腹筋のカロリーはどのくらい?本当にお腹痩せに効果的な方法とは?

監修者

小川 雄翔

日本トレーニング指導者協会の資格(JATI-ATI)保持者。パーソナルトレーナーとして科学的根拠に基づいた指導が得意。

腹筋を割ってシックスパックを作るには、お腹にある脂肪を燃焼させて腹筋を鍛えることが欠かせません。そこで「腹筋をすればカロリー消費もできて腹筋も鍛えられる!」と思う人がいるのですが、それではシックスパックにはたどり着けないでしょう。腹筋を割るための正しい方法をまとめました!

筋トレの消費カロリーはそれほど高くない!

腹筋に限らず、筋トレ自体には動作中の消費カロリーは高くありません。

よく「腹筋500回の消費カロリーはスクワット15回に相当する」といった情報が掲載されていますが、これも全くのデタラメです。スクワット自体にそこまで消費カロリーを期待することはできません。

一般に運動による消費カロリーは以下の式で計算できます。

消費カロリー(kcal) = 体重(kg) × 運動強度(メッツ) × 時間(h) × 1.05

メッツとは「運動強度が安静時を1としたときに何倍か」を表す数字です。メッツが3であれば、安静時より3倍の強度の運動ということになります。

この計算式を腹筋運動に当てはめてみましょう。

腹筋運動はメッツが6なので、仮に体重60kgの人が腹筋を50回おこなってみたとしましょう。50回行うのに3分(0.05時間)かかるとし、

60kg × 6メッツ × 0.05h × 1.05 = 18.9kcal

となります。少ないですね。

体重別・回数別に以下にまとめてみましょう。
・体重40kgの場合

回数 消費カロリー
20回 2.6kcal
30回 7.6kcal
50回 12.6kcal
100回 27.7kcal
・体重50kgの場合

回数 消費カロリー
20回 3.2kcal
30回 9.5kcal
50回 15.8kcal
100回 34.7kcal
・体重60kgの場合

回数 消費カロリー
20回 3.8kcal
30回 11.3kcal
50回 18.9kcal
100回 41.6kcal
勘がいい人はもう分かるかもしれませんね。

運動による消費カロリーはどうしても運動をしている「時間」に比例するので、筋トレではなかなか消費カロリーは稼げません。腹筋を1時間やるなんて考えられないですよね。

筋トレ(腹筋)のカロリー消費は「トレーニング後」に現れる!

小川 雄翔監修トレーナーからのアドバイス

日本トレーニング指導者協会の資格(JATI-ATI)保持者。パーソナルトレーナーとして科学的根拠に基づいた指導が得意。

では腹筋を割りたい、綺麗な縦線の入った腹筋を手に入れたい、という場合は腹筋の筋トレをしても意味がないのかというと、そういうわけではありません!

実は筋トレのカロリー消費というのは、トレーニング中ではなくトレーニングの「後」に現れてくるのです。

トレーニング後に訪れるカロリー消費。それは次の2種類が挙げられます。

①筋肉が増えることによる代謝のアップ

人はたとえ、1日寝たままの状態で過ごしても一定のカロリーを消費しています。この消費されるカロリーを「基礎代謝」と呼びますが、この基礎代謝のうち、約20%が筋肉によるものです。

腹筋をはじめとした筋トレを行なうことで筋肉量が増えれば、単純にこの筋肉分の基礎代謝量が増加するということになります。つまり、何もしていなくても消費されるカロリーが増える=痩せやすくなるというわけです。

これは普段トレーニングをする習慣がなかった人ほど、その効果を高く実感できることでしょう。

②トレーニング直後に起こるカロリー消費|EPOC効果

筋トレのようなハードなトレーニングを行なった後、体は「EPOC(運動後過剰酸素消費量)」と呼ばれる、普段より消費カロリーが多い状態が続きます。

理由は筋トレをすることで傷ついた筋繊維など、身体のあちこちの修復作業にエネルギー、酸素が使われるからです。トレーニングの強度にも左右されますが、このEPOCはなんとトレーニング後半日以上続くというデータもあるほどです。

腹筋を割るのに必要な要素3つ

① 腹筋のハードトレーニング

冒頭で話した通り、腹筋を割るなら「脂肪を燃やして腹筋を鍛える」という2つがポイントとなります。そこでまずは、腹筋を鍛えるという点にフォーカスして少し解説していきましょう。

筋肉を大きくしてよりメリハリのあるボディを作るには、単に100回、200回とトレーニングを繰り返すだけでは効果が望めません。そこで大事になってくるのはトレーニングの「強度」です。10回〜15回が限度のトレーニングを3セット繰り返す。これくらいを目安にするのがベストと言えるでしょう。

腹筋を大きくする場合も、これが大きなポイントとなります。ただし、腹筋のトレーニングは自重で行うものが多いのが特徴です。自宅で鍛えたいという思いを抱いている人も多いでしょう。

じゃあ腹筋トレーニングの強度をどうやって上げるのかというと、「正しいフォームで反動を使わず、ゆっくりとした動きを繰り返す」というのがポイントになってきます。スピードをつけて行うと、1回あたりの腹筋への刺激が弱くなってしまいます。正しいフォームで絶えず腹筋への負荷をかけ続けることが、腹筋の強度アップの秘訣となるのです。

小川 雄翔監修トレーナーからのアドバイス

日本トレーニング指導者協会の資格(JATI-ATI)保持者。パーソナルトレーナーとして科学的根拠に基づいた指導が得意。

ダンベルなどを使って強度を高くするのもおすすめです。

② 腹筋トレーニング+有酸素運動

先ほど、有酸素運動より無酸素運動の方が脂肪燃焼効果は高いという話をしましたが、これは「どちらか一方をするなら」という話です。もし時間があるなら、筋トレを行なった後に軽い有酸素運動を行うことで、消費カロリーを大きく伸ばすことができます。

ただし、ハードな有酸素運動はエネルギー不足になり、筋肉の分解を招いてしまうので注意が必要です。長くても30分以内を目安にして、気持ち早歩き程度のウォーキングをプラスするくらいにとどめておきましょう。

③ 食事管理

腹筋の消費カロリーが低いため、強度の高い腹筋トレーニングで腹筋の肥大化を狙おう、有酸素運動を追加しよう、ということを述べてきましたが、腹筋を割るためにもしかしたら一番大切なことは「食事制限」かもしれません。

腹筋はもともと構造上割れているため、筋肉を肥大させることで必然的に割れてくるのです。しかし、いくら腹筋を肥大化させてもお腹の上に脂肪がたっぷり乗った状態では割れた腹筋は表れてくれません。

プロレスラーは強靭な肉体・腹筋を持っていますが、衝撃に耐えるために脂肪も上からつけています。そのため、見た目はバキバキに割れた腹筋ではないのです。

筋肉と脂肪は全くの別物であるため、筋トレをしたからといって体脂肪が筋肉に変わってくれるなんていう魔法のようなことは起こり得ません。
割れた腹筋を見えるようにするには、「体脂肪を落とす」ことが何よりも大事であり、そのための最も有効な手段は食事の量をコントロールすることなのです(もちろん、前述したように高強度な筋トレで消費カロリーを上げることも良いです)。

「腹筋はキッチンで作られる」という言葉があるように、腹筋を割るためには食事の管理が大事なのです。

腹筋の消費カロリーは低くとも腹筋は割れる!

筋トレに抱かれているカロリー消費の誤解や、腹筋を割るための本当に大切なポイントをまとめました。

正しいトレーニングとちょい足しの有酸素運動の組み合わせで筋肉のサイズアップとカロリー消費、摂取カロリーのコントロールを両立できれば、引き締まったかっこいいシックスパックを手にいれることは、不可能ではないのです。

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