肉離れとは?症状から予防・治療方法まで紹介

監修者

松井 薫

■ 国士舘大学 体育学部 体育学科卒 体育学士 ■ 日本医学柔整鍼灸専門学校卒 柔道整復専門士 ■ NESTA-PFT および NESTA-PFT検定官 ■ 柔道整復師(医療系国家資格) ■ 国際資格NESTA日本支部 設立参画理事。 ■ 国士舘大学 理工学研究所 特別研究員

肉離れはスポーツ選手のニュースで耳にする言葉ですがスポーツに限ったことではありません。日常生活でも起こる怪我なのです。肉離れを起こしてしまうと全治に1年かかる場合もあります。そうならないためにも肉離れのメカニズムから予防法まで解説します。

肉離れとは?どんな症状?

肉離れとは筋肉そのものが部分断裂や完全断裂してしまったことを総称して言います。筋肉がちぎれていますので場所によっては歩行困難になるほどです。

軽度から中度、重度と3段階あり、軽度であっても全治に1~2週間かかってしまい痛みで歩くのが嫌に感じるでしょう。肉離れは筋肉が力を発揮する収縮した時に筋肉、または筋膜と呼ばれる筋肉を覆っている膜が損傷もしくは完全に断裂してしまうことにより痛みを伴います。

原因は様々で筋肉が疲労していたり、柔軟性が落ちているときやウォーミングアップの不足、筋力のバランスが悪く弱い方の筋肉が強い筋肉に付いていけず怪我をしてしまう場合、もともとの柔軟性の低さなどが考えられるでしょう。

疲労の蓄積が原因でもあれば、プロスポーツの試合中など突発的に起こる怪我なのでいつ起こるかわからないという怖さがあります。肉離れの主な原因をより詳しく解説します。

肉離れの主な原因とは。ふくらはぎや太ももに起こりやすい?

肉離れが起こる原因は多くありますが、普段からある程度の運動をしている人には起こりづらいと考えられています。

なぜなら筋肉が過度に疲労が溜まっている状態(柔軟性の低下)または普段運動しない人がウォーミングアップもなしにいきなり激しい運動を行った場合(柔軟性が低い状態からいきなり動こうとする)などに起こることが多いためです。

スポーツの場面では筋肉が強い力で収縮したときに起こる場合が多く、短距離のダッシュ、バレーボールのジャンプ着地時などの「非常に強い力を発揮した時」にその衝撃に耐えきれず損傷、断裂してしまうのです。

肉離れは大腿四頭筋(太もも前)・ハムストリングス(太もも裏)・腓腹筋(ふくらはぎ)に多いです。

松井 薫監修トレーナーからのアドバイス

■ 国士舘大学 体育学部 体育学科卒 体育学士 ■ 日本医学柔整鍼灸専門学校卒 柔道整復専門士 ■ NESTA-PFT および NESTA-PFT検定官 ■ 柔道整復師(医療系国家資格) ■ 国際資格NESTA日本支部 設立参画理事。 ■ 国士舘大学 理工学研究所 特別研究員

肉離れを起こすのは下半身であることが多く、理由は上半身より、下半身の方が強い力を発揮できるためです。

筋肉はもともと壊れにくいようにできていますが、何かの拍子に耐えきれないレベルの衝撃が入ると肉離れを起こしてしまうようです。日常生活レベルでは起こりづらいと考えられていますが、多い荷物を持って階段を降った時や高いとこのものを取ろうと強めにつま先立ちしたときなど油断した時にも起こる場合があります。

肉離れの予防方法の解説

肉離れにならないための予防をしっかりとすることが重要です。しっかりウォーミングアップやマッサージを行い、日常的な動作の中で筋肉を使う場面を増やしたり、筋肉をほぐしておいたりすることが重要です。 詳しく解説します。

肉離れを予防するには筋肉の柔軟性を高めておくことが必要です。筋肉の柔軟性とはよく縮み、よく伸びることです。柔軟性の低い筋肉は縮めても伸びにくいです。筋肉は力を発揮するために縮みますが、縮んだあとは必ず元に戻るために伸びようとします。

この時に肉離れが起こると考えられているため、運動をする前にウォーミングアップを行い、筋肉を温め伸び縮みする筋肉を作っておきましょう。

激しいスポーツをする人の場合には、動きに必要とされる筋力を身につけられるように専門性のあるトレーニングをしましょう。 スポーツの前後には入念なストレッチを行い、激しいスポーツを行う際には、筋骨の解剖生理に詳しい柔道整復師(医療系国家資格)や専門のトレーナーなどの指導を受けるものいいでしょう。

肉離れになってしまったら|症状と対処法

いくら予防をしても肉離れになる可能性はあります。しかし、応急処置、治療をすれば問題ありません。軽度の肉離れであっても軽視せずにしっかりと治しましょう。

肉離れ軽度では症状は非常に軽い

部分的にわずかに断裂が生じているケースです。痛みはありますが自力の歩行が可能の状況がこの軽度(第1段階)にあたります。歩行が可能であっても運動は中止しましょう。全治は1~2週間であることが多いです。

肉離れの中度では自力歩行が困難になる

肉離れの軽度では痛みはあるがなんとか自分で歩けるレベルですが中度(第2段階)では自力での歩行が困難になる場合がほとんどです。筋肉の一部断裂、筋膜の損傷、内出血が発症している場合が多く目に見える症状として内出血が確認できるのが特徴です。発症に激しい痛みを伴い、全治には1~2ヶ月程度かかるとされています。

肉離れ重度は自力で歩くのは不可能

第3段階である肉離れ重度になってしまった場合、自力歩行は不可能とされており、筋肉が部分または完全断裂、また筋膜の損傷が激しく目視で皮膚の陥没が確認でき、発症した時にプチッと聞こえる場合もあり激しい痛みがあります。全治に3ヶ月以上かかり、ひどい場合はリハビリも必要になります。

サポーターやテーピングを使う

肉離れになってしまった場合の応急処置は次に紹介するRICE処置になりますが、その後はサポーターやテーピングを使いましょう。
サポーターやテーピングで肉離れをした部位を固定することにより、筋繊維に不必要な刺激を与えることを防ぐことができます。

基本的には軽度、中度、重度に限らず病院に行くまでの応急処置はRICE処置が基本になります。RICE処置を行い重症化を防ぎ、病院にいき診断を受け適切な治療をしてもらいましょう。RICE処置も紹介します。

肉離れの応急処置はRICE処置

肉離れを起こした場合の応急処置としてRICE処置を紹介します。
RICE処置とはそれぞれの頭文字を取っています。

R:Rest=安静
I:Icing=アイシング
C:Compression=圧迫・固定
E:Elevation=挙上

の4つです。一つずつ解説します。

Rest(安静にする)

痛めた部位はすぐに修復作業が始まります。しかし、安静にせずに運動を続けることでその作業の開始が遅れてしまいます。その遅れが結果的に完治を遅らせる原因になり治癒にかける時間を長引かせてしまいますので、受傷後は安静にすることが大切です。

Ice(患部を冷やす)

冷やすことで痛みを減少させることができ、また血管を収縮されることによって腫れや炎症を抑えることができます。冷やす場合は20分以内にしましょう。冷やしすぎると神経などを傷つける恐れがあるためです。湿布などでも良いのでしっかり冷やしましょう。

Compression(圧迫)

適度に圧迫をすることで腫れや出血を抑えることができます。

Elevation(挙上)

患部を心臓より高い位置に挙上をすることで重力を利用し腫れや出血を抑えるすることができます。

RICE処置あくまでも応急処置です。必ず病院にいき、適切な処置を受けましょう。また、RICE処置は肉離れだけではなく、様々な怪我に対応できる手段なので知っておくと便利です。

RICE処置を行い病院で処置をしたあとは通常3日ほどで痛みは消えるはずです。痛みが引いてきたら温熱療法に切り替えても良いでしょう。アイシングや圧迫は、内出血や炎症を抑える反面、筋肉を硬くしてしまい血流不良を起こすため、RICE処置をし続けると完治が遅れたり、柔軟性を低下させ、肉離れを再発しやすくなります。

温熱療法は、温熱シートやお風呂などで温める治療法です。温めて血流を良くすることで、自然治癒力を高めて治癒させます。また温めることで柔軟性の低下を防ぎ再発防止にも繋がります。

マッサージをするときは、温かいタオルで患部を温めてから行ってください。筋肉が冷えて硬い状態でマッサージをすると、衝撃をあたえ過ぎてしまい悪化しやすくなります。 肉離れによる痛みがある場合は、すぐに中止してください。

肉離れの重度の場合は手術が必要な場合もあります。しかし、完全断裂した時以外にあまり行いません。通常は温熱療法で時間をかけて治癒させていきましょう。

肉離れは再発しやすい?

様々な意見がありますが、完全に治っていれば肉離れは再発しにくいと考えられています。筋肉は傷つけば以前より強固になると考えられてるためです。

もう一つの要員として、筋肉の伸び縮みを感知する機関が肉離れを起こした伸び縮み対応し以前よりも筋肉をより伸びやすくすると言われています。しかしよく伸びる分、縮みにくくなり力発揮のレベルは下がると言われています。治りきらないうちに運動を再開すると小さい亀裂が残ったままとなり、同じ部分が再発する可能性があるため注意してください。

肉離れを起こした場合はしっかり休み完治させてから、トレーニングを通じて、再発防止を目指しましょう。

松井 薫監修トレーナーからのアドバイス

■ 国士舘大学 体育学部 体育学科卒 体育学士 ■ 日本医学柔整鍼灸専門学校卒 柔道整復専門士 ■ NESTA-PFT および NESTA-PFT検定官 ■ 柔道整復師(医療系国家資格) ■ 国際資格NESTA日本支部 設立参画理事。 ■ 国士舘大学 理工学研究所 特別研究員

肉離れからの復帰は、医療系の国家資格(柔道整復師など)を持ったトレーナーにトレーニングをみてもらいましょう!

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