側頭筋とは?働きから鍛え方まで

側頭筋(そくとうきん)という筋肉をご存知でしょうか?あまり聞き馴染みのない筋肉ですが、実は重要な役割を果たしており、自分でほぐしたり鍛えることが大切です。そんな側頭筋の役割を解説します。

側頭筋ってどこにあるの?働きと頭のコリの仕組み

さて、突然ですが皆さん、一度耳の上にある側頭部に手を当ててみてください。そして、手を当てたまま口を大きく開けたり噛んだりといった動作を繰り返してみましょう。すると、側頭部の一部がやや盛り上がっているのがわかると思います。

その盛り上がった部分にあるのが「側頭筋」です。名前の通り、側頭部にあるこの筋肉は、下顎をあげて口を閉じる時に使われる、いわゆる咀嚼筋の1つです。

この筋肉は食事以外のスポーツや、寝ている時に歯ぎしりなどをすると酷使されていきます。またそれだけでなく、この筋肉は眼精疲労にも影響を受けやすいとされています。そのため、PCやスマホなどで長時間の作業をする人は、この部分がコリやすいとされているのです。

ちなみに、顔の形の1つに側頭部の上側がやや出っ張っているタイプを「ハチ張り」と呼ぶことがあります。これは大抵は骨格が主な要因なのですが、一方でこの側頭筋がコリによって張ってしまっていることが原因である場合もあります。

この状態を放置すると、頭痛などのトラブルの原因にもなりかねません。そのため、寝る前や起床時などのタイミングでストレッチなどをしてあげることで、このコリを解消することができます。

また、この筋肉が衰えると眉や目元のたるみにもつながってしまうので、顔がやや腫れぼったい印象になってしまうこともあるのです。ほぐすのと同時に、鍛えることも大切です。

側頭筋を上手にほぐす方法①指で側頭部をほぐす

側頭筋をほぐす方法はいくつかありますが、その中でも取り組みやすい3つの方法を紹介します。

まず1つ目は、指で側頭筋をほぐすというものです。指は3本でも4本でも構いません。もしも指が疲れやすいという方は、手の腹を側頭筋に当てて同じようにマッサージをしてあげましょう。

やり方は簡単で、側頭筋に指を押し当ててゆっくりと円を描くように回すだけです。また、この時は時計回り・反時計回りと逆回しもしながら側頭部をほぐしてあげると効果的でしょう。もしも側頭筋の位置がわからないという方は、一度口をぐっと噛み締めて側頭筋の位置を確認しながら行うのがいいでしょう。

ポイントとしては、心地よい強さを目安にして、あまりグイグイと指圧しない点です。強すぎる力でマッサージをすると、かえって筋肉が硬直してしまいます。

側頭筋を上手にほぐす方法②5本指で耳の周りをほぐす

次に紹介するのが、5本全ての指を使って側頭部をほぐすとうものです。側頭筋は耳の上を覆うように広がっています。そこで、5本の指をそれぞれ耳の周りの地肌に触れ、そこから上下に揺らしたり左右に動かしたりしてあげましょう。

ちょうど、シャワーなどで頭を洗う時に近い体勢で行います。そのため、このマッサージは体を洗う時に一緒に行うのもオススメです。最近ではシャワー中に地肌をマッサージするための専用のグッズなども販売しているので、それを合わせて使うのもいいでしょう。

よく美容室でシャワーをしてもらう時にも、同じような姿勢で側頭部のマッサージをしてくれます。美容室で頭を洗ってもらうと気持ちよくなったり眠くなったりするのは、側頭部のマッサージ効果のおかげかもしれませんね。

もしももっと強い力でマッサージをしたいという場合は、両手で握りこぶしを作って行うという方法があります。この時、人差し指と中指だけやや立てておき、2本の指の関節で先ほど説明した耳の周りを1ヶ所ずつほぐしていきましょう。

ただ、先ほども触れたとおりあまり強く揉みすぎると逆効果になってしまうので、力の加減には十分注意してください。

側頭筋を上手にほぐす方法③耳を回してほぐす

最後に紹介するのは、耳を使って側頭筋をほぐす方法です。側頭筋は耳につながっている筋肉でもあるので、この方法でこの筋肉を伸ばしてあげましょう。

まず、耳全体を手で掴みましょう。そこから、時計回り・反時計回りにそれぞれ耳をゆっくり回してください。耳の下あたりには、顔のリンパの出口である「耳下腺リンパ節」というものがあります。耳をほぐしてリンパの流れを良くしてあげることで、顔全体のリンパの流れも改善されることとなるのです。

また、耳は首筋を走っている「胸鎖乳突筋」という筋肉にもつながっています。耳のマッサージはこの筋肉もほぐすことができるので、より顔全体のリンパの流れが良くなります。

側頭筋を鍛える方法①噛む回数を増やす

では、側頭筋を鍛えるにはどのような方法があるでしょうか。日常生活でも行える最も手軽な方法に、「噛む回数を増やす」というものがあります。実に単純な方法ですが、例えば一回あたりの咀嚼の回数を「30回」にしてそれを守るだけでも、十分側頭筋を鍛えることが可能です。

また、咀嚼の回数を増やすことで食べ物がより栄養として吸収されやすい状態になるだけでなく、満腹中枢を刺激していつもより少ない時間でも満腹感を得られるようになります。

咀嚼の回数が少ない人は、食べ物がまだゴロゴロと大きいまま消化器官へ送られるので、消化吸収に時間がかかってしまうのです。それだけでなく、食べるスピードが早いためあまり大きな満腹感が得られず、またすぐ間食に手が伸びてしまうという悪循環にも陥りやすくなります。

咀嚼の回数を増やすことは、側頭筋のトレーニングにもなるし、同時にダイエットにも高い効果を得られるのです。

側頭筋を鍛える方法②1分でできる側頭筋トレーニング

もしも食事以外で側頭筋を鍛えたいという方には、1分でできる側頭筋のトレーニングがオススメです。

まず、顔を少し上向きにします。その状態で、力一杯歯を噛みしめましょう。
5秒間その噛み合わせた状態を維持したら、その後5秒間でゆっくりと口を開けてリラックスします。

この動作を3〜5回繰り返すだけです。最長でも1分ほどで側頭筋のトレーニングができます。最初のうちはすぐ側頭部が張って疲れてしまうかもしれないので、まずは1回だけやるという方法でも問題ありません。少しずつ継続して行えるようになりましょう。

顔を少し上に向けるのは、下顎の動かせる範囲を広げるためです。このトレーニングは特に道具も必要ないのですが、例えばタオルや柔らかいものを口に挟んで行うことで、より噛む力を意識してトレーニングができるようになります。

また、もしも側頭筋の動きをもっと意識したいという場合は、両手を側頭部に当てて行うのもオススメです。

側頭筋のコリ解消+トレーニングでフェイスラインを整えよう

側頭筋の働きやコリのほぐし方、そしてオススメの鍛え方を中心に紹介してきました。側頭筋が生み出す噛む力というのは、スポーツでは競技力を高めるのに重要です。しかし、日常生活でも側頭筋が衰えたりコリが生まれてしまうことで、様々なトラブルや悩みにつながってしまいます。

特に、現代社会では眼精疲労や噛む回数の低下から、側頭筋の力が弱くなりがちです。そこで普段から噛む回数を増やしたり定期的なマッサージをして、この筋肉のケアをしてあげることが重要です。

今回紹介したマッサージ方法やトレーニング方法は、空いた時間や自宅でできる簡単なものばかりです。ぜひ側頭筋を鍛えて、理想のフェイスラインを手にれましょう。

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