ヨガの合蹠(がっせき)のポーズの効果とやり方とは?

監修者

園部恵美

ヨガ指導員 食育指導員

ヨガのクラスに参加している方は一度はやった事があるのではないでしょうか?そもそも合蹠とはどんなポーズなのか?どんな効果があるのか?具体的なやり方の解説も含めてお話ししたいと思います。

合蹠のポーズって何?

ヨガのクラスでよく出てくる合蹠のポーズ。別名バッダ・コーナ・アーサナとも呼ばれます。インドの靴職人がこの姿勢で仕事をする事から靴職人のポーズとも呼ばれるようです。

シンプルなポーズですが効果は沢山!
合蹠は骨盤の周辺の筋肉をほぐして、股関節や仙腸関節をほぐし、骨盤周辺を温めてくれるポーズです。尿疾患を予防したり、生理痛の緩和、股関節と膝関節を健康に保ったり、下腹部の臓器の働きを良くしたり、膀胱の働きを調整したりと様々な効果が期待できます。

逆に骨盤周辺が硬かったり、股関節や仙腸関節の動きが悪いとどんな弊害があるのでしょうか?

まずは骨盤の周辺の硬さや歪みが引き起こすことに注目してみましょう。
体を動かす機会の少ない方は全体的に筋肉も少なく体を支えるのに十分な筋肉がない事がほとんど。その為体をまっすぐ支える事が出来ず、片足に重心をかけて斜めに立っていたり、足組をしたりと体を歪ませる癖を持つ方が多くいらっしゃいます。その為骨盤の歪みを持つ方は沢山いらっしゃいます。

ひとくちに歪みと言っても色々あって左右の骨盤の高さが違ったり、開きすぎていたり、閉じすぎていたり、歪みも100人いたら100通りの歪みがあります。では歪みがあるとどんな弊害があるのか?

まず歪みがあるというのは多くの場合骨が歪むというより、筋肉のアンバランスに依るものがほとんど。それによって内臓にもねじれなどが起こり内臓の働き低下にもつながります。その為全身の血液循環が悪くなります。

血液循環が悪くなれば、細胞の新陳代謝も悪くなり、体の疲れが取れにくくなったり、凝りや痛みにもつながります。生理痛や生理不順、不妊症などの女性器系の不調や冷え症、肩こり、腰痛、偏頭痛など歪みからくる不定愁訴は様々です。

合蹠のポーズはそのような骨盤周辺の歪みの改善にも役立ちますし、股関節もほぐしてくれます。また左右差なども感じやすくご自身の体の歪みを知るひとつのキッカケにもなります。まずは自分の歪みを知ることで骨盤矯正にも役立ちます。

園部恵美監修トレーナーからのアドバイス

ヨガ指導員 食育指導員

ポーズを通じて自分と向き合う時間にしてみましょう^^

合蹠のポーズのやり方と応用編

園部恵美監修トレーナーからのアドバイス

ヨガ指導員 食育指導員

では早速合蹠ポーズをやってみましょう

合蹠のポーズのやり方

①足を伸ばして座ります。

②両膝を曲げて横に倒し、足の裏と足の裏を合わせて両手で抱え出来るだけ体に引き寄せます。

③両足の裏は押しつけ合い、膝は床のほうにさげます。胸を広げて、肩を後ろに引いて背中を伸ばします。

※この時出来れば左右の膝の高さを揃えましょう。
※ゆっくり呼吸をしながら30〜60秒ほどキープします。

応用編① バッダ・コーナ・アーサナII(前屈を加える)

バッダ・コーナ・アーサナよりも難易度が少し上がったこのポーズは、バッダ・コーナ・アーサナの状態から前屈を加えたものです。
股関節周りを更にほぐしてくれる効果に合わせてお尻のほぐし、仙腸関節のほぐしにも役立ちます。仙腸関節がほぐれると柔軟性もあがります。

①合蹠のポーズから吸って背筋を伸ばし吐いて前に倒します。
この時のなるべく背中は伸ばしたまま倒し、目線も遠くに置きます。

②倒しきったところで深く呼吸を繰り返します。

※体の重みで少しずつ深まっていくように呼吸をする毎に体の力みを取り払うようなイメージです。
※更に余裕があれば両手を前に伸ばし遠くに置くようにしながら深めていきます。
※こちらも30〜60秒ほどキープしましょう。

応用編② スプタ・バッダ・コーナ・アーサナ

仰向けになって合蹠のポーズを行うやり方で動きのないゆったりとしたポーズです。『床で行う靴職人のポーズ』とも言われます。

体を重力に預けて脱力させることで、無理なく股関節周りをほぐすことができます。

①合蹠で座ります。

②後ろに置いた手を下に押しながら、腰をマットから浮かせるように持ち上げ、お尻を出来るだけ踵よりにおきます。肘をつき少しずつ体を倒していきます。※倒しきったらそのまま1〜2分キープしましょう。

応用編③

①そのまま膝を開いたままでお尻を持ちあげます。
※上げた状態で5呼吸ほどキープします。2、3セット行います。

②左足だけ立てて、右足を倒したままでお臍を右斜め上にお尻を持ち上げます。
※上げた状態で5呼吸ほどキープします。2、3セット行います。逆もやります。

仙腸関節に圧を加える事で解放した時に仙腸関節のこわばりを解消して柔軟性をあげます。また骨盤底筋群を使う事で骨盤内の血流を高めてくれる効果も期待できます。

合蹠ができない方がやるべき練習方法をご紹介!

ここまで、合蹠がとても良いという事はお分りいただけたと思います。
ただそうは言ってもなかなかカラダが硬くてポーズが出来ない!という方もいらっしゃると思います。また、ポーズをとると痛みが伴う方もいらっしゃるかもしれません。そんな方向けに合蹠がより深まる為の準備段階のポーズをご紹介します。

やり方①

合蹠の最初の姿勢をとり、両手で両足を抱えた状態で膝をパタパタと動かします。 なるべく体を引き上げた状態で行います。仙腸関節や骨盤周辺をほぐしてその後の動きをやりやすくしてくれます。

やり方② 過緊張ほぐし

まずは合蹠と同じ姿勢で座ります。左手で左の腿の内側を押します。左足はそれに負けないように上に持ち上げます。
手と足で押し合いをしています。なるべくどちらも負けないように押合いをします。

この時の呼吸は『吸って』押し合う『吐いて』脱力。脱力が大切で脱力した時に足の付け根にある過緊張をほぐしていきます。息を止めずに5、6回くらいを目安に行いましょう。逆も行います。

強い痛みなどがある場合は無理せずに休みましょう。この時に左右差がある時にはやりにくい方の足の押し合う回数を多くして、アンバランスを整える事に努めましょう。

やり方③足の可動域を広くする

左足から行います。足先を遠くを通しながら大きく回します。ゆっくり丁寧に出来るだけ大きく5、6回。反対も同様に回します。大きく回す事で股関節周辺をストレッチしてくれます。

合蹠のポーズを通じて体と向き合う

合蹠のポーズのやり方やその効果はお分かり頂けましたでしょうか?

ヨガのポーズはどれも大変でシンプルなものばかり。そのどれもが背骨を動かす事を大切にしています。今回取り上げた合蹠のポーズはまさに背骨の土台となる骨盤を整える大変重要なポーズです。

歩く動きも立つ動きも骨盤の働きなしには行えません。ところが現代では昔のように農耕をするでも狩りをするでもなくパソコンに向かいっぱなしだったり、移動は車や電車と、歩く機会が減り、人が人として生活する為の本来の体の状態を維持できてない事がほとんど。

誰もが肩こりや腰痛を持ち、生理不順や生理痛、偏頭痛なども日常茶飯事。不眠やストレスを抱える人も多く、最近では不妊も増えて、男女共に生物としての機能は低下するばかり。

園部恵美監修トレーナーからのアドバイス

ヨガ指導員 食育指導員

今回取り上げた合蹠のポーズは現代人の様々な不定愁訴を解消する糸口になるとても素晴らしいポーズです。ヨガをやった事のない方は難しく考えずにチャレンジしていただきたいし、またヨガを日常的にやっている方も今一度ポーズの再確認もしながら取り組んでいただきたいポーズです。

ほんの少し体と向き合う時間を作る事で体は必ず応えてくれます。これからもずっと付き合っていく自分の体を自分自身でメンテナンス出来るようにぜひヨガを活用していただけたら幸いです。同じ合蹠のポーズでも昨日と違う反応をする事もあるかもしれません。

もっと深まる日もあれば逆に全然出来ない!なんて日もあるかもしれません。そんな変化に一喜一憂せずにただありのままを観察しましょう。自分自身をジャッジせずに全てを受け入れましょう。体は毎日変わります。世の中も毎日変わります。そんな自分の変化に向き合いながら自分の周囲で起こる変化も優しく受け入れていけるようになると良いかと思います。

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