- HIITが良いのはわかったけど具体的に何をしたらいいのか
- どれくらいカロリーや体脂肪が落ちるのか
こんな疑問を持った方に向けて、HIITの代表的なメニューや消費カロリーを解説しています。
前回の記事ではHIITのメリット・デメリットを解説しました。
この記事を書いているユキと申します。
医療機関で働きつつ、24時間のジムと水泳で日々トレーニングをしています。
普段から理系論文に触れる機会が多いので、HIITについても海外の論文を参考に執筆しています。
この記事ではHIITのトレーニングメニューについてわかりやすく解説します。HIITの消費カロリーってどれくらいなんだろう?具体的なトレーニングメニューって?HIITにはダイエット効果はあるの?このような悩みを実際の事例も含めて、医療機関で働く立場からわかりやすくまとめました。これからHIITをやってみようと思っている方必見です!
なお、前回ご紹介した「HIITとは!?トレーニングの効果から、メリット・デメリットまで初心者向けにわかりやすく解説!!」の」記事ではHIITそのものをより詳しく理解したい方向けの記事です。合わせてご参照ください。
HIITの代表的なトレーニングメニューを解説
HIITの基本的なコンセプトは、短時間に大きな負荷で自分を追い込み、少し休んで、それを繰り返すことです。
この繰り返しを交互に行うのであれば、基本的にどんな運動でもOKです。
全力ダッシュでも、スクワットでも、バーピージャンプでも、何でも構いません。
ただし、当然ながらメインで使う部位によって鍛えられる部位は変わってくるので、HIITだけで全身の筋肉を鍛えたい場合は、バーピージャンプなど全身を使う運動をしたほうがよいでしょう。
ここではHIITの代表的なメニューについて解説していきます。
HIITトレーニングメニュー1:バーピージャンプ
バーピージャンプはHIITの代表的なトレーニングです。
やり方は
- ジャンプする
- しゃがむ
- 足を伸ばす
- しゃがむ
- 1に戻る
この繰り返しです。
しゃがんだ際に腕立てをするとさらに負荷が上がります。
バーピージャンプの消費カロリーは1分間で約5キロカロリーです。
有酸素運動と無酸素運動のどちらも含まれており、全身の筋肉を鍛えられること、また道具もいらず自宅でもできるため最適なHIITといえます。
HIITトレーニングメニュー2:全力ダッシュ
まず、5分間軽くジョギングをしてウォーミングアップをします。
その後、全力ダッシュをします。
目安としては100メートルくらいがよいでしょう。
100m走を終えたら、1分間休みます。
次に、もう1回100m走を行い、1分間休息します。
これを8回繰り返します。
つまり、100m走を8回、1分間の休憩を挟みながら走るのです。
100m走を8回走るのはきついと思う人もいるかもしれませんが、比較的初心者向きで、無理なく始められる人が多いようです。
このトレーニングはもちろん、脚の筋肉に焦点を当てたものです。
体の中で最も脂肪を燃焼させるのは脚の筋肉です。
脚の筋肉は最も大きな筋肉で、第二の心臓と呼ばれているように、血流を良くするという点ではかなり効果的な筋肉です。
基本的にHIITでは、脚を動かすトレーニングを取り入れるとよいでしょう。
そうすることで、より効率的に心肺機能を鍛えることができます。
HIITだけで痩せるのはかなり難しいですが、もちろんダイエットには効果的です。
ただし、ダイエットのためというよりは、体力づくりやアンチエイジングのために利用するのがよいでしょう。
このトレーニングの良いところは、脚の筋肉を中心に鍛えることで、効率よく脂肪燃焼につながることです。
ジムに通っている方であれば、自分の全力に近いスピードでランニングマシンの上を走り、止まって休み、また走り、止まって、を繰り返します。
100メートルの全力ダッシュは1回で約6キロカロリーの消費ができます。
HIITトレーニングメニュー3:その場でもも上げ
100メートルの長さの確保も難しく、ジムにも通っていない方は全力もも上げを30秒、10秒休憩を繰り返しやりましょう。
セットとしては20回くらいが目安です。
実際にやってみるとかなりのキツさを感じると思います。
太もも、ヒップ回りのシェイプアップが期待できます。
腿上げの消費カロリーは1分辺り約6キロカロリーです。
腕の筋肉も同時に鍛えたい場合は、腕立ての姿勢で腿上げをするマウンテンクライマーがおすすめです。
HIITトレーニングメニュー4:ジャンピングスクワット
ジャンピングスクワットであれば、20秒間ジャンピングスクワットを行い、10秒程度少し休んで、それを繰り返す。
この場合も、全力で20秒ジャンプ、10秒休む、全力で20秒ジャンプ、10秒休む、といった運動を行います。
10秒の休息時間には、完全に止まって休むのではなく、軽く走ったり歩いたりするとよいでしょう。
部屋の中をぐるぐる歩き回るだけでよいでしょう。
休憩中は止まるより少し動いた方が回復が早くなります。
ジャンピングスクワットの消費カロリーは、1分間で7〜8キロカロリーです。
有名なHIIT(ノルウェイ式、タバタなど)
HIITには、○○式HIITといって名前がついているものがあります。
有名なものはタバタ式とノルウェイ式です。
タバタ式HIIT
HIITの代表的なものに、タバタ式トレーニングがあります。
この方法は、たった4分間で様々な効果が得られることが証明されています。
田畑泉博士という日本人が研究・開発したもので、あまりの効果の高さから世界中に広まったため、この名前がつきました。
科学的に検証されたトレーニング方法であり、アスリートへの実験でもその効果が確認され、かなり効率的に体力を向上させることができることが分かっています。
体力がない人が運動で体力をつけるのはよくあることですが、アスリートでも効率よく体力をつけることができるのです。
タバタ式トレーニングを週に4回行った場合、通常のトレーニングを5日間行ったのと同じ効果があり、しかも代謝がかなり上がることが分かっています。
1日4分のタバタ式トレーニングを行うことで、ランニングやジョギングなどの一般的な有酸素運動を行うよりも、5倍も代謝が上がることが分かっています。
その時だけでなく、その後も脂肪を燃焼しやすくする効果は続きます。
HIITは一般的な有酸素運動の5倍のスピードで代謝を上げることができるので、少し代謝が落ちてきた中高年の方、ダイエットのために代謝を上げたい方、ホルモンバランスの問題で代謝が落ちてきた女性の方などには、この方法は良いと思います。
代表的なタバタ式トレーニングは、3分間軽く走ってウォーミングアップをします。
その後、20秒間強く走り、10秒間休む。
これを4回繰り返します。
4回繰り返したら、1分休んで4回繰り返します。
これで合計4分間のトレーニングの時間を確保できます。
この全力運動の部分は、ダッシュでもいいし、もも上げでも、ジャンピングスクワットでもよいです。
ジャンピングスクワットの場合、膝から下が落ちないようにフォームにだけは気をつけましょう。
膝を深く曲げ、腰を落とすほど、筋トレの効果が高まります。
タバタ式トレーニングには、代謝アップなどさまざまな効果がありますが、最大のメリットはアンチエイジングです。
週に3〜4回行うことで十分な効果を得ることができます。
タバタ式トレーニングは、週に16分以上行うのが効果的です。
HIITと食事やファスティングを組み合わせると、ダイエット目的の方には特におすすめです。
ノルウェイ式HIIT
ノルウェイ式はタバタ式と基本的には同様ですが、運動と休憩の時間が大きく異なります。
ノルウェイ式HIITでは、4分の高強度運動の後、3分の低強度運動を4回繰り返します。
トータルの所要時間は28分です。
字面を見ただけで、ハードな運動であることは容易に想像がつくと思います。
長時間の激しい運動なので、消費カロリーが多く、筋持久力や心肺機能の向上が期待できます。
そして、ノルウェー式HIITの一番のメリットは「ミトコンドリアのパフォーマンス向上」です。
ミトコンドリアは、「食べ物のカロリーをエネルギーに変える」「老廃物を排出する」という役割を担う、人体全体にある重要な細胞です。
ミトコンドリアのパフォーマンスが向上すればカロリーが体脂肪に蓄積されにくくなり、エネルギーとして使われやすくなります。
体のサビである老廃物の排泄が促進され、細胞の新陳代謝が活発になり、老化を防ぎ、若々しさを維持する(アンチエイジング)効果が期待できます。
SITトレーニングについて
たった1分の全力運動で、45分の有酸素運動と同じ効果が得られるのがSIT(スプリットインターバルトレーニング)です。
実験を行ったのは、10年ほど前からHIITを研究し、日本の田畑泉博士と並ぶ専門家として知られるマクマスター大学のマーティン博士です。
実験に参加したのは25人の若い男性。
彼らは日頃から運動をしておらず、体型も少しぽっちゃりしている人が多かったです。
まず、全員を3つのグループに分けました。
- SITトレーニング 1日10分、週3回のHIITトレーニング
- エアロビックグループ 1日50分、週3回の有酸素運動
- 何もしないグループ
SITトレーニングは、ギバラ博士が推奨するHIIT法で、具体的には次のような内容です。
- 2分間のウォームアップ
- 20秒間の超高速エアロビクス
- 2分間の軽いエアロビクス
- 20秒間の超高速エアロビクス
- 軽いエアロビクス2分
- 超ハードエアロビクス20秒
- クールダウン 3分
合計10分。
本当にハードな部分は1分しかありません。
一方、エアロビックグループが行うのは
- 2分間のウォームアップ
- 最大心拍数の70~80%でエアロバイクを45分間使用
- 3分間のクールダウン
このような具合です。
これはスポーツジムでよく見られる運動です。
たった1分で、45分の有酸素運動と同じ効果が得られるのです。
12週間後、全員の体調をチェックしたところ、両グループとも心肺機能が20%向上していることに驚きました。
- 心肺機能は、両グループとも20%向上しました
- インスリン感受性は同程度向上
- 筋肉機能が同程度向上
つまり、両グループともほぼ同じ健康状態だったのです。
各グループの総トレーニング時間では、以下のような結果でした。
- SITトレーニング 6時間(36分の本当にハードなトレーニングあり)
- エアロビックグループ:27時間
両グループの差は約27時間です。
これは驚異的な時間短縮効果ではないでしょうか?
言うまでもなく、心肺機能は長寿のための重要な要素の一つですから、これを試さない手はないでしょう。
SITトレーニングは、基本的に「自分の力を100%出し切る」という考えに基づいており、難易度はそれほど変わりません。
タバタ式とどちらが良いかは、好みの問題です。
HIITはダイエット効果はある?痩せることはできるのか?
結論からいうとダイエットにも効果的であり、代謝のアップに特化したHIITのメニューもあります。
DUP(daily undulating periodization)トレーニングといって、1週間の間にトレーニングの強度をばらつかせるものです。
HIITトレーニングのDUPトレーニングを紹介します。
これは、週3回のトレーニングで、今までより20%以上体重を減らすことができるHIITのプログラムです。
これは、特に代謝を向上させるために作られたプログラムです。
人間の体は加齢とともに徐々に代謝が低下し、太りやすくなったり、日焼けをしたり、様々なトラブルを引き起こします。
このトレーニング法は、こうした人体の代謝の問題を一挙に改善するために特別に考案されたものです。
フェルダウシ大学で実験が行われ、肥満の女性でその効果が確認されました。
人体の脂肪のうち、老化物質を発生させるのは、腹部周辺の脂肪と内臓脂肪です。
女性の場合、胸やお尻の周りの脂肪はこの物質を発生させないので問題ないのですが、一般的に醜いとされる部分の脂肪は、体内で炎症を促進させる物質を発生させます。
これが人の老化の原因となるのです。
脂肪が体のどこにあるかで、その人の老化のしやすさが決まります。
これをどう改善するか、この実験も肥満の女性30人を対象に行われました。
HIITの効果が出るまでにはどれくらいかかる?
体重や筋肉量、運動を行うスピードは人それぞれ違うので、いつから痩せ始めるかは一概には言えません。
さらに、HIITの場合、バーピージャンプや全力ダッシュなど、人によって選ぶトレーニングが違うので、その差はさらに大きくなります。
しかし、即効性のあるSITトレーニングの場合、最短で2週間から1ヶ月で変化を感じる人が多く、1ヶ月で1kg痩せた人や、3週間で体脂肪率が1%下がった人もいます。
DUPのHIIT
半数の参加者に週3回、12週間にわたりHIITのトレーニングを行ってもらいました。
1週目と2週目には、200mダッシュを8本走ってもらい、200mダッシュの後に1〜2分の休息をとり、さらに200mダッシュを1本、というように繰り返してもらいました。
この運動の強度は最大心拍数の80%から85%程度が望ましいとされています。
この程度であれば、運動後に息切れを感じることはあっても、倒れるほどではありません。
次の週、第3週、第4週は、200mダッシュの回数を1回増やし、9回にします。
強度は同じで、最大心拍数の80%~85%程度です。
5週目、6週目は、200mダッシュの本数を12本にします。
運動に慣れてきたら、ダッシュの本数を増やします。
この場合も、強度は最大心拍数の80%~85%程度です。
走った後に座りたくなるくらいの強度で、倒れない程度が目安です。
第7週と第8週は、第1週と第2週より2本多い14本の200mダッシュで構成されています。
強度は同じで、最大心拍数の80%から85%を目標にします。
9週目と10週目は200mダッシュを15本実施します。
ここでは最大心拍数の90%から95%を目標にします。
これは、走った後に倒れて休みたくなるレベルです。
最後の2週間、11週目と12週目は、200mダッシュを16本行います。
ここでも最大心拍数の90%から95%を目安にします。
体が壊れるくらいの強さで、16本のダッシュをすることです。
かなりきついと思われるかもしれませんが、日頃から運動をしていない人にとっては、心拍数を上げるのは簡単なことなのです。
今回の実験は肥満の女性を対象にしたため、最大心拍数の面でもクリアすることができました。
体が慣れないように負荷を小刻みに変化させる方法をDUPといいます。
今回の調査では、この方法とHIITを組み合わせました。
このDUPという手法を用いた負荷のバリエーションは、筋トレの場合、初心者にとても効果的と言われています。
筋トレの場合、毎回重さを変えることで体が重さに慣れないと効率が悪いと言われています。
DUP法では、この問題を回避することができます。
DUPメソッドは初心者だけでなく、運動に慣れてきて停滞感を感じている方にもお使いいただけます。
このDUP式で12週間HIITトレーニングを続けた場合でも、体型の変化としてBMIが3%減少、体脂肪が7%減少しています。
HIITは毎日やっても大丈夫?
HIITは毎日はおすすめできず、週に2〜4回程度にしておきましょう。
HIITを正しく行うには、短時間で非常にハードな運動をする必要があり、最も簡単な状態でも「最大心拍数の85%程度」が必要とされています。
わかりやすく言うと、10点満点で9点くらいの負荷を目指し、感覚としては「これ以上頑張れない!」という感じです。
このレベルの運動では、体が回復するのに相応の時間が必要で、毎日無理をしていると、あっという間に体と心が壊れてしまいます。
HIIT中、人間の体は信じられないほどのストレスにさらされ、コルチゾール(ストレスホルモン)がどんどん分泌されます。
もちろん、適度な量のコルチゾールは問題なく、免疫力、代謝、体力、心肺機能、持久力を高めるのに役立ちますが、毎日分泌されると、気分障害、疲労、関節痛などの原因となります。
人によっては、怪我の増加や睡眠不足といった症状も引き起こすはずです。
逆に言うと、HIITを毎日無理なくできている人は、HIITをきちんとできていない証拠でもあります。
もし、毎日無理なくHIITができるのであれば、自分のHIITのスタイルを見直してみてはいかがでしょうか。
HIITの適切な頻度には明確な基準がなく、長期的な研究も行われていないため、明確な結論は出せません。
現状では週に2回、合計20〜30分程度のHIITを行えば十分だと思います。
HIITは週に30分程度にとどめ、筋トレや軽い有酸素運動を少し組み合わせた方が無難でしょう。
よほど体力がある人ならもう少し伸ばしてもいいのですが、上級者でもHIITは週に合計60分以内にしておいた方がいいと思います。
HIITが素晴らしいのは間違いなく、器具を使わなくても様々な効果を得ることができます。
ただし、HIITは強度が高いので、適度に筋力トレーニングや低負荷の有酸素運動と組み合わせて行う必要があります。
基本的にHIITは毎日行うのではなく、週2~4回&週合計30分程度を目安に行いましょう。
まとめ
今回はHIITの代表的なメニューと消費カロリーについて解説してきました。
ほとんどが自宅ででき、道具もいらないものばかりです。
全身をバランスよく鍛えたいのであればバーピージャンプを、近くに大きな公園があり100メートルの距離が取れるのであればダッシュでも良いでしょう。
マンションやアパートで下の階に響いてしまう場合は、マウンテンクライマーやヨガマットなどを併用すると良いです。
タバタ式よりも負荷をかけたいのであれば、ノルウェイ式やSITにもチャレンジすると良いと思います。
1週間あたりの時間を守れば怪我の心配も軽減できるでしょう。