【プロトレーナー解説】腹筋は毎日おこなうべき?正しい頻度を知ろう

監修者

田口純平

ベストボディ・ジャパン2015男子総合グランプリ

よく「毎日腹筋を100回やってる」という風に、日々の習慣として腹筋を取り入れている人がいます。しかし本当に、腹筋は毎日やらないと鍛えることができないのでしょうか?毎日やるべきなのか、それとも適切な頻度があるのか、そんな腹筋にまつわる基礎知識を解説します。

腹筋は毎日行うべきなのか?「超回復」を知る

腹筋を割りたいんですが毎日やってもいいですか?

田口純平監修トレーナーからのアドバイス

ベストボディ・ジャパン2015男子総合グランプリ

シックスパックはかっこいいですよね!毎日やっていいかどうかを理解するために、まずは「超回復」という概念について知りましょう。

毎日腹筋を行うのはいいのかどうかという話をする前に、筋トレや部活動の経験がある人はほとんどが聞いたことがある「超回復」という理論について解説していきましょう。

筋トレや激しいトレーニングを行うと、筋繊維が壊れてそれが修復されていきます。この修復の過程で、筋繊維が鍛える前よりも太くなったり強くなったりという成長をするのです。これを「超回復」と呼び、この超回復が起こるタイミングを逃さずに筋トレをすることで、効率的に体を成長させることができます。

腹筋はどのくらいの期間で超回復するのか

超回復が起こる期間というのは、多くのサイトや書籍では「48時間〜72時間」を目安として書かれています。しかし、このスパンは筋肉の部位によって大きく変わってしまうのです。では、腹筋の超回復というのはどのくらいのスパンで起こるのでしょうか?

その目安と言われている時間が「約24〜48時間」です。トレーニング後24時間で超回復が起きるのであれば、毎日腹筋をしてもいいということになります。それでは、「毎日、腹筋を100回、200回も行う」というのは正しいのでしょうか?
実はそこにちょっとした勘違いがあります。

腹筋は毎日ではなく「2、3日に1回」で鍛えよう

毎日腹筋を100回行うというトレーニングは、ある意味100回も腹筋ができてしまうほど「トレーニングの負荷が軽い」と言い換えることができます。

では何回やればいいのでしょうか?実は筋トレによって得られる効果は、扱う重量と回数によって変わってきます。
扱う重量・回数と筋トレの効果との関係は以下の通りです。

●筋力アップ  6回以下の高重量トレーニング
●筋肥大    8〜10回の高ー中重量
●持久力    10回以上の軽重量

100回という非常に多くの回数をこなすトレーニングでは、筋持久力を鍛えることができても、筋肉そのものを大きくしたり強くしたりすることはできません。もし、くっきりと割れたを腹筋を手に入れたいのであれば、大切なのは「10回程度の少ない回数でも高強度かつ正しいフォームで筋肉を追い込む」という点です。高重量を10回程度の低回数でトレーニングを行えば、腹筋を肥大させる効果が見込めます。腹筋を肥大させることができれば、ただ薄っすら割れた腹筋から、ひとつひとつがくっきりと割れたカッコイイ腹筋を作ることができるでしょう。

低回数かつ高重量で筋肉を追い込むトレーニングを意識すると、毎日腹筋のトレーニングをするというのが筋トレ上級者ではないとかなり難しいです。腹筋の超回復も意識して2、3日に一度の頻度のトレーニングから始めるといいでしょう。

腹筋の定番「クランチ」の間違ったやり方

シックスパックに代表される腹直筋を鍛えることができ、腹筋の定番である「クランチ」を100回できるという人は、たいてい間違ったやり方をしている場合があります。クランチは仰向けの状態で足をベンチなどに乗せるか、ヒザを90度ほど曲げて行います。そして間違ったやり方は、体が地面に対して垂直になるくらいまで大きく起こしてしまうという方法です。これでは腹筋への負荷が逃げてしまうばかりか、場合によっては腰を痛めてしまいます。

本来クランチは、頭から背中にかけて体を丸めるようにして起こし、骨盤を後傾させた状態で行います。しかも、この時肩甲骨が少し浮くくらいまで上げるだけです。そして、「3秒かけて」ゆっくり上げて、「3秒」静止、そして「3秒かけて」下ろすといったゆっくりとした動作を心がけて行うことで、12〜15回でもかなり腹筋への負荷をかけることができるようになります。

田口純平監修トレーナーからのアドバイス

ベストボディ・ジャパン2015男子総合グランプリ

実際にやってみると初心者は10回も出来ない場合が多いです。そのくらいクランチの効果は高いですよ。

毎日腹筋をするなら筋トレメニューのバリエーションを増やそう

田口純平監修トレーナーからのアドバイス

ベストボディ・ジャパン2015男子総合グランプリ

もしも腹筋を毎日行うのであれば、腹筋を「部位別」に分けてトレーニングするという方法もあります。

例を上げるとすれば、「腹筋上部・腹筋下部・脇腹(腹斜筋)」といった3分類です。先ほど紹介したクランチは主に腹筋上部を鍛えるトレーニングになります。

トレーニングの実例では、「腹筋上部=クランチ」「腹筋下部=レッグレイズ」「腹斜筋=サイドクランチ」といった流れです。毎日行うのが辛いということであれば、この3種のトレーニングを毎週2回ずつ行い、決まった曜日をお休みにするといったトレーニングの組み方をするといいでしょう。

レッグレイズ

腹直筋の下部を鍛えることができる筋トレメニューです。腹筋の下部は上部に比べると脂肪が落ちにくいので割れ目が見えにくい部位です。なのでしっかりと鍛えて筋肥大をさせないと綺麗なシックスパックにはなりません。

レッグレイズのやり方ですが、まず地面に仰向けになり、両足の膝を伸ばしたまま上に上げます。地面に対して両足が垂直になった状態がスタートポジションです。
そのまま、ゆっくりと重力に任せずに腹直筋下部を意識しながら両足を下ろします。膝は曲げないようにしましょう。地面に着く手前で足を止め、そのままゆっくり元に戻します。

自重で腹筋下部を鍛えられる良いメニューですが、負荷にしっかり耐えられるだけの腹筋力がないと腰に負担がかかり腰痛を引き起こしてしまう可能性があります。もし女性などで負荷が大き過ぎると感じる場合は両手を腰の下の隙間に置きましょう。負荷が小さくなり、腰にかかる負担を減らすことができますよ。

サイドクランチ

腹斜筋を鍛えることができる筋トレメニューです。腹斜筋が割れるのは最後であり、一番むずかしい部位です。男性であれば体脂肪率が7〜8%程度まで落とさないと割れた腹斜筋は見えてきません。

サイドクランチのやり方は、まず地面に横向きて寝ます。両膝を少し曲げておきましょう。上側の腕を耳につけ、下側の腕は地面につけます。この状態がスタートポジションです。
そのままゆっくりと反動をつけないように腹斜筋を使って上体を持ち上げます。肋骨を腰に近づけるイメージで行うと腹斜筋に刺激が入りやすくなります。

単純に毎日100回腹筋を行うというのではなく、超回復を見越して2、3日に一度の頻度で腹筋をしたり、あるいは部位別にトレーニングのスケジュールを組むことによって、んだりすると、より効率的に腹筋を鍛えることができます。ぜひ今回ご紹介した方法を参考に、腹筋のトレーニングの幅を広げてみてください!

腹筋を割るならまずは食事管理から!

ここまでに腹筋の筋トレ方法を解説してきました。もし、あなたが今腹筋が割れていないのであれば、せっかく頑張って腹筋の筋トレを行っても割れた腹筋を手に入れることはできません。聞いたこともあるかと思いますが、腹筋というのは構造上6つに割れていますが、多くの人の腹筋が割れたように見えないのは、腹筋がその上の皮下脂肪に覆われているからです。

例えばプロレスラーや力士などは強靭な肉体を持っていますが、腹筋が割れているように見えないのは皮下脂肪によって腹筋が隠れているからです。

そのため、割れた腹筋を手に入れるためには筋トレで腹筋を鍛えるのと同時並行で、今度は脂肪の燃焼も狙っていく必要があります。

腹筋を鍛えればお腹の脂肪が落ちるということはありません。ましてや「脂肪が筋肉に変わる」なんてことは科学的にあり得ません。筋肉と脂肪は別物です。

腹筋を割るためには「筋トレで筋肥大を起こし、食事制限で体脂肪を落とす」ことが必須です。詳しくは以下の記事を参考にしてください。

腹筋に変化が見え始める体脂肪率は?

割れた腹筋が見え始めるのは、体脂肪率が12%以下あたりからと言われています。これは男性の事例なので、女性であれば20%以下でも割れた腹筋が見えてくるかもしれません。

脂肪を減らしていくためには、食事管理を行うことが有効です。

食事管理によりダイエットを行う基本は、「摂取カロリー<消費カロリー」の状態を作ることです。
消費カロリーから摂取カロリーを引いたカロリー分を体の脂肪等をエネルギーに変えるようになります。
しかし極端な食事制限を行ってしまうと体がエネルギー不足になることで、筋肉を分解してエネルギーに使おうとしてしまいます。

そのため、体づくりに欠かせないタンパク質をしっかり摂取した上で、グラムあたりのカロリーが多い脂肪を減らしたり、普段食べている量を見直したりして、ダイエットに取り組むといいでしょう。

単に毎日やるだけではない賢い腹筋の鍛え方を身につけよう

●毎日100回の腹筋では筋持久力を鍛えることはできますが、腹筋を大きくすることは見込めません。
●ひとつひとつがくっきりと割れたカッコイイ腹筋を手に入れるためには腹筋を大きくしましょう。
●腹筋を大きくするには、筋肥大が見込める10回程度の少ない回数を高強度かつ正しいフォームで行うことが有効です。
●毎日、腹筋を行うのであれば腹筋の中でも腹筋上部・腹筋下部・脇腹(腹斜筋)を部位別に日を分けてトレーニングを行うことをおすすめします。
●今、腹筋が割れておらず、まずは割れた腹筋を手にれたいのであれば、腹筋を鍛えることと同時並行で食事管理による脂肪燃焼にも取り組みましょう。

田口純平監修トレーナーからのアドバイス

ベストボディ・ジャパン2015男子総合グランプリ

ご紹介したトレーニング方法を参考に、やみくもに毎日100回腹筋を行うのではなく、何が目的でどの方法が効果が高いのか知った上で、賢い腹筋の鍛え方を身につけましょう。

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