股関節前部・下腹部の痛みの原因とは?腸腰筋ストレッチや筋トレで治せるの?

監修者

植松駿太

Fit Arc認定ランニングアセスメントスペシャリストアドバンストレーナー

【専門家解説】股関節の付け根が、脚を上げると痛い。股関節を深く曲げると、詰まる感じがする。この痛みは何なんだろうと疑問に思ったことはありませんか?その痛みの原因や対処法をお伝えします。

腸腰筋・股関節の付け根が痛くなる原因とは

よくあるのはスポーツを行った後などに出る腸腰筋の筋肉痛ですが、これは放っておいても何日かで消えるので問題ないでしょう。

問題は筋肉痛ではなく、股関節を深く曲げると痛みが出る、詰まるような感じがするというものです。この場合の症状は、単純に腸腰筋の筋トレをして解消するかと言うと、そうでもありません。原因は筋力不足ではないからです。深く曲げた時の痛みや詰まりは、姿勢変化や筋バランスの崩れにより中で組織が挟まったり、過度なストレスを受けて起こっていることが多いです。

例えば多いのが腸腰筋の硬さや大腿筋膜張筋の過度な緊張や硬さによるもの、中殿筋の機能不全などです。原因と解決方法について一つずつご紹介していきます。

股関節の付け根の痛みはどんな人がなりやすいのか

股関節の付け根の痛みというのは、どういう人がなりやすいなど、傾向はありますか

植松駿太監修トレーナーからのアドバイス

Fit Arc認定ランニングアセスメントスペシャリストアドバンストレーナー

いくつかありますので説明しましょう。こんな人は要注意です

≪デスクワークの方≫
デスクワークの方は、仕事中だいたい椅子に座っています。座っている時の姿勢は股関節が90°曲がった状態です。これは、股関節の前側についている腸腰筋と言う筋肉が短縮している状態です。ストレッチやトレーニングの習慣があれば多少軽減できますが、運動不足の方はどんどん腸腰筋が硬くなってくる可能性があります。
この筋肉は股関節を引きあげたり、骨盤を前に倒すように引きつけたりする力があります。前述の様に、股関節の痛みや詰まり感は筋バランスや姿勢変化が影響しますから、関節の動きがわずかにズレたりしてきます。デスクワークの方は、休憩中などにこれを思い出し、腸腰筋のストレッチをしておくことをお勧めします。

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≪お尻のたるみが気になっている人≫
これはやや遠回しの表現です。直接の原因となるのは大腿筋膜張筋という筋肉が張ってくることで、股関節の動きが悪くなることにあります。これにより詰まり感が出てしまいます。

では何故お尻のたるみが気になる人と表現したのか。お尻の筋肉が使えないとたるんできます。お尻の筋肉が使えない人は、どのように姿勢を支えたり運動しているかと言うと、隣にある大腿筋膜張筋と言う筋肉を過剰に使っていることが多いです。

立っている姿勢を真横から見た時、股関節の中心が外くるぶしより前に出ている方は要注意です。このような姿勢は骨盤が後傾し、前に移動しています。その骨盤を受け止めて支えているのは大腿筋膜張筋です。常にストレスがかかるため、硬く張ってきます。緊張が高まるので、色んな動作でお尻の筋肉以上に使われてしまい、なかなか殿筋が活動しなくなります。お尻の筋肉が使えないため、大腿筋膜張筋の硬さが取れず、股関節が内旋方向に引っ張られてしまいます。改善方法はお尻のトレーニングです。

腰痛のリスクが高まる

股関節の痛みは、他の怪我につながったりなど、気をつけるべき点はありますか

植松駿太監修トレーナーからのアドバイス

Fit Arc認定ランニングアセスメントスペシャリストアドバンストレーナー

特に気をつけたいのは腰痛ですね。姿勢との関連が深いので詳しく説明します

腸腰筋が硬いと腰痛のリスクが高まる

股関節の痛みがある方は骨盤にゆがみが生じているとも考えられます。例えば腸腰筋が硬いと骨盤を前に倒すような力が高まるため、骨盤は前傾していきます。骨盤が前傾するとその上に乗っている腰椎も湾曲が増大するので、反り腰の状態になります。人間本来の生理的な湾曲であれば、腰椎の間にある椎間板には均等に分散された圧がかかりますが、その姿勢が崩れると椎間板への圧が弱まる所と高まる所が出てきます。そうやって椎間板ヘルニアのリスクが高まったりしていきます。

筋肉の緊張も高まりますので、筋膜性の腰痛が発症する可能性も…。腰への負担が高まり、腰痛発生のリスクを高めることになります。

大腿筋膜張筋が硬い場合も腰痛のリスクが高まる

大腿筋膜張筋が硬い場合も、お尻の筋肉、特に中殿筋が使えていない状態であることが多いですから、これも腰痛のリスクを高めます。
例えばウォーキング。ウォーキングの際、人は片脚で立つ瞬間があるので、骨盤が落ちないよう、水平に保つよう機能する筋肉が存在しています。それが中殿筋です。中殿筋が使えない状態では、片脚に荷重した瞬間、骨盤が支えきれないため、軸足の反対側の骨盤が落ちます。左右で高低差が出てしまうのです。もしくは反対の骨盤が落ちないよう上半身を傾けたりするような代償運動が現れます。ウォーキングは毎日のことですから、歩くたびに骨盤がぐらついていたら腰へのストレスは増大します。

ジムなどに通っている人はトレーニング中に、スクワットやランジをやるかもしれません。この時、中殿筋が弱いと、弱い方のお尻が外に逃げていくような動きをします。この動きも骨盤、腰椎がゆがむので、ストレスとなります。お尻が外に逃げないように意識しながら脚のトレーニングを行ってみてください。

腸腰筋の痛み改善ストレッチ

おすすめのストレッチ例を教えてください!

植松駿太監修トレーナーからのアドバイス

Fit Arc認定ランニングアセスメントスペシャリストアドバンストレーナー

前述した腸腰筋と大腿筋膜張筋のストレッチ例を紹介します

腸腰筋のストレッチ

手順
・脚を大きく前後に開き、後ろ脚の膝を床につけます。この時両脚とも、膝とつま先が真っすぐ前を向いていることを確認してください。
・両手は前の脚の膝に置き、胸を張ります。
・体重をゆっくり前脚にかけていきます。これだけで股関節前面がかなりストレッチされると言う方はその姿勢のまま15秒程度キープです。
・余裕のある方は、おへそを引っ込めて、お尻の下を前に少し押し出すようなイメージをすると更にストレッチが効いてきます。

ポイント
・腰を反らないように
・体重を前に乗せようとした時、前脚の膝に突っ張り感が出る方はおそらく脚の前後の幅が狭いため、前脚を少し前方に置きなおして実施してみてください。
・骨盤を外に開いてしまう方も多いです。おへそが正面を向いていることも確認しましょう。

大腿筋膜張筋のストレッチ

手順
・壁の横に立ちます。片手を壁に当てておきます。反対の手は骨盤に置いておきます。
・壁に手を置いている方の脚がストレッチする脚になります。右手が壁であれば、右脚を左斜め後ろに引き、床につけます。
・最後に骨盤を壁に近づけるようにします。この時、左手で骨盤を壁に近づけるように押すことでうまくストレッチが効いてきます。15秒程度キープしましょう。

ポイント
・骨盤が捻れやすいので、終始骨盤は正面を向けておきましょう。
・斜め後ろに置く足は、遠すぎるとバランスが取りづらい方もいますので、軸足の近くでも構いません

ランニングなど、股関節を引き上げる動作で痛みが出る方のトレーニング方法

ストレッチで硬くなった筋肉を伸ばすのがまずは痛みを取る対処法ですが、その痛みが出ないようにするにはやはりトレーニングも大事です。
特にランニングなど、股関節を引き上げる動作をたくさん行うスポーツでは、腸腰筋を始めたとした股関節の筋肉を鍛えておくのが大事です。その一部をご紹介します。

立位足上げ運動

すごく簡単でどなたでも取り組める内容です。転倒予防に取り入れたい高齢者の方は椅子に座って行うのもいいでしょう。

立った状態(もしくは椅子に座った状態)で、骨盤を丸めないように意識しながらももを上げます。バランスが取りにくい方や、意識しても骨盤が丸まってしまう方は、壁の正面に立ち、両手を壁について体重をややあずけながら行うときれいに上げやすくなります。上げた脚は床につけずに再び上げます。20回程度を目安に片脚連続で行い、反対脚も行いましょう。脚を引き上げる腸腰筋のトレーニングになります。

シットアップ(上体起こし)

よく皆さんのイメージされる腹筋運動は、恐らくシットアップだと思います。上体を起こしてくる、スポーツテストでも行われるものですね。しかしこれ、下腹部を使っている感じはあるものの実は腹筋メインの運動ではなく、今回取り上げている腸腰筋がメインとなって活動しています。よって、腸腰筋のトレーニングは実はシットアップ、上体起こしをすれば良いのです。

足上げ運動では少し運動をされている方にとっては負荷が物足りないと思いますので、シットアップでしっかり鍛えましょう。20回が目安です。足を何かで抑えた方が力が逃げずトレーニング効果が上がります。
ランニングなどをやっていて、更にしっかり鍛えたい方は、片脚で行うシットアップがお勧めです。1つの脚で上体を起こすため、負荷が倍増しますよ。

スクワット

足を肩幅に開きます。つま先は正面を向けます。手は腰に当てておきましょう。お尻を下に落とすようにしゃがんでいきます。膝90°くらいを目安に止まり、元に戻ります。
よく、膝はつま先より前に出さないようにと言われるので、極端にお尻を後ろに引いて踵に重心を乗せて行っている方がいますが、逆に言えばつま先の上までなら出しても問題ありませんので、あまり意識しすぎず行ってみて下さい。足裏全体に均等に体重がかかっている感覚があれば、実は膝に対して強い負担はかかりません。
膝の前後位置以上に気をつけたいのが、膝の内側、外側の位置関係です。膝は閉じ過ぎず開きすぎず、足首の丁度上でフィニッシュするのを心がけてください。膝が内側に入ってしまうと、前述の大腿筋膜張筋を使いすぎるクセを抜き、中殿筋や大殿筋と言う殿筋群を使うことができません。逆に外に開きすぎている場合には、恐らく足裏の体重が外側に逃げていますので感じてみてください。

スクワット時の膝については以下の記事に詳しく解説してありますので、ぜひご覧ください。

スクワットは様々なバリエーションがあり、個人や目的によって使い分けますが、まずはオーソドックスな肩幅スタンスでのスクワットを身につけましょう。

植松駿太監修トレーナーからのアドバイス

Fit Arc認定ランニングアセスメントスペシャリストアドバンストレーナー

股関節の痛みは様々な症状の原因になる可能性があります。もし痛くなった場合はすぐに原因を調べ、今回紹介したトレーニングなどで改善・予防をしてください。もし痛みがひどい場合は病院で治療してもらってください。

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