筋収縮のメカニズムとは?知れば筋トレの効果が倍増する!

監修者

北村 真美

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

【プロトレーナー解説】筋の収縮について、筋の構造からメカニズム、筋線維のタイプ、筋収縮の種類まで詳しく知っていきましょう。今後のトレーニングに意識して取り入れていくことで、筋トレの効果を上げることができるでしょう。

筋の収縮について:骨格筋の構造と筋収縮のメカニズム

筋収縮のメカニズムについて教えてください。

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

筋収縮と一言でいっても、筋には平滑筋・心筋・骨格筋の3種類があります。

筋の種類

平滑筋とは、横紋構造のない筋のことで消化管や内臓の筋肉、血管壁にある内臓筋がその代表です。
横紋構造のある筋とは横紋筋のことで、心筋と骨格筋がそれにあたります。
心筋とは、心臓壁の筋肉で、意識的には動かせない不随意筋となります。
骨格筋は、骨と骨の間に張られており関節運動に必要な筋肉で、意識的に動かすことができる随意筋です。

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

ここでいう、筋の収縮とは、随意筋である骨格筋のことを指しています。まずは骨格筋の構造について知り、筋収縮のメカニズムを理解してください。

骨格筋の構造

骨格筋とは、骨に付着して動きを制御する筋肉のことであり、体重の約40%を占めており、筋肉の種類としては横紋筋です。

骨格筋は筋上膜という丈夫な結合組織に包まれ、その中には筋線維束が数本から数十本束になっています。筋線維束は、筋線維の集まりであり、やや暑い結合組織の筋周膜で包まれています。この筋線維は生体内で最も大きい多核細胞で、筋線維を構成しているのは数百から数千の筋原線維なのです。

筋原線維の主な成分はアクチンとミオシンというタンパク質で、これらは繊維状のフィラメントを構成しています。

筋収縮のメカニズム

筋収縮のメカニズムにおいて、広く受け入れられている理論である、フィラメント滑走説について説明します。
1.活動電位が神経細胞の末端まで伝わると、神経筋接合部で興奮性神経伝達物質のアセチルコリンが放出される。
静止状態の神経細胞では、アセチルコリンは神経細胞の軸索終末にあるシナプス小胞に貯蔵されている。
活動電位が伝わると、貯蔵されているアセチルコリンがシナプス間隙に放出される。

2.放出されたアセチルコリンは、シナプス間隙を超え、筋線維の運動終板に存在するアセチルコリン受容体と結合する。

3.それにより筋線維の筋鞘に活動電位が生じ、横細管(T管)を通じ筋線維内部に伝わる。
活動電位がT管に伝わると、筋小胞体は貯蔵しているカルシウムイオンを放出する。

4.カルシウムイオンが筋形質内に放出されると、アクチンフィラメントの全長に沿って存在するトロポニン分子に到達し、結合する。

5.カルシウムイオンとトロポニンが結合すると、トロポニンが構造変化を起こし付着しているトロポミオシンが移動し、アクチン上の結合部位がミオシン頭部に対して露出する。

6.静止状態の筋では、ATPがアデノシン二リン酸(ADP)と無機リン酸に分解することで得られるエネルギーをミオシン頭部で蓄えている。
アクチン上の結合部位が露出すると、ミオシン頭部はこれと結合しクロスブリッジを形成し、アクチンフィラメントを引き込もうとする。

7.アクチンフィラメントを引き込むと、ミオシン頭部のエネルギーは減少する。そのためミオシン頭部は新たなATP分子と結合しアクチンから解離し、ATP分子はミオシンアデノシン三リン酸分解酵素(ATPアーゼ)の働きで分解される。これによりミオシン頭部は再びエネルギーを蓄える。

8.アクチン上の結合部位がまだ露出していれば、ミオシン頭部は再びアクチンとクロスブリッジを形成し引き込もうとする。筋線維が運動神経から収縮の刺激意を受け続ける限り、この過程が繰り返される。

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

滑走説では、筋フィラメント自体は長さを変えず、アクチンフィラメントとミオシンフィラメントが互いに滑り込むことによって筋が短縮または伸長するという考え方です。

筋の収縮について:筋線維のタイプと筋収縮の種類について

筋トレの効果を高めるためには、どういったことを意識するのがよいですか?

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

ここから説明する筋線維のタイプと筋収縮の種類について理解して、意識して行うことで効果を得やすいと思います。

筋線維のタイプ

筋線維は、生化学的特性と収縮特性の違いにいよってタイプ分けされています。
1.タイプⅠ線維(遅筋線維)
収縮速度が最も遅く、得られる筋の張力も低い。
毛細血管密度が高く、酸化系にエネルギー源を持つため疲労しにくく長時間収縮し続けることが可能。
ミオグロビン、ミトコンドリアを含んでおり、赤く見える。(赤筋)

2.タイプⅡ線維(速筋線維)
収縮速度が速く、短収縮で得られる筋の張力が最も高いため、爆発的に高い収縮力を得ることができる。
筋内グリコーゲンを多く含んでおり、エネルギー源として無酸素性解糖をもつため疲労しやすい。
ミオグロビンが少なく、白く見える。(白筋)

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

筋線維は受けた生理学的ストレスに対して適応しますので、筋線維を意識したトレーニングを行うことでサイズが増加します。
有酸素運動ではタイプⅠ線維の遅筋(赤筋)を、無酸素運動ではタイプⅡ線維の速筋(白筋)を増やすことになります。

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

次は、筋の収縮(筋収縮)についてです。
筋収縮とは、筋張力が発生することで、必ずしも筋の短縮が起きるものではないのです。

筋収縮の種類とその特徴

1.等尺性収縮(アイソメトリック)
静的収縮とも呼ばれ、筋肉は張力を発生するが、関節角度や筋の長さは変化しない収縮様式です。筋の出力は負荷と等しくなります。
場所を選ばず負荷を加えて実施することができるが、トレーニングをした関節角度付近しか効果を求めることができない特徴がある。

2.等張性収縮(アイソトニック)

動的収縮とも呼ばれ、求心性収縮(コンセントリック)と遠心性収縮(エキセントリック)に分類されます。
筋持久力の増大に対して効果的であり筋疲労からの回復も早いが、場所や機材を必要とする特徴がある。
ダンベルトレーニングやマシーントレーニングなど、一定の負荷での運動で、一定の張力で筋収縮するもの。

a.求心性収縮(コンセントリック)
筋肉は短くなりながら力を発揮し、課せられた重量負荷に対抗するのに十分な力を発生したときに起こります。重力や負荷重量に対して力を発揮するため、ポジティブ・コントラクション(正の収縮)とも呼ばれています。

筋の出力は負荷よりも大きく、関節角度は筋が力を作用させた方向に変化し、重力や外力に対して体の一部を動かします。

b.遠心性収縮(エキセントリック)
筋肉は引き伸ばされながら力を発揮し、重力負荷による下降をコントロールするよう筋肉の緊張を徐々に緩めるときに生じます。
負荷は筋肉の収縮能力を超えているように思われますが、下降の動きをコントロールできなくなるまでにはいたりません。

重力や重量負荷による動きをコントロールするので、ネガティブ・コントラクション(負の収縮)とも呼ばれています。
筋の出力は負荷よりも小さく、外力の方向に関節角度の変化が生じ、重力や外力の方向に体の一部が動きます。

3.等速性収縮(アイソキネティック)
動的な運動で、運動の速度は一定、筋収縮が全可動域に生じ、求心性または遠心性収縮を利用した運動の一様式です。
関節の運動速度が一定になるもので、トレーニングマシーンの使用によってこの運動は可能となります。

全運動範囲で最大筋力を発揮し続けることができ、筋力強化において最も効果的ですが、高価な機器が必要で操作も簡便ではないという特徴がある。

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

トレーニングプログラムを作成する際に、それぞれの筋収縮の特徴を考慮したうえで、一回のトレーニングにそれぞれの筋収縮を取り入れていただくと筋トレの効果が高まります。

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