牛乳の糖質は?糖質制限ダイエット向きか?その他の栄養素も解説

牛乳は糖質を含んでいますが、お腹を膨らませる働きや、腹持ちが良い特徴もありますので、糖質ダイエットにも利用可能です。タンパク質もしっかりと含まれていますので、筋肉の成長や体作りを行いながら行うダイエットにも最適です。

牛乳の簡単な基礎知識

牛乳とは

牛乳は、皆さんに知っている通りの牛の母乳の事です。日本では、牛乳の成分の調節がされていない生乳の事を日本では牛乳、脂肪分の調整されている牛乳を低脂肪牛乳と呼びます。
海外(特にヨーロッパ)では脂肪の%が表に大きく表示されている商品が殆どです。日本で売られているような成分未調整の牛乳は「Full Fat Milk」として売られていて、低脂肪牛乳である「Low Fat Milk」や「Fat Free Milk」の売り上げが日本よりも高い割合で売られています。濃厚で味わいのある牛乳が好まれる日本とは少し違いを感じますね。
また、日本語では「牛」、「乳」と書かれるだけあって、牛の母乳である事が牛乳の定義です。英語では「Milk」で、牛の母乳でなければならない定義はありません。(主にMilkは牛の母乳であることは変わりありませんが。)ロシアや東欧では、未だに羊の母乳などの乳が好まれて飲まれています。

牛乳の成分や水分量をコントロールしたり、乳糖を分解する事によってできたものを加工乳と呼びます。
牛乳成分の他の加工品や栄養素、味付けを加えた乳飲料も牛乳の仲間です。コーヒーなどの異なる飲み物を加えたコーヒー牛乳も乳飲料ですね。牛乳を加工する事で作られるバターや生クリーム、チーズ、ヨーグルトやアイスクリームなどは全て乳製品です。

牛乳の歴史

人類が牛乳を飲み始めたのは、動物を家畜として利用し始めてからです。野生の哺乳動物から、母乳のみを入手する事は極めて困難でしたし、1万年ほど昔にやぎと羊が家畜として利用され始めてから人間が乳を飲み始めたと考えられています。日本の牛乳の定義であるようように、牛の母乳を初めて飲み物として利用し始めたのは、中東であると言われています。砂漠では水分に限りがあり、栄養素の高い牛乳はとても貴重に扱われました。また、牛乳として全ての母乳を飲み干すのではなく、塩を加えたりして加工する事で、牛が母乳を出さない時期の保存食としてチーズなどが生まれました。

牛乳は腐りやすく、長持ちしませんでした。しかし近年になって工場生産やパスチャラいゼーションと呼ばれる殺菌方法や冷蔵技術の発展によって牛乳の生産量が大幅に拡大しました。日本では5世紀ころから牛が家畜として利用され始めました。これによってその頃から牛乳は飲まれていたと考えられます。

牛乳の糖質・カロリーは?牛乳は糖質制限ダイエット向き?

牛乳のカロリー・糖質・脂質・タンパク質量

食品 カロリー 糖質 脂質 タンパク質
牛乳(100g) 67 4.8g 3.8g 3.3g
低脂肪乳(100g) 46 5.5g 1g 3.8g
生乳(100g) 66 4.7g 3.7g 3.2g
コーヒー牛乳(100g) 56 7.2g 2g 2.2g
フルーツ牛乳(100g) 46 9.9g 0.2g 1.2g
豆乳(100g) 46 2.9g 2g 3.6g
ここでは牛乳の食品分析を他の乳製品と比較したいと思います。上の表はどれも100g毎ですので、簡単に比べられますね。牛乳のカロリーは67kcalで生乳とほとんど同じ、もちろん低脂肪乳よりも高く、投入やコーヒー牛乳、フルーツ牛乳などの乳飲料よりも高くなっています。低脂肪乳は牛乳の69%程までカロリー量が調整されています。
糖質量も牛乳は4.8gで、他の乳製品よりも低いことが分かります。牛乳の糖質量は低脂肪乳の87%程に抑えられていて、加工の過程で糖質が加えられているコーヒー牛乳やフルーツ牛乳よりも大幅に低くなっていますね。牛乳はコーヒー牛乳の67%、フルーツ牛乳の48%程です。牛乳の糖質量は比較的低いことが分かりますね。豆乳の糖質量は、2.9gと乳製品の中では一番低くなっています。
牛乳の脂質量は3.8gで低脂肪牛乳の3.8倍、コーヒー牛乳の87%、フルーツ牛乳の19倍、豆乳の1.9倍です。牛乳のタンパク質量は3.3gと低脂肪乳や豆乳よりも少し低く、コーヒー牛乳の1.5倍、2フルーツ牛乳の2.8倍です。やはり加工されている乳飲料は糖質が高く、タンパク質量が低いことが分かりますね。

牛乳と他の乳製品をカロリー・糖質・脂質・タンパク質で比較

牛乳の食品分析を、ほかの乳製品と比較しましょう。
食品 カロリー 糖質 脂質 タンパク質
牛乳(100g) 67 4.8g 3.8g 3.3g
ヨーグルト(100g) 62 4.9g 3g 3.6g
バター(100g) 745 0.2g 81g 0.6g
プロセスチーズ(100g) 339 1.3g 26g 22.7g
マーガリン(100g) 758 1.2g 81.6g 0.4g
まずはカロリー量、牛乳は100g当たり67kcalで、ヨーグルトとほぼ同カロリーです。そして飲み物ではないバターとマーガリンの約9%、プロセスチーズの20%のカロリー量を牛乳は有しています。
牛乳の糖質量はヨーグルトと殆ど同量で、バターの24倍、プロセスチーズの3.7倍、マーガリンの4倍です。脂質量はどうでしょう。牛乳は3.8gとヨーグルトの約1.3倍ですが、バターとマーガリンの約21倍、プロセスチーズの約7倍です。牛乳のタンパク質要は3. 3gでヨーグルトよりもやや低いことが分かります。バターの5.5倍、プロセスチーズの約15%、マーガリンの約8倍である事が分かりますね。

牛乳は糖質制限ダイエットに向いているか?

牛乳は糖質を含んでいるので、糖質制限ダイエットに最適な食品とは言い切れません。しかし牛乳の栄養素は素晴らしく(次の章で紹介します)、ダイエット中に摂取したい成分が豊富に含まれています。その為、牛乳で糖質制限ダイエットに取り組むのではなく、糖質制限中の栄養素の補給として牛乳を摂取する事をお勧めします。通常の食事から、白米ご飯やパスタなどの炭水化物の摂取量を減らし、糖質制限を行いながら、食後に1杯の牛乳を飲むのが良いですよ。牛乳のお腹を膨らませる効果によって、主食の量を減らした食事でも、満腹感を得やすくなるでしょう。また、牛乳の腹持ちの良さが、間食に手を出す事を防ぐ手助けをしてくれるでしょう。間食のお菓子などは、糖質量が非常に高いものが多いので、糖質制限ダイエットの天敵です。食後に1杯の牛乳を飲むと、自然と糖質制限ダイエットの成功率が高まりますよ。

覚えておきたい牛乳の栄養素

骨や歯の強化、ストレスの対応力を高めるカルシウム

牛乳100gには110㎎のカルシウムが含まれています。日本人の一般成人の摂取量の目安は600㎎ですので、牛乳600g(600ml)で一日に必要なカルシウムを摂取できるでしょう。皆さんが知っている通り、カルシウムは骨や歯の強化に必要不可欠です。骨を強化する事で、骨粗鬆症の予防はもちろん、骨折のリスクを軽減させたりするのにも役立ちます。

血液中のカルシウムが上昇すると、ノルアドレナリンと呼ばれる神経伝達物質が放出されます。ノルアドレナリンはうつ病の薬にも使用されていて、快楽や意欲を注ぐドーパミンの分泌を促す効果があります。このノルアドレナリンの働きによって、不安やイライラなどネガティブな感情を感じにくくなるでしょう。習慣的に牛乳を摂取するとストレスに対する対応力が上がるので、ストレスを感じにくい生活が送れるはずです。
他にも髪の毛や爪、皮膚の再生や強化にも効果があります。

マグネシウムなど他にも様々なミネラルが豊富

牛乳にはマグネシウムも豊富に含まれています。一日に 約300㎎の摂取が進められていますが、牛乳はその3%である10㎎のマグネシウムを有しています。マグネシウムは体では合成する事の出来ないミネラルですので、食事から摂取する必要があります。一日の摂取量の3%は高い数字ではないのですが、牛乳にはマグネシウムの吸収を助ける亜鉛が含まれているので、効率よく体内に吸収できるメリットがあります。また、マグネシウムはカルシウムと一緒に働き、

カルシウムの吸収や分配に効果的なビタミンD

まず第一のビタミンDの働きは、カルシウムを腸から血液への吸収率を高める事です。そして、血液から骨や歯、髪の毛へカルシウムを送り込む役割があります。更に肝臓では、血液中のカルシウムを尿へ分解する働きを抑える働きもします。つまり、ビタミンDはカルシウムの吸収率と利用率を高めてくれます。日光に当たることで皮膚で合成する事の出来るビタミンDですが、外に出る機会の減っている現代では、食事からしっかりと摂取する事が大切ですね。ビタミンDは、血液中のカルシウム濃度を保つ最強の栄養素です。
牛乳には非常に豊富なカルシウムが含まれているだけでなく、その吸収率を最大限まで引き上げるサポートをしてくれる栄養素も豊富なのです。

飽和脂肪酸はGI値高める!そして中性脂肪の蓄積を促す!

脂肪は主に飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類する事が可能です。そして不飽和脂肪酸は更に一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けられます。
牛乳100g当たりには3.3gの脂肪が含まれていますが、その中の57%である1. 87gが飽和脂肪酸です。カプロン酸、パルミチン酸などの異なる種類の飽和脂肪酸がこの1. 87gを構成しています。そして残りの43%がオレイン酸の一価飽和脂肪酸、リノール酸などからなる多価飽和脂肪酸です。
飽和脂肪酸の特徴は融点(個体から液体に代わる温度)が高い事です。分子の構造はシンプルですが、その繋がりが強く、分解されにくい事がこの理由です。不飽和脂肪酸の融点は69.6度と、オレイン酸(不飽和脂肪酸)の16. 3度と比べると大きな開きがあります。この融点の高さが、体内でのコレステロール値や糖質の吸収スピードを上昇させて血糖値を高めます。GI値が高いと血糖値の上昇が著しくなり、脂肪の蓄積を促します。GI値とは糖質の吸収スピードと吸収量を表す数値で、高いとダイエットの妨げになってしまいます。GI値が高まると、体内にため込まれた脂肪が燃えにくくなり、脂肪の吸収率が高まりますので、中性脂肪の量が高まってしまいます。中性脂肪を燃やす事がダイエットを行う上で大切ですが、必要以上の飽和脂肪酸はGI値を高め、中性脂肪の蓄積を促してしまいます。 牛乳や、食物繊維の豊富な野菜と一緒に食事をすることで、GI値を低下させる事が可能でしょう。

異なる種類のビタミンBがしっかりと含まれている

少し意外ですが、牛乳はとても豊富なビタミンBの源なのです。ビタミンBには炭水化物をエネルギーに変える働きがあります。これはダイエット中の糖質の蓄えをより早く減少させる事を促せるので、脂肪を燃焼させやすくします。しっかりとビタミンBを摂取する事で素早く脂肪が燃焼皿やすくなるでしょう。
ビタミンBには8種類の異なる水溶性の種類があります。ビタミンB1であるチアミン、ビタミンB2のリポフラビン、ビタミンB3のナイアシン、ビタミンB5のパトテン酸、ビタミンB6も含まれています。牛乳はアミノ酸の合成に利用されるビタミンB9である葉酸や目の疲労回復に効くビタミンB12も有しています。
ちなみにビタミンCが含まれていないのは、子牛が自分の力でビタミンCを体内で合成できるので、母乳を通して与える必要がないからです。

ダイエットには向いているのか?牛乳の注意点や特徴

貴方の乳糖の分解能力は?特に朝は注意

牛乳にはラクトースとも呼ばれる乳糖が含まれています。この乳糖の分解に時間が掛かるとお腹が痛くなったり、消化不良になったりする原因になります。そして、この乳糖の分解はDNAと深い結びつきがある事が明らかになっています。乳酸の分解が素早く行われるDNAと、乳酸の分解が困難であったり、長い時間が掛かるDNAに分類出来て、後者の場合は牛乳の摂取量や時間帯を調節する事が必要です。朝空腹の状態で大量の牛乳を飲むとお腹がゴロゴロしやすいでしょう。全く乳糖を分解する能力がなく、お腹を壊してしまったり、腹痛を起こしてしまう乳糖不耐症と呼ばれる症状を持っている方も少なからずいます。気になる方は可能であれば、病院等で自分のDNA検査をしてもらい、自分の乳糖との相性をチェックしてみてはどうでしょうか?

牛乳の吸収スピードを遅らせる働きと腹持ちの良さ

プロテインパウダーには主に素早く吸収される「Whey Protein」、ゆっくりと吸収される「Casein Protein」、豆から作られる「Soy Protein」に分類できます。「Whey Protein」も「Casein Protein」も牛乳から作られていていますが、牛乳にはより多くの「Casein Protein」が含まれています。これは牛乳のタンパク質の吸収スピードが遅いことを示しています。吸収スピードが遅いので、牛乳は腹持ちが良い特徴もあります。

ダイエット中の食後に一杯の牛乳を飲む事で、満腹感を得やすく、お腹が空きにくくなるので、間食も回避できるでしょう。これはダイエットに役立ちます。また、間食の代わりに一杯の牛乳を飲んで栄養補給を促しながらお腹を満たすのもダイエット中には良いでしょう。

お腹を膨らませる

牛乳にはお腹を膨らませる働きがあります。お腹が膨れるので、満腹感を感じられます。満腹感を感じることで、無駄な間食の摂取を控えられるはずです。間食を控えることで、無駄なカロリーや糖質の摂取をカットできるので、より効果的にダイエットに取り組める様になるでしょう。

牛乳でタンパク質を補給しながらダイエット!

牛乳にはタンパク質が豊富に含まれています。ダイエット中に食事制限を行うと不足しがちなタンパク質をしっかりと摂取しながらダイエットに取り組めるでしょう。タンパク質は筋肉の成長と回復を促すので、ダイエット中でも必ず補うようにして下さいね。身体作りの効率を上げることで、筋肉量が増えると、基礎代謝が上がり、ダイエットの効率が高まるでしょう。

牛乳を豆乳と比較

豆乳と牛乳の違い

豆乳は豆から作られた乳製品です。どちらも乳製品ではありますが、豆乳には乳糖が含まれていません。その分カルシウムやマグネシウムなどのミネラルの量で豆乳は牛乳にかないません。しかし、豆乳のカロリー量、糖質量、脂質量は牛乳より低く、タンパク質はより多く含まれています。これはダイエット中には嬉しいですよね。少し独特の味ですが、慣れれば美味しく頂けるはずですよ!

牛乳が合わない方は豆乳で!ダイエットに豆乳はさらに良い!

先ほどDNAが牛乳に含まれる乳糖の分解に関係している事を解説しましたが、牛乳が体に合わない方は豆乳を飲むようにすると良いでしょう!豆乳には乳酸は含まれていない為、お腹がゴロゴロしにくくなるでしょう。また、豆乳は牛乳に比べて素早く吸収されるので、あっさりとしていて、重くありません。