白筋(速筋)と赤筋(遅筋)とは?筋肉の構造、最適なトレーニング方法を解説!

監修者

佐藤公治

ティップネス明大前にてパーソナルトレーニング活動中。NSCA認定パーソナルトレーナー、日本ストレッチング協会認定ストレッチングインストラクター。

【プロトレーナー解説】ゴリマッチョと細マッチョの違い、白筋(速筋繊維)と赤筋(遅筋繊維)とは?筋肉の構造、筋トレとストレッチが筋繊維に与える影響、白筋と赤筋を鍛える重量と回数、筋肉を効果的につけるためのポイントなどを解説します。

筋肉には、赤い筋肉(赤筋)と白い筋肉(白筋)がある!?

トレーニングをしている人でも、ゴツくなる人もいれば、細く引き締まった体になる人もいるのは何故なんでしょう?

佐藤公治監修トレーナーからのアドバイス

ティップネス明大前にてパーソナルトレーニング活動中。NSCA認定パーソナルトレーナー、日本ストレッチング協会認定ストレッチングインストラクター。

筋繊維には、速筋繊維と遅筋繊維の2種類があります。どちらを主に刺激するかによって、筋肉の質が変わってきます。

遅筋(赤筋)と速筋(白筋)とは

◯遅筋繊維
ミオグロビン(筋肉中にある色素タンパク質)が多く含まれ、赤い色をしています(そのため、遅筋は赤筋とも呼ばれています)。
持久力があり、運動を始めると最初に使われるのが遅筋繊維になります。

◯速筋遷移
ミオグロビンの量が少なく、白い色をしています。(白筋と呼ばれます。)
大きな力を発揮する力があり、鍛えることで筋肉が肥大していきます。

遅筋繊維は、速筋繊維より小さく、付着している運動神経も小さくなります。したがって遅筋繊維は、速筋繊維ほどには肥大しにくい(つまり、筋肉のサイズが大きくなりにくい)繊維となります。

また、速筋繊維と遅筋繊維の比率は、体の部分によっても異なります。

ほとんどの人は、ふくらはぎの腓腹筋には速筋繊維が多く、その下にあるヒラメ筋は大部分が遅筋繊維です。

個人の速筋繊維と遅筋繊維の割合は先天的に決まっており、筋肉が大きくなりやすいタイプの人は速筋繊維が多く、激しいトレーニングに必要な持久力が高い人は遅筋繊維が多いと推測されます。

赤筋、白筋を効果的に鍛える方法|重量と回数

遅筋と速筋は、それぞれ鍛え方が異なります。

◯遅筋
低負荷で高回数行う

◯速筋
低回数しか行えない高負荷で行う

軽めのウェイトでレップ(回数)を多く行えば、主に遅筋繊維を使うことになります。遅筋繊維はあまり肥大しないので、こうした方法でトレーニングをしていると、筋肉を大きくせず、引き締めることができます。
より重いウェイトを使うと、主に速筋繊維を使うことになります。速筋繊維は2種類に分けられ、その一つ、タイプⅡbと呼ばれる繊維は、かなり重いウェイトを使った強度の高いトレーニングでしか活動しません。最も肥大しやすい(サイズアップしやすい)のは、このタイプⅡbの筋繊維になります。

超高回数(100レップ法など)のトレーニングは、遅筋繊維を使う有酸素性の運動になります。セットの終わりに遅筋繊維が疲労した時点では、十分な負荷を使っていれば多少、速筋繊維が使われることもありえます。

ですが、効率よく筋肉を発達させるには、もっと重い負荷を使い、少ない回数で筋肉にオーバーロード(過負荷、日常で扱うより重い負荷)をかけるほうがずっと合理的な方法となります。

遅筋繊維が優位になると速筋繊維は小さくなる?!

さらにつけ加えると、持久的な運動を起こす刺激を長時間加え続けると、速筋繊維(もう一つのタイプⅡa、速筋と遅筋の中間的な性質をあわせ持っています)は小さくなり、遅筋繊維が優位になるといわれています。

速筋繊維(白筋)と遅筋繊維(赤筋)の発達の仕方

速筋繊維の発達の仕方と効果

生まれつき速筋繊維が多いということが、筋力系の競技に向く素質として、しばしば取り上げられます。

例えば、上腕二頭筋(力こぶの筋肉)に遅筋繊維が占める割合が多ければ、腕を引き締めるには優位ですが、サイズを大きくするには不利となります(ただし、トレーニングにより成果を上げることは見込めます)。

一般的に、男性に比べて女性は上体の筋力は弱くなります。ですが、下半身はアスリートレベルになると男性と同等か、それに近い筋力が発揮されます。

男性向け・女性向けにトレーニング法に違いがあるのかはよく問われる疑問ですが、運動に対する筋繊維の反応は男女とも同じになります。

女性アスリートに20週間にわたって、重いウェイトでのトレーニングを行わせた実験で、平均で遅筋繊維のサイズが約15%、速筋繊維のサイズが約50%増加したという研究結果もあります。(テストステロン<筋肉をつくる男性ホルモン>のレベルが高い女性は、筋サイズの増加ペースが速かったことが報告されています)

年齢を重ねると速筋繊維が萎縮

年齢を重ね、活動をしなくなると、速筋繊維は委縮し、いずれは遅筋繊維が大半を占めるようになります。

(速筋繊維は神経支配が大きいので、常に負荷をかけて刺激する必要があります。これは、筋肉は「鍛えるか、衰えるままにしておくか」の法則の典型的な一例といえるでしょう)

速筋(白筋)と遅筋(赤筋)、どちらが多い?

速筋(白筋)と遅筋(赤筋)の測定方法

体の中にある部位の筋繊維の比率を調べる方法には、バイオプシーがあります。これは、筋肉をほんの少量取り出して、顕微鏡で調べる方法です。
バイオプシーは専門の検査が必要になりますが、筋トレの反復回数から推測する方法もあります。

1RM(1回挙げられる、最大重量)の75%のウェイトで、8~13回できたら、その筋肉は速筋と遅筋の繊維の比率が1:1と考えられます。

8回未満ならば速筋繊維の割合が多く、14回以上できれば遅筋繊維が多いと考えられます。

(重いウェイトで低回数のトレーニングは主に速筋繊維を刺激し、軽いウェイトで高回数のトレーニングは遅筋繊維を刺激するといえます。中程度のウェイトで中間回数を行うトレーニングは、両方の筋繊維を刺激する効果的な方法となります)

筋肉を効果的に発達させるポイント

一つの筋肉群に対して、脊椎から発したたくさんの神経が接合していることがよく見られます。つまり、種目を変えて異なる角度から刺激を与えることで、一つの筋肉群のなかの異なった部位を使うことができます。体力がついてきたら様々な種目を取り入れることで、筋力・筋肉量の増加を促すことができます。

古典的な筋トレでは「限界(またはそれに近く)まで動作を続ける」と、よくいわれます。

痛みに対する耐性が高くなると、自分の意志で働かせることができる筋繊維の数がより多くなるといえます。動作を反復し、神経系を発達させ、さらに精神的および身体的に備わった筋肉に対する抑制を突破することが、筋力・筋肉の発達を促す大きなカギとなりえます。

佐藤公治監修トレーナーからのアドバイス

ティップネス明大前にてパーソナルトレーニング活動中。NSCA認定パーソナルトレーナー、日本ストレッチング協会認定ストレッチングインストラクター。

遅筋と速筋という違いだけでなく、様々な筋トレを組み合わせていきましょう!