腰痛に効くツボ!毎日1分でもう腰痛に悩まない!

監修者

北村 真美

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

【専門家解説】人間が二足歩行をするようになってから起こった腰痛。腰痛は様々な原因で起こりますが、原因が特定できない腰痛が大半を占めていることもわかっています。そこで、腰痛についての理解を深めるとともに、腰痛に効果のあるツボにも焦点を当てて、予防効果を高め腰痛対策をしていきましょう。

腰痛を知るために|脊柱についての知識を深める

多くの人が悩んでいる腰痛。腰痛とはいったいどんな疾患なのですか。

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

人間が立って生活を始めて、多くの方が悩みとしている腰痛。
腰痛とは、腰部に炎症が起こり痛みを生じる症状であり、実際の病名ではないのです。

腰痛について知るために、まずは、人間の体を形づくっている脊柱について知識を深めましょう。
正しい知識を持つことで、予防や対処方法を検討していくことができます。

脊柱とは、体の中心にある骨(脊椎骨)のことです。
7個の頸椎(首の骨)、12個の胸椎(胸の骨)、5個の腰椎(腰の骨)に分けられ、その下方に仙骨と尾骨があります。

脊柱を構成する脊椎骨は、各部位によって特有の動きができるように大きさと形が少し異なっています。
第1頸椎と第2頸椎は首が回るために特徴的な形をしています。
第3頸椎から一番下の第5腰椎までは大きさや形は少しずつ異なりますが、基本的な構造は似ています。

脊椎骨を横断面からみると、前方に円筒形をした椎体、後方に弓状の椎弓を持ち、両者は左右の椎弓根によって連結しており、中央には脊髄(神経)が通っている椎孔と呼ばれる穴があいています。
椎体は頸椎から腰椎へと下にいくにしたがって、より大きな重量に耐えられるよう大きくなっています。

脊柱は、脊髄やそこから派生する神経、隣接する臓器を保護する役割も担っています。
脊椎機能には重要な3つの機能があります。
①頭部:体幹を支える支持機能
②頭部:体幹の運動機能(屈伸、側屈、回旋)
③脊髄:馬尾神経を容れ、保護する神経保護機能

そして特徴的なのが、脊柱の生理的弯曲です。
頸椎は前弯、胸椎は後弯、腰椎は前弯しており、この彎曲は身体にかかる衝撃を分散したり筋肉がすることに役立っています。この弯曲の程度は個人差が大きく、特に若い女性では頸椎の前弯が少ない(ストレートネック)ことも稀ではなく、それに伴って胸椎や腰椎の弯曲にも影響が現れます。

また、この生理的弯曲は、骨盤・仙骨の傾斜の影響も受けています。

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

次項では、腰痛に特に関係のある、腰椎・仙椎・骨盤について、より詳しく説明していきます。

腰痛を知るために|腰部の構造について理解を深める

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

腰痛を知るためには欠かせない、腰部の構造についてより詳しく説明していきます。

腰部を構成する骨

前項で脊柱に関して説明した通り、腰椎は5つの椎骨でできています。
仙骨は、胎児期には5つの仙椎に分離していますが、癒合して1つの骨となります。
骨盤は、腸骨坐骨、および恥骨で構成される寛骨と、仙骨および尾骨の5つの骨で構成されています。

腰部安定性の構成

脊椎の各部位では、椎体は椎間板によって連結されています。椎間板は過剰な剪断力を防ぐように椎体を安定化させ衝撃を吸収しています。また腰椎に限らず、脊柱の椎体は前方は前縦靱帯、後方は後縦靭帯で補強されています。
脊柱管後方は黄靱帯、椎間関節を補強する関節靱帯、棘突起間の棘間靱帯、棘突起の頂点をつないでいる棘上靱帯などで腰椎が補強されています。
仙腸関節は、前仙腸靱帯と後仙腸靱帯で補強されています。
骨盤前方は、恥骨結合と呼ばれる軟骨性結合ですが、上方が上恥骨靱帯、下方が恥骨弓靱帯で結合されています。
第5腰椎横突起と腸骨は、腸腰靱帯で連結されています。

腰部・骨盤周囲の筋群

腹筋群としては、腹直筋、内外腹斜筋、腹横筋があります。
背筋群としては、広背筋、脊柱起立筋(腸肋筋、最長筋、棘筋の総称)、多裂筋を含む横突棘筋(他に半棘筋、回旋筋)があります。
腰部の前方および側方では、腹筋群が互いに重なり腹圧の維持や上昇に寄与しています。腹圧を高めることは、脊柱の安定に関与しています。

背筋群では多裂筋や脊柱起立筋などが脊柱の運動や安定化に寄与しています。
腸腰筋(大腰筋と腸骨筋)は、腰椎の側方に起始し、前下方に走行し大腿骨の小転子に停止する股関節の屈筋ですが、下肢が固定された状態では特に大腰筋が腰椎の屈曲に作用します。
その他骨盤には、大殿筋、中殿筋、小殿筋などの股関節の伸展筋や外転筋が起始を持っています。

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

腰部を構成する骨、関節、そしてそれを補強する靱帯、筋肉を知ることで、次項からの腰痛の原因を理解することに繋がります。

腰痛の原因について理解を深める

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

腰痛の原因についてみていきます。

腰痛の原因として、原因となる疾患や病態が特に認められず(外傷機転なし)、筋疲労、不良姿勢などに起因する、神経症状を伴わない腰痛が、腰痛のうちの約85%を占めているともいわれています。

痛みには3つの経路があります。

侵害受容性疼痛

炎症や組織損傷により痛みを発する物質が放出され、侵害受容器が持続的に刺激されて痛みが出現するもの。(筋、筋膜、靱帯、内蔵に異常があるもの)

神経障害性疼痛

末梢神経及び脊髄、脳の中枢神経に障害を受けて、神経線維の働きが正常に機能せず痛みが出現するもの。

心因性疼痛

心理的影響で痛みが出現するもの。

上記の3つの痛み経路から、整形外科疾患によるものとそうでない疾患を挙げると

整形外科的疾患によるもの

腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、急性腰痛(いわゆるギックリ腰)、脊椎分離症、脊椎圧迫骨折などの外傷、変形性脊椎症など。

整形外科的疾患以外のもの

内蔵疾患(膵炎、腎盂腎炎、腎結石、肝炎、、胆嚢炎、尿管結石、尿路結石、子宮内膜症など)、精神疾患(うつ病など)。

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

整形外科的疾患ではない腰痛の場合、内蔵疾患である場合を考慮しなくてはなりません。

内臓の異常によって腰痛が起こる原因

筋性防御

腹腔臓器や腹膜の障害(炎症、機械的な変化)が求心路を介して筋群を収縮させるという現象。
すい臓や腎臓、肝臓は腰部に近い場所にあるため、臓器の炎症や疾患により腰痛を生じる可能性があります。

関連痛

内蔵からの炎症を求心性内臓神経を介して、痛覚刺激が大脳で体性領域からの刺激として認識され、内臓からの激しい痛みがそこから離れた体表面で感じるという現象。
胃腸などの消化器官の不調によって腰部や背部の痛みを生じる可能性があります。

内蔵の異常は生活習慣の改善により、腰痛などの症状が落ち着くこともありますが、内蔵疾患の場合は重篤なレベルになるまで症状が現れないものもありますので、早めの医療機関への受診が大事になってきます。

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

次項では、腰痛の原因である代表的な整形外科疾患について、簡単に発生機序と症状、対処法について説明致します。

代表的な整形外科疾患について

椎間板ヘルニア

椎間板の線維輪が破綻し、椎間板内の髄核が飛び出すことによって起こります。
ヘルニアが椎体後方を走る神経に触れることによって疼痛、感覚異常などの神経障害、筋力低下などの症状として現れます。
髄核の後方への突出を防ぐため、腰椎を屈曲する動作を避けるようにする必要があります。また脊柱を支える筋群の筋力強化が有用となります。

腰部脊柱管狭窄症

腰椎の老化で軟骨や靱帯に変性が生じ、脊柱管が狭くなって中の神経が圧迫されるために神経の血行が障害され、独特の間欠性跛行(少しの運動や歩行で腰痛や脚のしびれや下肢のもつれ・痛みが出現するが、短時間の休憩で普通に歩行できるようになる症状)がみられるものです。

間欠性跛行は血管の病気である閉塞性動脈硬化症でも起こりうる症状であるため専門家の判断を仰ぐ必要があります。

変形性脊椎症

加齢による骨の変化や脊柱管が狭くなったり、椎間板が薄くなるなどの原因により、脊椎が変形をきたすものです。
腰のだるさや鈍い痛み、脚のしびれや歩きづらくなるなどの症状が現れます。

腰椎分離症

腰椎の椎体の後方にある突起部の椎弓の疲労骨折です。特に発育期の過度のスポーツ活動によって発生します。
発生動作の特徴は、過度な体幹伸展運動の繰り返しによって、腰椎後方の棘突起が衝突して、そのストレスによって疲労骨折を起こすと考えられています。

腰椎前弯が強調されることにより症状が誘発されるため、腰椎前方を支持する腹圧を高めるため腹筋群のトレーニングや、腰部・大腿前面の筋ストレッチで柔軟性を高めることが有用となります。

筋膜性腰痛

腰椎椎間板ヘルニアや腰椎分離症などの所見が認められず、腰背筋群の痛みや筋スパズム(筋痙攣)などの筋緊張症状を有する腰痛症のことです。
筋肉がこわばって腰が重だるいという症状。激しい痛みというよりも、身体を動かしたときに腰がだるくなる、腰にいつも疲労感があるなどの特徴があります。

オーバーユースや無理な姿勢で強い筋収縮した際に突発的に起こることが多いです。腰部の安静を確保することや、負荷の少ない動作を獲得する必要があります。

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

代表的な整形外科疾患についての簡単な対処法はお伝えしていますが、医療機関での専門的な診断と治療をしたうえで、対処法の検討をしてください。

腰痛に効くツボの紹介

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

前項でも述べたように、原因となる疾患や病態が特に認められない腰痛が、腰痛のうちの約85%を占めているともいわれています。
そこで、ここからは東洋医学の考え方であるツボでの対処法をお伝えしていきます。

カラダじゅうに2000以上もあると言われているツボ。一つのツボで様々な効果もあるとされています。様々な効果のある中に、腰痛に効果のあるツボをご紹介していきます。

内蔵と関係しているツボは腰痛予防の効果もありますので、毎日刺激することで効果の得られるものもあります。
ギックリ腰などの緊急の時にも腰部以外のツボで痛みを和らげる効果のあるツボもありますので参考にしてみてください。

ツボ押しの方法としては、深呼吸をしながら、リラックスした状態で、心地よい程度の力でマッサージするようにしてください。強い力で刺激すれば良いというものではありませんのでご注意を。

手の甲にある腰痛のツボ

外関(がいかん):手の甲側、手首を伸展させたときにできるシワの中央から2寸肘側のところ。耳に繋がる氣の流れを順調にする場所。右手の中指で叩くように、息を吐くときにツボを刺激する。

腰腿点(ようたいてん):手の甲の人差し指と中指、薬指と小指の骨が合わさるところの二点。(中手骨基部の示指と中指、環指と小指の間)。急性の腰痛に効果があり、患部から遠く効果を示す場所。

背中にある腰痛のツボ

腎愈(じんゆ):第二腰椎の突起の左右外側1.5寸のところ。生命エネルギーを調整する腰痛のツボ。内臓の不調にも効果を示す場所。

大腸愈(だいちょうゆ):第四腰椎の突起の左右外側1.5寸のところ。下痢をしやすい人はギックリ腰になりやすいとして、その名の通り大腸の不調(下痢や便秘)にも効果がある場所。

関元愈(かんげんゆ):第五腰椎の突起の左右外側1.5寸のところ。腹側のへその下3寸にある身体の元気が注ぐ大切なツボ「関元」と、相対している場所で腰痛に効果のある場所。

腹部にある腰痛のツボ

天枢(てんすう):へそから左右両側に2寸。東洋医学でいう天地の氣(生命エネルギー)が交差する重要なツボ。消化器系の胃腸症状に効果あり。その他泌尿器、生殖器系、腰痛に効果のある場所。

大巨(だいこ):天枢から真下に2寸。下痢や便秘の改善に効果のあるツボ。内臓からくる腰痛に効果のある場所。

脚にある腰痛のツボ

委中(いちゅう):膝裏の真ん中にあるツボ。腰痛や坐骨神経痛、椎間板ヘルニアの痛みの軽減に効果のある場所。

承山(しょうざん):ふくらはぎの真ん中にありアキレス腱に変わるところ。脚にでるいろいろな症状に即効の効果あり。坐骨神経痛、腰痛、痔、下肢の倦怠感にも効果のある場所。

三陰交(さんいんこう):内くるぶしから上へ指4本分のところ。脾の臓、腎の臓、肝の臓の三つの経絡が交わる大切なツボ。胃腸障害や婦人科系の症状に効果があるため、内蔵からくる腰痛に効果がある場所。

崑崙(こんろん):外くるぶしのすぐ後ろのところ。これは後頭部から背中、腰、足までのカラダの後ろを通る経絡のツボの一つで、腰痛、坐骨神経痛、椎間板ヘルニアに効果のあるツボ。

申脈(しんみゃく):外くるぶしのすぐ下にあり、指で触ると筋があって押すと痛いところ。ギックリ腰のとき膝を曲げ横になって刺激すると効果がある場所。

臨泣(りんきゅう):足の甲、第4趾と第5趾の骨が合わさるところ。「申脈」と同様に、ギックリ腰のとき膝を曲げ横になって刺激すると効果がある場所。

北村 真美監修トレーナーからのアドバイス

元理学療法士。心と体の健康を夫婦でサポートしています。

体を通る目に見えない氣のエネルギーの流れを整えるのがツボの効果になります。毎日1分間でも自分と向き合い、ツボ押しで体調を整えてみてはいかがでしょうか。

【あわせて読みたい】