【プロトレーナー解説】筋肉には、速筋と遅筋という2種類の筋肉があります。速筋と遅筋の違いは何か?また、速筋の鍛え方について解説します。負荷や筋トレを行うスピードなどコツがあるのでぜひ覚えましょう!
速筋と遅筋には割合がある
速筋と遅筋って何が違うんですか?
小川 雄翔監修トレーナーからのアドバイス
日本トレーニング指導者協会の資格(JATI-ATI)保持者。パーソナルトレーナーとして科学的根拠に基づいた指導が得意。
速筋と遅筋の違い、ヒトの速筋と遅筋の割合から見ていきましょう。
速筋の多い人は、瞬発力を必要とするスポーツに向いています。
遅筋の多い人は、マラソンなどで長距離を走っても安定したフォームを維持する必要があるなどの持久力が必要なスポーツに向いています。
速筋と遅筋の割合は、陸上競技のようなタイムを競うようなスポーツで顕著に現れます。瞬発力を競うスポーツは欧米人が強いですよね。
また、その割合は遺伝するとも言われており、両親の速筋の割合が高ければ、子どもも速筋の割合が高くなり、両親の遅筋の割合が高ければ、子どもも遅筋の割合が高くなります。
短距離走で速くなりたいんですが、速筋の割合は増やせるんでしょうか?
小川 雄翔監修トレーナーからのアドバイス
日本トレーニング指導者協会の資格(JATI-ATI)保持者。パーソナルトレーナーとして科学的根拠に基づいた指導が得意。
実は速筋と遅筋の割合をトレーニングによって変えることは難しいと言われています。
最近では、遺伝子を調べることによって、速筋と遅筋の割合を調べることができるようになっています。瞬発系のスポーツが向いているか、持久系のスポーツに向いているか調べたい方は、一度試してみるといいかもしれません。
速筋は白筋と呼ばれて収縮が早い
体を支えている筋肉は約400種類あり、それぞれの骨格筋は筋繊維が束になってできています。筋繊維には、白筋と赤筋があって、赤筋の割合が多いと見た目が赤い筋肉になります。白筋と赤筋は筋肉の中に混ざって存在しています。この色の違いは、ミオグロビンという色素タンパクの量の違いによります。
赤筋は、収縮は遅いですが、疲労しにくいという特性を持っているので、遅筋と呼ばれています。白筋は、素早く収縮する力が大きいので、速筋と呼ばれています。
速筋繊維は酸素を使わない無酸素運動に向いている
遅筋繊維は、ミオグロビンを多く含むため赤く見えます。遅い速度で収縮し、小さな力を長時間発揮することができます。遅筋繊維は、乳酸が発生すると、酸素を用いて代謝します。乳酸が蓄積しないため、持久力に優れています。
速筋の効果的な鍛え方
小川 雄翔監修トレーナーからのアドバイス
日本トレーニング指導者協会の資格(JATI-ATI)保持者。パーソナルトレーナーとして科学的根拠に基づいた指導が得意。
速筋の鍛え方を解説します。
速筋の鍛え方
・高負荷で鍛える
・素早く速く動かす
高い負荷が筋肉にかかると、大きな圧力に抵抗するため、瞬間的に大きな力を発揮する必要があり、そのときに速筋が働き始めます。負荷が高ければ高いほど、速筋が働く割合が大きくなります。速筋を鍛えるためには、最大で反復できる回数を10回程度に抑えた鍛え方が最適だと言われています。
もう一つ、考えておく必要があるのが、負荷をかける速さです。負荷をかける速さが速いほど、筋肉に負荷がかかり、速筋が働き始めます。つまり、10回程度繰り返し行える負荷を、できるだけ速く反復することで、速筋を鍛えることができるというわけです。
また、全速力で短距離を走るなどの無酸素運動をすることで、速筋を鍛えることもできます。ウェイトトレーニングをする場合は、自分の持てる最大限の重量の70~80%程度のダンベルを使用し、10回程度の繰り返しトレーニングを行ってください。
ダンベルフライは、ダンベルを使ったトレーニング法で、大胸筋を鍛えることができます。速筋を鍛えるためには、10回程度できる重さのダンベルを使用し、できるだけ素早く動作を行うようにしましょう。
ダンベルフライは、ダンベルを使って大胸筋をピンポイントに鍛えるトレーニングです。
ピンポイントに大胸筋だけを鍛えることで、男性は厚い胸板、女性はバストサイズや綺麗な胸元を効率よく手に入れることができます。
速筋を鍛えることで筋肥大が起こる
筋肉を肥大させるということは、専門的に言うと、筋繊維を構成している筋節の数を増加させて、アクチンとミオシンのサイズを大きくするということです。アクチンとミオシンは筋繊維を構成している筋節を構成しており、筋収縮に関与するタンパク質で、収縮タンパク質に分類されています。アクチンとミオシンのサイズを大きくするには、速筋を鍛えることが有効だとされています。
筋肉には速筋と遅筋があることは説明しましたが、速筋にはさらに2種類あります。
速筋のタイプ2種類
①タイプ2A
②タイプ2B
一方、タイプ2Bの速筋は、4~10回の繰り返しトレーニングに反応する筋繊維です。筋肉を大きくしたい方は、このタイプの速筋を鍛えましょう。このタイプの速筋は、ボディビルダーや短距離走者が鍛えている筋肉になります。このタイプの速筋を鍛えるためには、限界まで追い込んでトレーニングを行うことが必要になります。筋肥大を起こしたい方は、無理をしない程度に、追い込んでトレーニングをしてみましょう。
負荷や回数について、さらに詳しくは以下の記事を参考にしてください。
速筋の鍛え方|RM(レペティション・マキシマム)を知る
レペティション・マキシマム(Repetition Maximum)は、その頭文字を取ってRM法とも呼ばれます。ある決まった重さに対して、何回反復して運動を行うことができるかによって、運動の強度を決める方法です。1回が限界の負荷を1RM、最高5回繰り返せる負荷を5RMというように表します。たとえば、50kgのベンチプレスを5回挙げられるけれど、6回は無理という場合は、5RMということになります。同じ人が、50kgを8回挙げられるようになると、8RMとなり、負荷は減ったことになります。
筋力トレーニングは、重量と回数の組み合わせで有効性が異なってきます。最大筋力の増加を目的とするなら、6RM以下が目安になります。最大筋力の90%以上を使う感覚です。筋肥大を目的とするなら8~10RMが目安となります。このRMは初心者にもおすすめのRMです。筋持久力の増加を目的とする場合、15RM以上が目安となります。最大筋力の70%以下で行うため、怪我のリスクが少ないです。
自分の目的によってRMを使い分け、効果的に筋肉を鍛えましょう。
多くの方が筋トレについて、回数は多いほどいい、毎日トレーニングしたほうがいい、というような勘違いをしています。その鍛え方で鍛えられるのは根性だけです。筋肉をしっかり鍛えるには適切な回数・負荷に意識しましょう。
速筋は効果的な方法で鍛えよう
ただし、無理をし過ぎて筋肉を損傷してしまうといけませんので、無理をし過ぎない程度に行いましょう。
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