、他を圧倒するスピードが手に入ります。
下り坂を走るときは、脚を前に運ぶと転倒しそうになります。
その特性を利用してストライドを細かくして、その分ピッチの回転を速くする事で回転数の向上を見込むことができます。
坂道を登るにしろ、下るにしろその時の注意点は3つあります。
①骨盤の前傾
②背骨をまっすぐに
③膝がつま先よりも前に出ない
結局はスクワットをマスターすることがまずは第一歩になります。
両脚でうまくスクワットができるようになったら、全く同じ条件で片脚でスクワットしてみてください。
サッカーの上達には上半身の筋トレも必要か?
強いフィジカルを手に入れるには上半身の筋トレ、特に体幹トレーニングが必要
スピードさえ手に入れればもう怖いものなしですね!
伊藤俊太監修トレーナーからのアドバイス
全米ストレングス&コンディショニング協会ストレングス&コンディショニングスペシャリスト・NSCA認定パーソナルトレーナー
いえいえ、いくらスピードがあったとしてもサッカーのような接触プレーが多いスポーツでは、強いフィジカルがなければ当たり負けしてしまいます。強いフィジカルを手に入れるためには、下半身だけでなく上半身の筋トレも必要ですよ!
接触プレーの多いサッカーでは、体をぶつけられても競り合えるフィジカルが必要です。強いフィジカルかどうかを左右するのは、上半身の筋肉の中でも「体幹」の筋肉がしっかりしているかどうかに依ります。
しかし、そももも体幹とはどこにことを指すのでしょうか?
体幹トレーニングとは何か?
もっと簡単に言い表すと身体の胴体の部分です。
体幹トレーニングは別名コアスタビリティエクササイズと呼ばれています。
コアスタビリティエクササイズは”反復によって脊柱を安定させるような運動パターンを生み出すエクササイズ”と定義することができます。
①四肢の運動を可能にすること
②負荷を担うこと
③脊椎と神経を保護すること
だからこそ脊柱の正しいアライメントが必要になります。
そのアライメントを整えて行くのがコアスタビリティエクササイズとなるわけです。
また、正常な脊椎は2〜9kgの負荷で曲がると言われています。日常生活においても競技においても、この負荷を超えることはあります。
脊柱は、頚椎、胸椎、腰椎と細かく分けることができますが、上から順番に前弯、後弯、前弯の姿勢が最も理想的な姿勢です。
そのため背骨をまっすぐにするというイメージを持つことでこの理想的な姿勢が作られます。
この姿勢が作れないと腰椎骨盤リズムによって、骨盤の後傾、胸椎の屈曲という姿勢になってしまいます。
脊柱を安定させることを意識するで障害予防にもなり、強靭なフィジカルを手に入れろ!
そのため、負荷が大きくかかる腰椎には安定性を求めて行くことが重要になります。
その腰椎の安定性がなく、グラグラしてしまうと腰痛などを起こしたり、フィジカルで当たり負けてしまうようなことが起きます。
人間の身体の動かす特徴としたは、上半身(特に上司)および下半身を動かしている時に、上半身と下半身の筋が活動する前に、腹横筋が先行して活動することが示されています。
つまり、人間の身体の動作は体幹部で発生するか、体幹を通じて結び付けられると考えられます。
また、体幹を鍛えることで、瞬発力を身につけることができるので結果的にスピードを向上させることもできます。
つまり、スピードを向上させていくには上半身のトレーニングも必要になります。
身体を安定させるだけでいいの?
なるほど!では、身体がブレないように体幹を安定させてフィジカル強化をしていけば良いのですね!
伊藤俊太監修トレーナーからのアドバイス
全米ストレングス&コンディショニング協会ストレングス&コンディショニングスペシャリスト・NSCA認定パーソナルトレーナー
最初の狙いはそうなります。しかし、身体を固めるだけではサッカーのパフォーマンスも向上しません。フィジカルで相手を圧倒するためには可動性の体幹も必要になります。
しかし、腰椎の上にある胸椎は可動性に優れています。
そのため、胸椎は体幹の伸展、屈曲、回旋中心に行いたい部分なので、いわゆるモビリティ関節とも言われています。
しかし、スマホやパソコンの普及によって腰椎とともに胸椎も屈曲するような姿勢になってしまっているため体幹の伸展を行うと腰椎で伸展させてしまいます。
モビリティ関節とスタビリティ関節の機能が逆転してしまっているため、動きにメリハリをつける意味でも、腰椎の安定性、胸椎の可動性をもっと出していけると体幹部分の機能が整ってきます。
体幹トレーニングはダイエットに効果的です。すぐに体重減少はしないけれど継続して行うことで代謝アップし無駄な脂肪がつきづらくなり美しくしなやかなボディメイクにおすすめです。実際の例を紹介します。
体幹トレーニングだけに頼ってはいけない
プランクだけが体幹トレーニングではない
このエクササイズは、とても有効な筋トレです。
しかし、このプランクというエクササイズはサッカーというスポーツにおいて最も効果的で、競技力を向上させるエクササイズとしてベストかどうかと問われると、素直にイエスとは言えません。
なぜなら、肩甲骨、骨盤も安定させてしまうからです。
腰椎は安定させますが、肩甲骨が付着している胸椎、骨盤のある股関節は可動性を高めていきたいからです。
その部分を踏まえた理想のエクササイズは、安定させるところ、可動させるところ二つを踏まえてメリハリをつけてエクササイズすることが条件になると思います。
立位姿勢でも体幹は鍛えられる
実際にサッカーをするときは立位姿勢で行うはずなので、本来はサッカーをプレーする姿勢に近い姿勢で鍛えられれば良いのです。
そうなると、プランクも必要になりますが、立位姿勢のトレーニングも行うことでパフォーマンスアップにつながります。
立位姿勢でも基本的には同じで、腰椎の安定性、胸椎、股関節可動性を意識して行うことで立位姿勢でも体幹を鍛えることができます。
立位姿勢を保持しながら、胸椎、股関節を動かすことは非常に難しいため練習が必要かと思いますが、このあと紹介するエクササイズを上手く出来るようになることで、当たり負けないフィジカル、爆発的なパワーを生むことができるようになります。
サッカーの体幹力向上に効果的な筋トレ3選
①ハンドトゥー+肩甲骨内転
ポイントは、骨盤を回旋させず胸椎だけを回旋させていきます。
このトレーニング方法のポイントは肩甲骨を内転させていくことが鍵になります。
腰椎が伸展してしまわないように気をつけてエクササイズに臨んでください。
②サイドブリッジ+股関節屈曲
この姿勢は股関節を優位に働かせるためのエクササイズです。
注意点は、股関節を屈曲した時に脊柱が曲がらないように意識していきましょう。
脊柱が曲がることで体幹エクササイズの効果は一気に薄れてしまいますし、脊柱が曲がるのであれば出来る範囲でトレーニングするべきです。
立位姿勢で言うと、ウォールドリルの床で行うバージョンと考えてもらえれば良いかと思います。
③フォワードランジ+肩甲骨回旋
最後は、立位姿勢でのエクササイズです。
前方にランジした後に、肩甲骨を回旋させていきます。
<注意点>
①踏み出した脚の膝がつま先よりも前に出ないこと。→前に出ると力が伝わらないため
②踏み出した時にしっかりとストップさせること。→脊柱まっすぐ。
③肩甲骨回旋時に膝が動かないように固定すること。→ここが止まるか止まらないかで次のプレーの質が変わってくる。
意識するポイントは各3つほどあるかと思います。
筋トレ=トレーニングは何のために行うかを理解しながら行うことで大きな効果を発揮します。
また、トレーニング後にはなるべく早く栄養摂取することでトレーニングで傷ついた筋肉の修復の回復を促進してくれます。
この栄養摂取ですが、高負荷の筋トレの時に行うだけでなく、日頃から意識して栄養摂取することで身体の成長を促してくれます。
強くなるために、試合で勝つために本気でトレーニングと向き合ってみてはいかがでしょうか?