【トレーナー監修】筋トレの負荷や回数について|目的別に解説!

監修者

中島 健

NSCA-CPT(NSCA認定パーソナルトレーナー)

長く筋トレを行っている方でも、間違った負荷や回数を設定している方は多いです。筋トレの適切な負荷や回数の設定、筋肥大から細マッチョやダイエットのための筋トレの方法について解説します。

筋トレの負荷と回数は「どんなカラダになりたいか」で変わる

筋トレの負荷と回数を設定するための基準はありますが、トレーニングする目的によって負荷と回数の決め方も変わるのはご存知でしょうか?

まず負荷や回数を決めるために、筋肉の種類が重要になるので、筋肉の種類を解説します。

筋肉の種類

速筋線維と遅筋線維
筋肉は大きく分けて以下の2種類あります。

・速筋繊維
筋繊維の収縮速度が速く、瞬間的に収縮することで瞬発力を生みだす。瞬発力がある分、持久性はない。
・遅筋繊維
筋繊維の収縮速度が遅いため、主に持続的な動作に使われる。
この2種類のうちどちらをメインで鍛えるのか、それによって身体つきが変わります。

筋トレの負荷を設定する時は、「負荷が軽ければ遅筋が働き、高負荷になると速筋が働く」という特性の「サイズの原理」があります。この原理から、遅筋を鍛えるには軽い負荷、速筋を鍛えるのは高負荷にすることが分かります。

負荷の基準

低負荷と高負荷の基準はどのようなものでしょうか?その基準は「その筋トレメニューを何回こなせるか」で決まります。

・低負荷の基準:20~30RM
・高負荷の基準:8~12RM

※RMとは「反復可能最大重量」のことで、1RMは 「1回持ち上げるギリギリの重量」です。

筋トレの回数の設定は、上記の回数のままで大丈夫です。しかし、筋トレはセットで行うことが大切で、3セット以上は行いましょう。
つまり遅筋繊維を鍛えるには軽い負荷を20回~30回×3セット、速筋繊維は高負荷を8~12回×3セット行うことになります。

低負荷・高負荷の違いは筋肥大が目的か、身体の引き締めが目的かの違いになります。次章から詳しく解説します。

【筋肥大編】高負荷・低回数で行う

筋肥大のための筋トレの負荷・回数
がっしり体型や細マッチョを目指す方は、「高負荷・低回数」の筋トレを行いましょう。この体型を目指すのであれば、速筋繊維を鍛える必要があるからです。

ボディビルダーやアスリートの方は、速筋繊維を鍛えているので身体の目立つ箇所が盛り上がるような体型になります。

筋肥大のための筋トレの設定基準

具体的な数値は、以下の通りになります。

負荷・回数:8〜12RM
セット数:3セット以上
頻度:週3〜4日
セット間インターバル:60秒
セット数は、基本は3セットですがもし余裕があれば4セット行なうか、負荷が軽いということになるので重量を上げるようにしましょう。

高負荷で行うときの注意点

高負荷・低回数の筋トレは効果が目に見えやすいといったメリットがあります。また、少ない回数で済むので筋肥大するまでのスピードも早く、効率が良い筋トレの方法です。

しかし、高負荷・低回数の筋トレを行う際に注意しなければいけないこともあります。それは、関節や靭帯を痛めるリスクがあるということです。

筋肉に高負荷をかけるということは、筋肉が付着している骨や周囲の関節、靭帯にも影響があります。筋トレを効率的に行おうとして負荷を上げすぎると、関節を痛めてしまい筋トレがしばらくできなくなる可能性もあるのです。

高負荷・低回数で効率的に筋肉を肥大させていきたいのであれば、トレーニングジムのトレーナーやその他の専門家に相談しながら行いましょう。「どうしても自宅で筋トレをしたい」という方は、負荷量を上げすぎないよう慎重に進めてください。

【シェイプアップ編】低負荷・高回数で行う

シェイプアップのための筋トレの負荷・回数
筋トレ初心者やシェイプアップ・ダイエットとして筋トレを取り入れたい方は遅筋線維を鍛えるようにしましょう。遅筋線維を鍛える時は、軽い負荷で行います。

シェイプアップのための設定基準

具体的な数値は、以下の通りになります。

負荷・回数:20〜30RM
セット数:3〜5セット
頻度:週2〜3日
インターバル:30秒
ダイエットなどを目的とする方は軽い負荷で高回数行う筋トレをしましょう。「軽い負荷を20回~30回×3セット」といった内容を行います。

低負荷で行うときの注意点

ダイエットに高負荷ではいけないのか?と疑問に思う方もいるかと思いますが、軽い負荷の筋トレには高負荷の筋トレで得にくい効果もあります。

軽い負荷では遅筋繊維を鍛えることができます。この遅筋繊維ですが、実は姿勢保持のための筋肉としての働きを持っています。

例えば、ヒトの身体を木に例えて考えてみましょう。体幹を木の幹、腕を枝とします。木の幹が細くて弱いと、枝に重い物をぶら下げた瞬間に重さに耐えきれず全体がしなってしまうことでしょう。いくら枝が太くて頑丈でも木の幹が弱ければ、ぶら下げた重い物はずり落ちてしまいます。

このような状態にならないために、まずは遅筋を鍛えて筋肉のベースを作ることが重要なのです。軽い負荷の筋トレで鍛えられる遅筋繊維は、確かに目で筋肥大を確認しずらくモチベーションも上がりにくいかもしれません。しかし、遅筋繊維は姿勢を保持し、身体全体の筋力のベースとなるものです。

筋トレの重量を上げるタイミングはいつ?

筋トレの重量
当然ながら、筋トレを続けていると筋肉は鍛えられて肥大し、筋力も上がります。筋トレの負荷や回数を変えずにずっと継続してもそれ以上は筋肥大しません。筋肉を肥大させて理想のカラダに近づいていくには、重量設定を変えていく必要があります。

それでは、重量を上げるタイミングはいつなのでしょうか。

それは、「設定した負荷と回数を余裕を持ってこなせるようになった時」です。

例えば、ウェイトトレーニングで「30kgを10回×3セット」のメニューを組み、10RMの3セットが限界だったとします。

筋トレを繰り返すうちに、筋肉が肥大し筋力がつくことでこのメニューを余裕をもって息も切らすことなくこなせる日がきます。このタイミングで重量を上げるようにしましょう。重量の上げ幅は場合によりますが、2.5kg~5kg程度ずつ増やしていきましょう。

ただし、筋力は思いの外体調に左右されるものです。今までなんとか持ち上げられていた重量でも、体調が優れない日は全く持ち上がらないということも往々にしてあります。

そこで、2日分の平均をみて重量アップするという方法があります。ある日余裕を持って30kgを10回×3セットでき、その次の筋トレの日も同セットを余力を残して終えられたら重量アップをする。この方法であれば、体調に左右されず筋力を上げていくことが可能となるでしょう。

筋トレの負荷や回数についてのまとめ

筋トレにおける負荷や回数は目的によって変わります。重要なことを以下にまとめました。

●遅筋繊維と速筋繊維、それぞれの特性
●筋肥大の場合、高負荷を8~12回×3セット
●シェイプアップの場合、軽い負荷を20回~30回×3セット
●筋トレ初心者は軽い負荷から始める

理想のカラダになるために、適切な負荷や回数を設定し、効率の良い筋トレを行いましょう。

中島 健監修トレーナーからのアドバイス

NSCA-CPT(NSCA認定パーソナルトレーナー)

まずは、筋繊維の特性など原理原則を理解したうえで試行錯誤しながら、また適宜プロのアドバイスを受けながらトレーニングを行うことをお勧めします。

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