デッドリフトで腰痛になる原因とは?正しいフォームを習得しよう!

監修者

佐々木大地

NSPAパーソナルトレーナー

【プロトレーナー解説】デッドリフトで腰を痛める人は少なくありません。正しい鍛え方とポイントについて解説します。デッドリフトは全身の総動員する数少ないトレーニングとして、是非とも取り入れて頂きたい種目の一つです。しかし、知識もなしに行えばケガをする危険性が非常に高い種目なのでぜひマスターしましょう!

基本のデッドリフトをおさらい

デッドリフトは非常に効果的な筋トレと聞いたのでやったことがあるのですが、腰を痛めてしまった経験があります..

佐々木大地監修トレーナーからのアドバイス

NSPAパーソナルトレーナー

デッドリフトで腰痛になってしまう方は少なくありません。正しい鍛え方をすればデッドリフトほど優秀な種目はないのでとてももったいないです。
まずはデッドリフトの基本のからおさらいしましょう。

デッドリフトは脊柱起立筋群・殿筋群・ハムストリングスが主に負荷がかかります。また、フォーム維持の為に背面全体の筋肉や腹筋群・その他下肢の筋肉など基本的に全身の8割以上の筋肉が参加します。

基本のナロウデッドリフト フォームのポイント

①セッティング:バーベルにプレートを付けて床におきます。あるいはパワーラックのセーフティーを一番下にセットしておいてください。スタンスは腰幅で爪先を正面に向けてバーを握った時に脛がバーに触れるくらいを目安にしましょう。

②グリッピング:動作の邪魔をしない程度て幅を調整してグリップします。肩幅より少し広いくらいでも良いでしょう。

③スタートポジションのセッティング:肩甲骨を寄せて腰に力を入れて背筋をまっすぐに伸ばし、お尻を後ろに突き出します。お尻を軽く持ち上げるようなイメージで少し高い位置にセットします。お尻が膝よりも低くなるとスクワットを同じような動作になってしまい。膝の動作からスタートしてしまいますので注意します。
④動作スタート:目線を上に向けてバーを自分に近づけるイメージをキープしたまま立ち上がります。突き出したお尻を元に戻すような感じです。
⑤フィニッシュポジション:背筋がまっすぐに伸びた状態で肩甲骨を後ろに寄せなおしてもらえればOKです。腰を突き出してしまうと腰痛の原因になります。
⑥バーを下ろす動作:バーを自分の体に引き付けるように広背筋に力を入れておきながら、お尻を後ろに突き出してバーを下ろします。
基本動作はこれでOKです。

ポジション別 デッドリフトで腰を痛める要因

佐々木大地監修トレーナーからのアドバイス

NSPAパーソナルトレーナー

ここからは前述の動作ポイントに合わせて腰を痛める要因と改善の仕方を解説します。

①セッティングで腰を痛める原因

バーの高さで可動域が変わります。セッティングが高いほどフィニッシュポジションから降ろす動作が短くなるなので筋肉が引き延ばされて痛めてしまうリスクが減ります。

バーを高めにセットするほどハムストリングスや殿筋群の活動が減り、脊柱起立筋群やその他背筋へダイレクトに刺激が伝わるようになるでしょう。床からのデッドリフトが苦手な方は床からのデッドリフトは10回程度反復できる軽めの重量で行い、バーの高さを膝くらいからスタートするラックプルなどの種目で背中をまっすぐにキープするために必要な筋肉を強化するのも一つの手です。

シューズ選びも重要なセッティングの一つなので要注意です。デッドリフトはかかとで踏ん張る種目ですから、かかとが高くなっているシューズを履くとつま先体重になり力が出にくくなります。バーが体から離れやすくなってしまいますので背中が丸まり、腰を痛める要因の一つとなりえます。なるべくフラットなシューズを履くようにしましょう。

②グリッピングで腰を痛める原因

グリップ幅が広すぎると肩甲骨が開きやすくなり、可動域も増えますので当然腰を痛める要因の一つとなりえます。
自然に両手を下ろしたくらいで良いでしょう。バーの握りこみが強すぎると腕に力が入り、肘が曲がります。このような状態では無駄にスタミナを浪費し、動作の途中でフォームが崩れてくるのが目に見えてます。普通に握って握力が持たなければ、オルタネイトグリップを採用するか、リストストラップを活用してください。フックグリップでデッドリフトが出来れが腕に力が入るのを最小限に抑えられますが、これも握力の問題があるのでリストストラップの活用を検討しましょう。

③スタートポジションのセッティングで腰を痛める原因

肩甲骨を寄せる際に肩を下げながら上にすくませないようにしてください。寄せ方がわからないときは一度直立姿勢で後ろに肩甲骨を寄せたまま腕を下に下げるようにしてみましょう。そのままバーを握ってみてください。ただ肩甲骨を寄せるよりも胸郭を広げて腹圧を高める姿勢を取ることで自然と肩甲骨が寄るのが理想的です。背中を立てようとし過ぎてお尻が下がってしまうと膝が前に出て動作の邪魔です。
また、立ち上がるとき急激に上半身が倒れてしまう可能性がありますので危険です。上半身が45度程度になるようにして、脛が垂直になるようにしてみましょう。

④動作スタートで腰を痛める原因

ただ真っすぐ立ち上がってしまうと背中は丸まりやすいです。後ろに重心を掛けるようにしてバーを自分の体に引き付けるイメージで動作をスタートします。全くの初心者であれば別ですが、そうでない方が最初から背中が丸まってしまう場合は重量が明らかに重すぎます。重りの調整が必要です。

⑤フィニッシュポジションで腰を痛める原因

よくフィニッシュポジションで腰を返している方がいますが、パワーリフティングの競技をやっている方でなければ特に意味がありません。むしろ力が抜けてしまいますし、骨盤が前傾して腰痛になります。

爪先体重で骨盤が前傾していると、このフィニッシュポジションでのフォームが特に危ないです。かかとで踏ん張る癖を付けましょう。多少前傾しった状態を残してバーを体に引き付けるように肩甲骨を寄せるようにすると背中全体に刺激がのって効かせるデッドリフトが出来るでしょう。

⑥バーを下ろす動作で腰を痛める原因

ここも非常に危険なポジションです。多少フォームが崩れてもこの時点ではケガをしないと思いますが、複数回行う中ではとても重要です。このポイントでのフォームの乱れは次の動作を乱しますので結果的にケガつながってくるからです。
まず、バーを下ろそうとして上半身を倒してしまうと真っ先にフォームが乱れます。バーが体から離れて背中が丸まってしまうからです。バーを下ろそうとするのではなくお尻を後ろに突き出す動作を最初に行ってください。

この動作をヒップヒンジといいます。基本的に膝を動かさずに胸を正面に向けたまま、お尻をまっすぐ後ろに突き出していけばOKです。自然とバーが下に下がっていきます。大体バーが膝を超えて下に下がってきたときにハムストリングスのストレッチを感じるはずですので、そこから少しずつ膝を曲げて更にバーを下ろしてください。

ハムストリングスに全く力が入っていない、ストレッチもかからない状態では膝が先行して曲がりだしますのでバーを上手く下ろせなくなりますし、背中が丸くなります。ヒップヒンジの動作をしっかりマスターして正しくデッドリフトを行いましょう。

佐々木大地監修トレーナーからのアドバイス

NSPAパーソナルトレーナー

基本的にデッドリフトはヒップヒンジを正確に行う事が最重要です。お尻をまっすぐ後ろに突き出して、まっすぐ戻す。この繰り返しが正確に出来れば特にケガをする危険が多い種目ではなくなります。デッドリフトが正確に出来ない方は、ルーマニアンデッドリフトやグッドモーニング、ヒップスラストなどのヒップヒンジの動作に特化した種目を取り入れるのも良いでしょう。

腰痛の原因|フォームの乱れだけじゃない?

ここまで紹介した内容を全てクリアしても腰痛に悩まされる方もいるかもしれません。それはデッドリフトが引き金ではあったかもしれませんが原因は別のところにある可能性もあります。原因になりそうな要因をいくつか紹介していきたいと思います。

①練習頻度が高い

デッドリフトは特殊な種目で、スクワットやベンチプレスと同じように全身を動員する種目ではありますが、特に体幹部姿勢筋の疲労蓄積が他の種目とは段違いです。ベンチプレスやスクワットは高頻度トレーニングで向上が可能な部位ですが、デッドリフトは特に優位な結果は得られておりません。海外サイトですがこちらのURLからノルウェーでの実験結果が確認できます。
他の種目と大きく異なる点は四肢の筋群がメインターゲットに入ってこない事が分かりやすいでしょう。脚や腕は元々日常生活で使用される頻度が高い部位ですし、実際、腕のみの種目や脚のアイソレーション(単関節)種目などを行っても体全体にずっしりとのしかかるような疲労は感じないでしょう。

体幹部の疲労は同じように追い込んでも体にかかるストレスが高い事や、腕や脚は比較的高頻度になっても普通に生活していれば強制的に動かされる筋肉ですので、代謝循環が早く、回復が追い付きやすいのではないかと分析します。この辺は現場の方が先行している分野なので正確な情報は今後の待ちたいところですが、少なくとも中級者以上のデッドリフトに関しては高頻度になってもあまり成果は得られないのではないかと思います。

週に1回から多くてもサブのトレーニング種目で2回までくらいをオススメします。もちろんこれは年齢・性別・体力・熟練度などの条件で、回復力が皆さん異なりますので一概には言えません。

初心者はデッドリフトのやり過ぎは禁物なんですね!

佐々木大地監修トレーナーからのアドバイス

NSPAパーソナルトレーナー

はい。ただでさえデッドリフトで使用される筋肉は多くのフリーウェイト種目で使われますので、そういう意味でもデッドリフトでしっかり追い込むのは週に1度で十分かと思います。

②柔軟性のが足りない

腰椎・胸郭またはハムストリングスの柔軟性低下により、そもそも理想的なフォームを取ることが出来ない事も多いです。柔軟性が要因の場合は長期的なアプローチが必要です。

ハムストリングスの柔軟性が低い場合はヒップヒンジの動作でお尻が下がってしまいますので分かりやすいです。胸郭や腰椎が極端に硬い場合、デッドリフトで疲労が蓄積してすぐに痛みが出る事もあります。硬く癒着している筋膜や筋肉そのものが傷んでしまい、酷い筋肉痛のような症状が出る事もしばしば。体幹をひねるストレッチやフォームローラーなどを使った腹筋のストレッチ、下肢筋群の筋膜リリースなどを行うようにしましょう。

③ウォーミングアップが足りない

そもそもの柔軟性もですが、筋肉が冷え切っていては普段ならケガをしない方でもデッドリフトやスクワットなどの体幹部にストレスが強い種目を行えば、固まった筋肉がケガをするリスクが強いでしょう。特に冬場は要注意です。5~10分程度の軽く汗ばむくらいの有酸素運動で全身を温めと30秒から1分以内のストレッチで可動域を確保し、いきなりメインセットに入るのではなく、実施の前に軽い重量を使用したフォームチェック兼ウォーミングアップを各個人のレベルにもよりますが、2~3セット程度行う様にしましょう。

150㎏程度でメインセットを組む場合は60㎏→100㎏→130㎏といった具合に行います。この時オールアウトするような回数を行ってしまうとウォーミングアップを超えてしまい、メインセットでの出力低下が起こります。これだけやれば十分に神経系が高められてより力を発揮しやすくなります。これだけでも20~30分程度かかると思いますが、ケガの予防とパフォーマンスアップを考えると、むしろ必ずやるべき過程ではないでしょうか?

④そもそもデッドリフトが原因ではない?

睡眠不足や慢性疲労、ストレスやそれに伴う血行不良、内臓系疾患など例を挙げればきりがないですが、それほど腰痛はさまざまな要因が絡んできますので一概に「コレ」という答えは専門の医者でも出せない事が多いのが現実です。

通常のデッドリフトによる腰痛が怖い人にオススメの種目

本来であれば基本のデッドリフトが完璧に出来る様に練習を重ねて欲しいですが、そんなに時間が掛かることはしたくない方やケガが怖くて無理だという方にオススメの種目を紹介します。

①ワイドスタンスデッドリフト

両足を大きく開いたスタンスで行うデッドリフトです。肩幅の1.5倍~2倍程度に足のスタンスをとり、膝と足を外側に向けて行うデッドリフトです。このスタンスはパワーリフティングの競技でよく見るスタンスで、アジア系の選手が好んで行います。アジア人は体系的にこのスタンスの方が重量を扱いやすい選手は多いと思います。

背中を立てた状態で腰を落とすことが出来てなおかつ可動域が狭くなります。動かす範囲が狭くなれば同然ケガのリスクは下がります。スクワットの要素も入ってきますので、内転筋群や殿筋群の筋力が弱い方は逆に記録が落ちるかもしれません。

②ハーフデッドリフト(ラックプル)

この形をトップサイドデッドリフトと呼ぶ方もいらっしゃいますが、海外ではラックプルという言い方が一般的です。膝元〜膝上くらいにバーをセットします。デッドリフトの中でもヒップヒンジと肩甲骨の引き寄せのみを行うような形の種目です。ハムストリングスへの刺激は減り、大殿筋や脊柱起立筋群、僧帽筋・広背筋など背中の上部にある筋肉まで鍛えられます。

ストレッチの動作が入らなくなるのでデッドリフト特有のケガに関してはリスクを大幅に減らすことが出来ます。背中全体の厚みを付ける種目として非常に効果的です。可動域が狭いのでかなりの高重量を扱う事が可能になります。それに伴って別の問題が出てきます。まずリストストラップを使用しないと握力が全く持たなくなります。そして高重量を扱うので頻度と強度を考えないと腰に限らず肩や首、背骨など様々な部位に負担がかかります。体が重りにつぶされないように考えて重量を選択する必要がありますので、実施の際は軽めの重量から少しずつ調整していきましょう。

トップサイドデッドリフト(ラックプル)のやり方については、以下の記事に詳しく解説してあります。ぜひ参考にしてください。

佐々木大地監修トレーナーからのアドバイス

NSPAパーソナルトレーナー

以下の記事でも同じようなコメントをしておりますが、人間の体は千差万別で見様見真似は危険です。必ず知識と経験のあるトレーナーに師事して素直にその方の知識を吸収してトレーニングに臨んでください。自分一人で考えてやるよりもずっと効率的で自分に合った正しいフォームが作れます。自分の限界に挑むときも、安全に無理のない様行ってください。ケガをしてしまえば元も子もないですから。