うつ病の改善方法としてもっとも注目されているのは運動?

世界的な社会問題となっているうつ病

編集部

うつ病は、世界的にも深刻な問題で、しかもどんどん患者が増えているんですよね。

中嶋 沙理英 監修トレーナーからアドバイス

マンツーマン専門ピラティス教室LB-Cat代表/ NSCA-CPT / PHI Pilates Mat I &II / Lesmills™ BODYJAM™、CX-WORX™ /骨盤力®️認定講師

Thumbnail f70ada75 ed11 4a6a 8185 757a48def8b5

そうなんです。さらにうつ病が原因で自殺する人が後を絶たず、日本は「自殺大国」と呼ばれているんです。

日本のうつ病患者数は1996年には43.3万人、1999年には44.1万人とほぼ横ばいでしたが、2002年には71.1万人、2005年には92.4万人、2008年には104.1万人と、著しく増加しています。

さらに2017年、世界保健機関(WHO)によれば、うつ病に苦しむ人は世界で3億2000万人に達しており、その多くは正しい診断や適切な治療を受けられていないと指摘し、早急な対策の必要性を求められています。

また、日本の自殺者数は2015年の2万5千人。自殺が死亡原因の一位を占め、自殺の主要因が「うつ病」なのです。

多くの国で、うつ病に代表される精神疾患に対する社会の偏見がある上、医療従事者が不足しているなどと、うつ病を取り巻く環境は非常に深刻な状態です。

うつ病の治療方法として運動が注目されている

編集部

そんなに深刻化しているのですね・・・。革新的な治療方法はないのでしょうか?

中嶋 沙理英 監修トレーナーからアドバイス

マンツーマン専門ピラティス教室LB-Cat代表/ NSCA-CPT / PHI Pilates Mat I &II / Lesmills™ BODYJAM™、CX-WORX™ /骨盤力®️認定講師

Thumbnail f70ada75 ed11 4a6a 8185 757a48def8b5

まだまだ研究段階のため、実は「これ!」と言った明確な治療方法がなかなか浸透していないのです。しかし、ここ最近になって大きな動きがあったようですよ。

うつ病の治療方法として、「休養」と「投薬」の二本柱で進められますが、近年真逆のことを勧められるケースが増えています。

というのも、今世界中でメンタルの問題を「運動」で治療しようとする動きが広がりつつあるのです。「休養」が当たり前だったうつ病の治療を根本から覆す研究結果が次々と報告されています。

不安障害、依存症、注意欠陥障害(ADHD)、強迫性障害、統合失調症、最近では双極性障害(躁うつ病)への治療法、効果を示す論文がかず多く報告されていますが、中でもうつ病に関する研究が最も多く、運動が脳に良い影響もたらすことについては確固とした研究に基づく証拠が続々と現れています。

その結果、2010年アメリカ精神医学会(APA)はうつ病の治療に関する新しいガイドラインを発行し、初めて運動の治療効果を認めました。
多くの説得力ある新たな証拠によってAPAでは方針を転換することになったのです。

Qa in article e9284469ffb1b68fca6cda59d711a7487c50bf3006fda5f7d953416cb4efa276

運動するとうつ病は悪化してしまう?

「休養」するか「運動」するか

編集部

うつ病の症状が現れたり、うつ病だと気づいたら、まずは休養することが一般的ですよね。運動するとかえって悪化してしまい、危険なのではないですか?

中嶋 沙理英 監修トレーナーからアドバイス

マンツーマン専門ピラティス教室LB-Cat代表/ NSCA-CPT / PHI Pilates Mat I &II / Lesmills™ BODYJAM™、CX-WORX™ /骨盤力®️認定講師

Thumbnail f70ada75 ed11 4a6a 8185 757a48def8b5

確かに休養は第一優先ですが、「うつ病から抜け出す方法」として、運動がおすすめなのです。

うつ病とは虚しく感じ何もできない気がする希望が持てなくなるというだけのものではありません。
学習、集中力、やる気、エネルギーなどの、脳のたくさんの機能が関わる多様な思考システムや感じ方、気分に影響します。
睡眠や食事性的欲求が遮断され、身の回りのごく基本的なことさえできなくなるため、「危険(強いストレス)に近づかないようにおとなしくしていよう」と言う状態になるのです。

その状態になったら、確かに休養は必要不可欠です。
しかし、いつかはうつ病の状態から抜け出す必要があります。
そこで、抜け出す選択肢の一つとして運動を強くおすすめしたいのです。


今回は報告されている研究論文をもとに、運動がうつ病にどのような影響があるのかご紹介します。
なおこの解説内容は、個人への医学的アドバイスではなく、一般的な情報を提供しています。

もっとも信ぴょう性の高い論文から読み解く、運動とうつ病

ウォーキング?ランニング?それとも薬?運動と投薬治療を比べてみた!

編集部

日本では具合が悪くなったら薬を飲むことは一般的ですよね。

中嶋 沙理英 監修トレーナーからアドバイス

マンツーマン専門ピラティス教室LB-Cat代表/ NSCA-CPT / PHI Pilates Mat I &II / Lesmills™ BODYJAM™、CX-WORX™ /骨盤力®️認定講師

Thumbnail f70ada75 ed11 4a6a 8185 757a48def8b5

その通りです。しかし、運動と薬を効果を比較した研究結果があるんです。

アメリカのデューク大学の心理学者ジェームズ・ブルメンタールはこの分野で最先端の研究を進めている一人です。
彼はうつ病を患っている人を対象に科学的に正しい方法で運動の効果を調べ、その結果が1999年に報告されています。


156人の運動しないうつ病患者を3グループに分けた研究
<第一グループ>
セルトラリン(一般的な抗うつ剤※商品名ゾロフト)を服用
<第二グループ>
週3回30分間、監督下で有酸素運動の70%から85%の強度でウォーキングかジョギングする(10分のウォームアップと5分のクールダウンは含まない)
<第3グループ>
投薬+第二グループと同等の運動プログラムを行う

<結果>
なんと、3グループともうつ病の症状が大幅に緩和したのです。
それぞれのグループの約半分がうつ病の症状が完全に消えました。
13%の人は症状は緩和したものの完全にうつ病の症状がおさまったわけではありませんでした。


しかしこの研究で、運動には投薬治療と同じくらいの効果があることがわかったのです。
この研究は、少なくとも現在の精神医学としては最善を尽くして運動は効果的であると証明されている研究結果です。

その後も追跡調査を行ったところ、4ヶ月後では目立って症状が改善したグループはありませんでした。
さらに6ヶ月後、運動を続けている人は、薬を服用するだけの人々よりいい状態になっていたのです。
つまり長期的に見た場合、運動のほうが薬より効果があることがわかったのです。


運動のみのグループでうつ病が治った人は約70%。
投薬グループでは58%の人が治りました。運動と薬の両方を試したグループでは45%でした。

さらに続けて追跡調査を進めた結果、うつ病の症状がぶり返してしまった結果が出ています。
なんと投薬のみのグループは38%がうつ病の症状をぶり返してしまったのです。これに対し運動グループはたった8%。これはかなりの差ですね。

うつ病が改善できるおすすめの運動量は?

どれくらいの時間、運動すればいいの?

編集部

どれくらい運動すればいいか目安はあるのでしょうか?

中嶋 沙理英 監修トレーナーからアドバイス

マンツーマン専門ピラティス教室LB-Cat代表/ NSCA-CPT / PHI Pilates Mat I &II / Lesmills™ BODYJAM™、CX-WORX™ /骨盤力®️認定講師

Thumbnail f70ada75 ed11 4a6a 8185 757a48def8b5

「必ずこの時間まで!」という明確な基準ははっきりしていませんが、こんな研究結果もあります。

「その時の自分の状態に合わせて、なるべく多くの時間を運動に費やす。」これに尽きますが、目安として頭に入れておきたいのは「毎週50分運動するとうつ病になる確率が50%も低下した」という論文があります。

202人のうつ病患者を対象として、長時間の運動には確かにプラス効果があることを示す論文を2007年に発表しました。

以来、有酸素運動と筋力トレーニングの効果を調べる研究が数多く行われ、どちらもプラスの効果があることが確認されました。

たった一度だけの運動でも効果がある?

編集部

しかし、運動は継続しないと効果はなさそうですよね。続けることが一番大変なのではないでしょうか。

中嶋 沙理英 監修トレーナーからアドバイス

マンツーマン専門ピラティス教室LB-Cat代表/ NSCA-CPT / PHI Pilates Mat I &II / Lesmills™ BODYJAM™、CX-WORX™ /骨盤力®️認定講師

Thumbnail f70ada75 ed11 4a6a 8185 757a48def8b5

そうですよね。しかし、そうとは限らない、ちょっと安心できる研究結果もありますよ。

たった1度運動しただけで気分が高揚することを示した研究があります。
2001年ノーザン・アリゾナ大学の心理学教授シェリル・ハンセンは、健康な人を対象として、わずか10分の運動でも活力と気分がたちまち向上することを示しました。

しかし、一回、短時間の運動で気分が高揚させられるとしていることも大切ですが、日々の気分を根本から変えるには時間がかかるということも肝に銘じておきましょう。

「うつ病をなんとかしたい」おすすめの運動の種目

ランニング?ウォーキング?筋トレ?何をすればいいの?

編集部

うつ病にとって最もおすすめの運動はあるのでしょうか?

中嶋 沙理英 監修トレーナーからアドバイス

マンツーマン専門ピラティス教室LB-Cat代表/ NSCA-CPT / PHI Pilates Mat I &II / Lesmills™ BODYJAM™、CX-WORX™ /骨盤力®️認定講師

Thumbnail f70ada75 ed11 4a6a 8185 757a48def8b5

どんな運動でも「体を動かそう」と思い始めること自体が素晴らしいことなのですが、おすすめの運動がありますよ。

うつ病患者はもともと運動していなかったので、運動を始めるということだけでも大きな勇気が必要です。
おそらく、大半が途中で脱落してしまうでしょう。周りの人が「運動がいいんだから、やりなよ!」と無理に説得して高い要求をすると、ますます内にこもってしまいます。
そんな時は、つらさの先に待ち受けているものを知ることから始めましょう。
以下で紹介するようなうつ病と運動に関する研究は前向きにどんどん進められているので、きっと乗り越えられるはずです。


被験者:うつ病患者80名
・激しい運動をしたグループ 週3回か5回の運動 平均1,400キロカロリーを消費。
結果として、3ヶ月後、うつ病の度合いを示す数値が半減しました。

・ストレッチ運動のみ実行したグループ
・軽めの運動したグループ
一回の運動で消費したカロリーを平均で560キロカロリー
どちらのグループもうつ病の症状を示す数値が3分の1下がりました。


同程度の有酸素運動を30分間続けることをすすめている公衆衛生のガイドラインを基準にするとランニングマシンで30分間、例えば、67.5kgの人が中程度の運動を週に3時間することになります。ランニングマシンで30分間に200kcal消費するとして週6回必要です。

また、人間はもともと社会性のある動物なので、他人と関わり、外へ出て感覚を刺激するような環境で行う運動が効果的です。脳が新しい刺激を伝えるためにどんどん活性化していきます。

ランニングやウォーキングサークルに入ったり、ジムでパーソナルトレーナーを付けて筋力トレなどを始め、公園やジムで知り合った仲間と一緒に運動したり、仲良くなったら食事をすることで前向きな気持ちが湧いてくるでしょう。

慣れてきたところから新しく自転車に乗ったり、山登り、テニス、サッカーなどのスポーツの世界に踏み込むことも素晴らしい経験となるでしょう。

結論は、やはりうつ病の予防改善には運動!

うつ病から抜け出す最初の一歩として運動はおすすめだった!

編集部

うつ病は、まずは休養をとり、医療機関で適切な診断を受け、運動することが世界的にも認められつつあるということがわかりました。

中嶋 沙理英 監修トレーナーからアドバイス

マンツーマン専門ピラティス教室LB-Cat代表/ NSCA-CPT / PHI Pilates Mat I &II / Lesmills™ BODYJAM™、CX-WORX™ /骨盤力®️認定講師

Thumbnail f70ada75 ed11 4a6a 8185 757a48def8b5

うつ病の本当の原因や治療方法は解明されていないことだらけでしたが、運動はその問題に一筋の光を差し込んでくれたんです。

体を動かすと脳幹が刺激され、エネルギーややる気が湧き上がってきます。

脳の前頭前野において、セロトニンドーパミンノルアドレナリンBDNF(脳神経由来栄養因子)といったすべての化学物質の働き正常に戻します。運動すると、血液中では抗うつ剤を飲むのと同じくらいBDNFが増えます。


うつ病を治すには、脳刺激療法や薬物療法などを受けている患者さんも、脳のシステムが復旧したあとは、心のリハビリが必要になります。
その第一歩としては、「とにかく何かをすること」です。外に出て歩いたり、なんでもいいから体を動かすことが望ましいです。

どんな服装で行こう・・どこを歩こう・・・何時にどれだけ歩こう・・・といった細かい計画はいりません。以前は、自分で何かをしようという気にさえならなかっのですから。自分で体が動かせると分かるだけで上出来です。

効果はすぐに現れます。うつ病は脳がしばらくシステムが停止している状態と同じ。だからそのシステムをもう一度復旧させなければならないのです。それには運動がうってつけなのです。

そして、運動は深刻なうつ病から軽いうつ病まで全てに効果があるのです。
毎日の散歩でウォーキングしたり、ランニングマシンを使ったり、近くの大きな公園でジョギングしたり、自転車を漕いだり、ダンスレッスンのスケジュールを決めたりどんどん外に出ましょう。


深刻なうつ病になると、社会のどん底にいるような感覚のため外に出ることなど考えられないかもしれません。しかし機能が停止した脳を、何としてでももう一度起動させなければなりません
体が動き始めたら、脳も動かざるを得なくなります。
脳をこのまま起動させなければ、死に向かっていくだけです。それは自殺者の死亡原因の統計からも読み取れるでしょう。
少しずつ、段階的に進めていき、最もいい方法は最初の一歩を踏み出すこと。最初はゆっくりで大丈夫です。一つずつ積み重ねていきましょう。

Qa in article e9284469ffb1b68fca6cda59d711a7487c50bf3006fda5f7d953416cb4efa276
Thumbnail a4886c65 7a3a 450a 8622 8fb1df581f2d

この記事をお届けした
OLIVAの最新情報を
してチェックしよう!