上腕二頭筋の鍛え方とは?プロのトレーナーがどこよりも正しい情報を伝授!

監修者

小川 雄翔

日本トレーニング指導者協会の資格(JATI-ATI)保持者。パーソナルトレーナーとして科学的根拠に基づいた指導が得意。

【プロトレーナー解説】上腕に力を入れた時に浮かび上がる見事な力こぶは、男性にとってはまさに強さのシンボルなのではないでしょうか?そしてその力こぶを作るためには「上腕二頭筋」を鍛えることが必要不可欠です。そこで、たくましい上腕を作るための上腕二頭筋の基礎知識と、主な鍛え方を皆さんにご紹介します。

上腕二頭筋の仕組みと役割

たくましい力こぶに憧れるんですが、どんな筋トレをすればいいんでしょうか?

小川 雄翔監修トレーナーからのアドバイス

日本トレーニング指導者協会の資格(JATI-ATI)保持者。パーソナルトレーナーとして科学的根拠に基づいた指導が得意。

上腕二頭筋のことですね。上腕二頭筋の鍛え方は様々です。腕立て伏せのような自宅でできる筋トレでも鍛えることはできますが、まずは上腕二頭筋の筋肉の付き方について見ていきましょう!

上腕二頭筋とは、上腕の力こぶに当たる場所にある筋肉です。この上腕二頭筋ですが「二頭」とありますよね。
実はこの筋肉、一見1つの筋肉に見えるのですが「短頭」「長頭」という2つの筋肉によって構成されている筋肉なのです。
ではこの短頭と長頭はどのような位置関係にあるのでしょうか。それを知るために、一度その場で立ってみてください。普通に立つと上腕は上腕二頭筋が前を向いている状態だと思うのですが、そのとき「体の内側にあるのが短頭」で、「体の外側にあるのが長頭」です。

上腕二頭筋は、主に以下の2つの役割があります。

・肘を屈曲させる
・手のひらを上に向ける

そしてこの2つの動作のうち、肘を屈折させる動作には長頭が、手のひらを上に向ける動作には短頭がそれぞれ強く関係しているとされています。この2つの動作で関わる筋肉によって、上腕二頭筋の見え方が大きく変わります。

小川 雄翔監修トレーナーからのアドバイス

日本トレーニング指導者協会の資格(JATI-ATI)保持者。パーソナルトレーナーとして科学的根拠に基づいた指導が得意。

では次からはその短頭・長頭の見え方の違いを見ていきながら、それぞれの鍛え方のコツを見ていきましょう。

上腕二頭筋を大きくするための「短頭」「長頭」の鍛え方

世界的に有名なスーパースターでボディビルダーとしても輝かしい実績を誇るアーノルド・シュワルツェネッガーさんなどのトップ選手のように、非常に発達した筋肉をしているとともに体脂肪も極限まで落としている彼らの画像などを見ると、筋肉の筋が非常にくっきりと見えます。そんな彼らの上腕を見ると、上腕二頭筋の短頭・長頭の境目もくっきりと見えます。

それを見るとよくわかるのですが、上腕二頭筋の短頭と長頭は、それぞれを鍛えることで以下の2つの効果をもたらしてくれます。

短頭は力こぶの「厚み」を作ってくれる
長頭は力こぶの「高さ」を作ってくれる

そしてこの2つの筋肉は、先述の通り筋肉として役割が少し異なります。手のひらを上に返す動きでよく働く短頭と、物を持ち上げたり引いたりする時に肘を曲げる動作でよく働く長頭。この2つの違いを頭に入れておくと、それぞれの鍛え方の微妙な違いがわかってきます。

そしてざっと簡単に説明すると、短頭・長頭それぞれの鍛え方にはこのような違いがあるのです。

短頭:手のひらを返す動作や手のひらを上にした状態で肘の屈曲運動を行う
長頭:手のひらの動作は起こさず、拳を縦にした状態で肘の屈曲運動を行う

実際にどんな筋トレがあるのか、具体的な種目を紹介します。

自宅でもできる上腕二頭筋の鍛え方5つ

①ダンベルカール

上腕二頭筋を鍛える基本のトレーニングといえば、何と言ってもアームカールです。アームカールは様々な筋トレ器具でできますが、その中で特にオススメしたいのはダンベルを使った「ダンベルカール」です。ダンベルカールは場所やスペースを取らずに自宅でもできるし、ダンベルがなければ水をいれたペットボトルなどでも応用が可能といったメリットがあるからです。

ダンベルカールのスタートポジションは立った状態です。この状態で両手にそれぞれダンベルを持ちますが、その時手のひらが前に向くように持ちましょう。そして両手でダンベルの上下運動を行うのですが、その時には以下のようなポイントに気をつけます。

・上腕二頭筋への負荷が逃げないように、肘は体につけて固定する
(この時、肘は体の真横ではなくやや前で固定すると可動域を広く取ることができます)
・短頭に最後まで刺激を加えるために、ダンベルを上げた時、手のひらをやや外側にひねる
・上腕二頭筋への刺激を逃がさないように、ダンベルを下ろした時、肘が完全に伸びる少し手前で止める

なお、ダンベルを下ろす時は負荷を保つのとケガを防止するために、ゆっくりとした動作を心がけるようにしましょう。

②オルタネイト・ダンベルカール

上腕二頭筋の鍛え方は、基本的にダンベルカールをメインとした動きで様々なバリエーションを行います。この「オルタネイト・ダンベルカール」は、そのバリエーションの中でもわかりやすい種類の1つです。「オルタネイト」というのは左右交互という意味があり、この種目はその名前の通りダンベルを左右交互に持ち上げる動きを繰り返します。

まずは立った状態でダンベルを両手に持ちます。この時、肘を固定することや手のひらの向きなどはダンベルカールと同じです。そして、右手と左手で交互にダンベルを持ち上げる動作を繰り返すようにします。

通常のダンベルカールと違い、オルタネイト・ダンベルカールでは片方の筋肉に意識を集中することができるので、より重い重量を扱えるという人もいます。また、あえて反動を使いながら高重量・高強度のトレーニングをする場合にも、オルタネイト・ダンベルカールはオススメの種目です。

小川 雄翔監修トレーナーからのアドバイス

日本トレーニング指導者協会の資格(JATI-ATI)保持者。パーソナルトレーナーとして科学的根拠に基づいた指導が得意。

反動を使う場合でも、肘が伸びるギリギリまでダンベルをしっかり下ろすなど上腕二頭筋の可動域はなるべく広く取るようにしましょう。

③リバースダンベルカール

上腕二頭筋のトレーニング時は、この筋肉だけでなく腕橈骨筋を始めとした前腕筋群も合わせてトレーニングしていきたいところです。ですがあまりに種目が増えるとメニューを行うのも大変です。そこでオススメな鍛え方が、その両方を鍛えられる種目を取り入れることです。

そこで取り入れたい種目が「リバースダンベルカール」です。スタートポジションは他の種目と同じく立った状態で、足は肩幅に開きます。この状態で肘を固定してダンベルを両手で持つのですが、この時「手の甲」が体の前を向くようにするのが、リバースダンベルカールの大きな特徴です。

あとはこの状態で、両手でダンベルを持ち上げます。ダンベルの持ち手以外は通常のダンベルカールと同じなので、「可動域を広く取る」「ゆっくりとした動作を心がける」という2点を守りながらトレーニングをしましょう。

手のひらが下を向くので、稀にですがダンベルを落としてしまう人がいます。足元に落ちると大ケガに繋がるので、グリップをしっかり握ることを意識するようにしましょう。

④オルタネイト・ハンマーカール

ダンベルカールやオルタネイト・ダンベルカールは手のひらが上に向いているため、上腕二頭筋の短頭への刺激が自然と強くなっています。しかし上腕二頭筋全体をしっかりと鍛え上げていきたいのであれば、長頭にも負荷を与えたいところです。そこでオススメなトレーニングが「オルタネイト・ハンマーカール」です。

オルタネイト・ハンマーカールは先ほど話した上腕二頭筋の長頭に加え、肘の屈折に大きな役割を果たす「上腕筋」や前腕筋群にも刺激を与えることができます。スタートポジションは他のダンベルカールと同様に立った状態です。そして両手でダンベルを持つのですが、ハンマーカールでは「拳を縦にして」ダンベルを握るのが最大の特徴と言えます。

そして、通常のダンベルカールと同じようにダンベルを左右交互に持ち上げましょう。今回はオルタネイトの種目を紹介していますが、時間を短縮して行いたいという方は両手同時にダンベルの上下運動を行うハンマーカールを行いましょう。

⑤コンセントレーションカール

立って行うダンベルカールでは、なるべく肘を固定して上腕二頭筋を意識した動きを行うわけですが、より上腕二頭筋だけに集中させたトレーニングをしたい人にオススメなのが「コンセントレーションカール」です。このトレーニングでは立ったままではなくベンチや椅子・ベッドなどに座って行うのが特徴です。

ベンチに座った状態で、片手でダンベルを持ちます。そして持った方の腕の肘・二の腕を、太ももの内側につけて固定しましょう。そしてこの状態で、ダンベルを持ち上げてアームカールを行います。

ちなみに「コンセントレーション」には集中などの意味があり、まさに集中的に上腕二頭筋を鍛えることができる種目です。他の筋肉への刺激はほぼないので、数ある種目の最後の追い込みとして行いましょう。

小川 雄翔監修トレーナーからのアドバイス

日本トレーニング指導者協会の資格(JATI-ATI)保持者。パーソナルトレーナーとして科学的根拠に基づいた指導が得意。

自宅でもオフィスでも水の入ったペットボトルで行ってもいいでしょう。

上腕二頭筋以外の腕の筋肉① 上腕筋と上腕三頭筋

上腕二頭筋を鍛える前に、腕にある他の主要な筋肉も知っておきましょう。まず、上腕二頭筋と同じく「上腕部」にある2つの筋肉を紹介します。

上腕筋

上腕筋は上腕二頭筋よりも体の内側にある筋肉です。いわば上腕にあるインナーマッスルのような筋肉です。

この筋肉は上腕二頭筋の長頭と同じように肘を曲げる役割を持つ筋肉なのですが、実は上腕二頭筋よりも重要度の高い筋肉でもあるのです。基本的に上腕二頭筋と同じ筋トレで鍛えることができるのですが、上腕筋という存在があることを知っておくと良いでしょう。

上腕三頭筋

上腕三頭筋は上腕二頭筋の裏側、二の腕にあたる場所にある筋肉で、ものを押したり肘を伸ばしたりする動きに関連しています。

上腕三頭筋は上腕二頭筋よりも厚みがあるので、上腕部をたくましくしたい時には並行して鍛えていきたい筋肉です。上腕三頭筋は単独の筋トレもありますが、プッシュアップなど胸のトレーニングでも同時に刺激することができるのも大きな特徴です。

上腕二頭筋以外の腕の筋肉② 前腕筋群

次に紹介するのは、上腕ではなく「前腕部」にある筋肉です。この部分にある筋肉は「前腕筋群」という総称で呼ぶことがありますが、実際には以下のような筋肉で構成されています。

・腕橈骨筋
・円回内筋
・回外筋
・橈側手根屈筋
・長掌筋
・尺側手根屈筋
・尺側手根伸筋
・長橈側手根伸筋
・短橈側手根伸筋
・浅指屈筋

前腕部は前腕、手首、そして指など非常に細かい動きが必要となるため、他の場所と比べても小さな筋肉が非常に多く存在するのが大きな特徴です。

前腕を鍛えることで、間接的に握力が強化できる他にも、スポーツ時のパフォーマンスを高めることができます。
また、前腕はTシャツを着ている時やYシャツをまくった時など、意外と露出することの多い場所です。そのためここを鍛えることで、見た目の印象も大きく変わってくるでしょう。

そんな前腕部はダンベルを使った「リストカール」「リバースリストカール」と言った種目で鍛えることができます。それ以外でもこの後紹介する上腕二頭筋のトレーニングで鍛えることが可能です。

『リストカール』の詳細は以下の記事をご覧ください。
『リバース・リストカール』の詳細は以下の記事をご覧ください。

上腕二頭筋は「単独」で行うか筋トレの後半で実施する

上腕・前腕にある様々な筋肉を紹介しましたが、上腕二頭筋も含めこれらの筋肉を鍛える時には、ちょっとした鍛え方のコツがあります。それは「上腕二頭筋を鍛える時には単独で行うか、筋トレの後半の方で行う」という点です。

筋トレでは胸や背中、肩など様々な部位を鍛えると思います。その時に自重で行う人もいれば、バーベルやダンベル、あるいはウェイトマシンなどを使用する人もいるでしょう。
そうした各種トレーニングで、少なからず腕の筋肉にも負荷がかかっているのです。ちなみにスクワットなど下半身の種目でもバーベルやダンベルを使う場合は、やはり腕の筋肉に負担がかかります。

そのため、上腕二頭筋など腕の筋肉を先にトレーニングしてしまうと、握力や腕力が低下して他の筋トレをする時の妨げとなってしまう場合があります。その結果、他の部位をしっかりとワークアウトできないというデメリットが生まれてしまうのです。

小川 雄翔監修トレーナーからのアドバイス

日本トレーニング指導者協会の資格(JATI-ATI)保持者。パーソナルトレーナーとして科学的根拠に基づいた指導が得意。

腕の筋トレを行う際はトレーニングメニューのラストで行うか、あるいは腕だけを鍛える日を設けてトレーニングをすると良いでしょう。

たくましい上腕二頭筋を作るための鍛え方まとめ

上腕二頭筋や他の上腕・前腕の筋肉の基礎知識と鍛え方を紹介しましたが、最後に上腕二頭筋を鍛えるためのコツをまとめました。

・上腕二頭筋は主に「短頭」「長頭」の2つで構成されている
・短頭は手のひらを返す動作、長頭は肘の屈折でより強く働くという特徴がある
・短頭を鍛える時は通常のダンベルカールのように、手のひらを返してトレーニングを行う
・長頭を鍛える時はハンマーカールのように、拳を立ててトレーニングをする
・上腕や前腕部を鍛える時は筋トレのラストにするか、単独で鍛える日を設ける

ぜひこれらのコツを参考にしつつ、見た目にもパワフルなたくましい腕を作ってください。

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