なぜ断食で頭痛になることがあるのか?原因と対処法

監修者

高山 菜緒

日本赤十字社救急法救急員 健康運動実践指導者 オープンウォーターダイバー 一般社団法人ボディリラクゼーション従事者安全安心機構 全米ヨガアライアンス200

【プロトレーナー解説】断食中に起こる多くの不調の1つに頭痛があります。なぜ、断食をすると頭痛が起こってしまうのか。この記事ではその原因と改善策を詳しくご紹介していきます。

断食(ファスティング)中に起こる頭痛の原因とは?

断食をしたら頭痛に襲われてしまいました。やり方が間違っていたのでしょうか?

高山 菜緒監修トレーナーからのアドバイス

日本赤十字社救急法救急員 健康運動実践指導者 オープンウォーターダイバー 一般社団法人ボディリラクゼーション従事者安全安心機構 全米ヨガアライアンス200

実は断食をすることで症状として出やすいのが頭痛なのです。まずは断食による頭痛の原因を解説します。

確かに断食をすれば普段とは違う食生活になりますが、人によっては『断食中の頭痛は好転反応』という人もいます。

好転反応としての理由は断食によって、身体の中に蓄積した老廃物や毒素が血管を通して押し流されます。そのため、一時的に汚れた血液が血管を通して全身へ回ることになります。この汚れた血が体内を循環することによって頭痛を引き起こす原因になります。

しかし断食中の頭痛にも原因があり、その原因もいくつかあります。まずは頭痛の原因を見ていきましょう。

原因①低血糖

1つ目の原因は低血糖です。
断食を始めてすぐは、糖質摂取量が普段より低くなるので低血糖状態になり、頭痛の他にもフラフラしたり、身体に力が入らなかったり、吐き気などの症状が現れます。

人の身体は、血糖値が低くなると血糖値を上げるホルモンであるアドレナリンやコルチゾール、成長ホルモン、甲状腺ホルモンなどが分泌され血糖値を上げる為に働きます。

しかし、普段から甘いものや糖質高めの食事、食べ過ぎ、運動不足など血糖値が下がる事とは無縁の生活を送っていると、自分の力で血糖値を上げる機能が低下してしまい、いざ血糖値の調節をしようとするときにホルモンの分泌調整がうまく働かず低血糖状態から抜け出せなくなってしまうのです。

原因②酸血症

断食の2日目以降になると、体内の糖分のほとんどを使い果たし、脂肪を燃焼させてエネルギーとして使います。脂肪を燃焼させて脂肪酸を作り、それがエネルギー源となります。
そして、脳へのエネルギーとしては、脂肪酸を燃やしたときにできる『ケトン体』という物質を使います。糖を使用しているときは体内は弱アルカリ性ですが、ケトン体が増えると弱酸性の状態になります。

急な変化に身体が対応できないと、酸血症となって頭痛が起きることがあるのです。

原因③ミネラル不足

断食の方法としては酵素ドリンクを使ったり、スムージーなどで行う方もいます。その中でも水のみで行う断食の方は断食中はミネラル不足になりやすいです。

デトックス効果を高める為に水をたくさん飲みますが、尿と一緒にナトリウム、カリウムなどのミネラルも排泄されてしまいます。食事を摂らないのでナトリウムなどのミネラルが不足してしまい、頭痛の原因となります。

断食中の頭痛の対処法|はちみつが効果アリ!?

なんだか断食ってデメリットばかりに感じてしまいますね…。

高山 菜緒監修トレーナーからのアドバイス

日本赤十字社救急法救急員 健康運動実践指導者 オープンウォーターダイバー 一般社団法人ボディリラクゼーション従事者安全安心機構 全米ヨガアライアンス200

敢えて頭痛の原因ばかり紹介しましたからね(笑) しかし断食による頭痛の症状を予防することはできます!

そうなんですね!教えて下さい!

断食中に頭痛が起こってしまったらどうすればいいのでしょうか。頭痛が起こったら頭痛薬を飲みたくなりますが、断食で起こる頭痛は病気でなっている訳ではないので薬は飲まないことをおすすめします。

断食真っ最中は胃腸が空っぽの状態です。そのときに薬が入ってくると、食べ物以上に胃腸にストレスがかかります。胃を荒らしてしまうこともあるので薬は飲まないようにしましょう。

頭痛は断食の初期段階で起こることが多いので後半にはおさまることが多いです。どうしても頭痛が辛ければ断食を中断し、復食期に移りましよう。

では断食を中断しなくても頭痛をおさめる方法はないのか?効果的な方法をいくつかご紹介していきます。

はちみつを食べる

断食中の頭痛対策でおすすめなのは『はちみつ』です。

はちみつにはミネラル分が豊富に含まれているだけでなく、糖分も適度な量が含まれているので非常に断食向きの食品として知られています。もし頭痛や低血糖の症状が見られたら大さじ1くらいのはちみつを食べて見ましょう。

塩分の摂取

カリウムやナトリウムの濃度が低下すると、身体がだるくなり、頭痛を起こしやすいのは先ほど説明しましたよね。その場合は塩分を含む食材を摂取しましょう。

おすすめの食材としては、梅干しを食べるのもおすすめですが、はちみつ梅干しをお湯に溶いて飲んでも効果的です。糖分や塩分を同時に摂れますし、お湯に溶いて飲むので身体の血行もよくしてくれる効果があります。

準備期間を多めに行う

断食に入る前の準備期間を長く行いましょう。行うことで頭痛などの不調や好転反応を出しにくくします。

準備期間は、基本断食をする期間と同じ分の期間行いますが、その期間を2〜3日増やしてみましょう。もともと人の身体は急激な変化に対応しにくいので、断食を成功させるためにも、少しずつ身体を慣らさせてから断食を行うようにしましょう。

水分を摂取する

体内の水分が極端に不足していても頭痛が起こりやすいとされているので、水分が減少しすぎると血液がうまく巡らなくなります。

水分量が多すぎてもよくありませんが、少ないのはもっといけません。断食中の水分摂取は1日2〜3リットルと言われており、これを維持することで弱酸性に傾きすぎることを身体でコントロールすることにもなります。頭痛対策には水分摂取も重要です。

好転反応やオートファジーなど断食には良い効果がたくさん!

高山 菜緒監修トレーナーからのアドバイス

日本赤十字社救急法救急員 健康運動実践指導者 オープンウォーターダイバー 一般社団法人ボディリラクゼーション従事者安全安心機構 全米ヨガアライアンス200

断食のデメリットばかりに焦点が当たってしまったので、最後に断食の嬉しい効果を紹介します!

断食は老化を遅らせ、さまざまな疾患を予防することが明らかになってきています。人の身体は約60兆個の細胞が集まってできていますが、それらの細胞は日々老化していっています。

老化の原因としては、老化を引き起こす遺伝子がはたらく、細胞内のたんぱく質やDNAが、酸化してダメージを受ける、不要なたんぱく質が蓄積するなどがあります。断食は、細胞を老化に導くこれらの原因を取り除く働きがあることがわかってきています。

栄養を外から取り込めなくなると、身体はあらゆる方法でそれを補おうとします。その1つが『オートファジー』と呼ばれる方法です。

オートファジーとは、細胞の中にあるたんぱく質を分解することです。
断食によってたんぱく質をつくる材料のアミノ酸が得られなくなると、必要なたんぱく質を十分につくることができなくなります。そこで、すでにあるたんぱく質をアミノ酸に分解し、そのアミノ酸をつかって別の優先順位の高いたんぱく質を作っていきます。オートファジーによって細胞内の環境が整備されるので、老化の予防につながるのです。

断食ブームになってからはダイエットとしてのイメージが大きくなっていますが、断食の効果はダイエットだけではありません。
免疫力アップや便秘・腸内環境の改善、アレルギー改善を目指している方などにも断食はおすすめです。集中力やスタミナを貯める効果もあるのでアスリートでもトレーニングの一環として行うそうです。

アスリートも行うんですね!

高山 菜緒監修トレーナーからのアドバイス

日本赤十字社救急法救急員 健康運動実践指導者 オープンウォーターダイバー 一般社団法人ボディリラクゼーション従事者安全安心機構 全米ヨガアライアンス200

断食は身体にとっていい効果がたくさんあるんですよ!

断食中の頭痛は正しい対処をして改善しよう

断食中の頭痛は、断食を行う人にとって多く起こりうる症状です。焦らず、できる対処法で改善してください。

もし、頭痛の他にも発熱などがあれば、断食を中断することも必要になります。体調を崩してまで行う必要はないので、自分の体調に合わせて行なってみてくださいね。