握力測定の方法と年齢別平均値

小学生の頃から身体測定で握力を測定する機会がありますが、皆さんは握力を測定する目的を知っていますか?そして握力計の正しい握り方の方法を知っていますか?今回は、握力を測定する目的や握力を測る方法、握力の目安など、握力についての疑問を解消します。

握力を測定する目的とは?

握力とは何でしょうか?物を握る強さ、と直感的に感じますが、握力には身体にとって重要な意味が隠されているのです。まずは握力とは何かについて知りましょう。

握力には手で物を握る力である能動的握力と、指が引き伸ばされないように耐える力である受動的握力の2種類があり、共に前腕の筋肉が関わっています。

身体測定でも測定する握力ですが、測定する目的を知らない方も多いのではないでしょうか?
実は握力は体力や全身の筋力にも比例することが分かっており、手軽に測定できる握力を測ることで、体力や全身の筋力の目安を推定しようとする意義があります。ここに小学校や中学校の身体測定で測定する意義があるのですね。子供の全身の筋力を測定するのは時間的にも労力的にもコストがかかりますが、握力で全身筋力の目安を把握することができるため、握力を測定しているのです。

また高齢者においては、短期間の間で急激に握力が低下した場合は、死亡リスクが高くなります。
そのため定期的に握力を測定し、短期間で急激に低下した場合には、全身の体力向上を図るということが重要なのです。

【参考文献】
池田望、他(2011)『地域在住女性高齢者の握力と身体機能との関係』理学療法科学 26(2)、255-258

握力の年齢別平均値ってどのくらい?

握力の平均値は年度ごとに政府が統計をとっています。
平成28年度の体力・運動能力調査によると、握力の年齢別平均値は以下の通りになっています。
ご自身の握力の目安にしてください。

男性の年齢別平均値

6歳 9.44 kg
7歳 11.22 kg
8歳 12.81 kg
9歳 14.94 kg
10歳 16.96 kg
11歳 19.76 kg
12歳  24.37 kg
13歳 30.00 kg
14歳 35.02 kg
15歳 38.50 kg
16歳 40.32 kg
17歳 42.51 kg
18歳 41.57 kg
19歳 41.65 kg
20-24歳 46.47 kg
25-29歳 46.81 kg
30-34歳 47.38 kg
35-39歳 47.22 kg
40-44歳 47.02 kg
45-49歳 46.55 kg
50-54歳 45.78 kg
55-59歳 44.55 kg
60-64歳 42.78 kg
65-69歳 40.04 kg
70-74歳 37.21 kg
75-79歳 35.36 kg

女性の年齢別平均値

6歳 8.81 kg
7歳 10.40 kg
8歳 12.03 kg
9歳 14.04 kg
10歳 16.41 kg
11歳 19.70 kg
12歳 22.01 kg
13歳 24.44 kg
14歳 25.74 kg
15歳 26.07 kg
16歳 26.66 kg
17歳 26.88 kg
18歳 26.65 kg
19歳 26.86 kg
20-24歳 27.97 kg
25-29歳 28.53 kg
30-34歳 28.63 kg
35-39歳 28.95 kg
40-44歳 28.95 kg
45-49歳 28.89 kg
50-54歳 27.95 kg
55-59歳 27.40 kg
60-64歳 26.25 kg
65-69歳 25.14 kg
70-74歳 23.66 kg
75-79歳 22.78 kg

【参考文献】
『平成28年度 体力・運動能力調査』政府統計の総合窓口 e-Stat

握力計の握り方から解説する測定方法

体力測定など一般的な握力の測定には、スメドレー式握力計が多く用いられています。
スメドレー式握力計では、物を握る力である能動的握力を測定します。

測定方法

①握力計の指針がゼロになっていることを確認します。
②握力計が体に対して外側に向くように持ちます。
握力計の握り方は、手の甲が外側を向くように握りましょう。このとき人差し指の第2関節は直角になるようにしましょう。

③両足を左右に少し開き、体に触れないように腕をまっすぐ下げます。
④握力計を振り回したりしないように、握ります。

測定値の計算方法

左を測ったら右を測り、左右計2回ずつ測定します。
2回連続で同じ手を測定しないように気をつけましょう。
測定した記録はkg単位とし、小数点以下は切り捨てます。
2回測定したうちの左右それぞれ良い方の記録を足して、2で割ります。
計算された値の小数点は四捨五入します。

握力の筋トレ方法

筋トレをする際にパワーグリップやリストストラップなどの筋トレグッズを使用しなくてもいい、強い握力を身につけるには握力の筋トレを行うことが必要です。

パワーボール

握力を鍛える一般的な筋トレグッズといえば、ハンドグリップです。ハンドグリップは握る動作によって、握力を重点的に鍛えるものです。
それに対してパワーボールであれば握力だけでなく手首や二の腕なども筋トレすることができるためおすすめです。

パワーボールには、紐を使用するかボールの矢印方向に回すことでスタートさせる2種類があります。
紐を使用するやり方は少々面倒であるので、ボールの矢印方向に回すタイプのオートスタート機能のあるものを選ぶのがおすすめです。

[やり方](オートスタート機能がある場合)
①ボール部分の矢印方向に回らなくなる最大のところまで回します。
②回らなくなったらそのまま指で固定して、すぐに鍛えたい手のひらでボール部分の反対側を握ります。
③握ったらすぐに手首を回転させて、ボール部分を回転させます。このとき手首を回す速度が速く、ボールが高速であるほど負荷が高くなります。

リストカール

リストカールという筋トレをすることで直接的な握力を手に入れることは難しいものの、たくましい前腕を手に入れることができ、長期的な目で見ると握力をつけることができます。

[やり方] ①ダンベルを持って、ベンチやイスに座ります。
②足を開き、ダンベルを持つ手と同じ方の足の上に肘を乗せます。
③腕を動かさないようにしながら、手首に力を入れてダンベルを上げます。この時、ダンベルを強く握りすぎないようにしましょう。
④手首の力を抜かないようにしながら、ダンベルを下げます。

これら一連の上下運動を左右15回ずつ、2セット行うと良いでしょう。

握力は筋トレやスポーツに必要!

握力がなくても日常生活に支障がないから問題ないと考える人もいるでしょう。
しかし筋トレやスポーツをする場合であれば、握力がないのは少し不便な場面が出てきます。

例えば背中の筋トレであるデッドリフトをしたときに、背中よりも先に手が痛くなって出来なくなるという経験をした人は少なくないはずです。これは握力が弱いことが要因となっています。

この場合、パワーグリップやリストラップなどの筋トレグッズを使用することで、握力を強烈に使わなくても重いバーベルやダンベルなどを持つことができ、手が背中よりも先に痛くなることはなくなるでしょう。

しかしこれでは握力の弱さを補助するのみでしかなく、握力はいつまでたってもつきません。

またテニスや卓球などの握る力を必要とするスポーツにおいても、握力が強いほうが試合中に疲れにくくなるでしょう。そのため筋トレやスポーツをする人にとって握力をつけることで、より良い効果を得られる可能性が高くなります。

定期的な握力測定がおすすめ

握力と言えば手の力がどれだけ強いか測るものと思われがちですが、全身の筋力の目安を推定するための意義のある重要な健康指標の1つです。
特に高齢者の急激な握力の低下は死亡リスクが高くなる危険性があるため、定期的な握力の測定をすることをおすすめします。
握力計であれば場所も取らず手軽に計測できるため、1家に1台を置いておくのも良いのではないでしょうか。

【あわせて読みたい】