クエン酸の効果と摂取方法とは?疲労回復効果は嘘!?

監修者

谷 俊治

全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会(NESTA)認定パーソナルフィットネストレーナー EBFA(Evidence Based Fitness Academy)認定ベアフットトレーニングスペシャリストLevel1-2 日本コアコンディショニング協会(jcca)ベーシックインストラクター 中学・高等学校教諭第一種免許(保健体育) BSACオーシャンダイバープラス

【プロトレーナー解説】クエン酸の効果と言えば「疲労回復」が真っ先に挙げられますが、これは科学的に証明された効果ではありません。正しいクエン酸の効果と、その摂取方法を解説します。正しい知識を持ってクエン酸と付き合いましょう。

クエン酸とは

クエン酸って疲労回復などでいいっていうイメージですが、特に筋トレやランニングをした後に意識して摂ったことはありません。クエン酸って一体何者なんですか?

谷 俊治監修トレーナーからのアドバイス

全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会(NESTA)認定パーソナルフィットネストレーナー EBFA(Evidence Based Fitness Academy)認定ベアフットトレーニングスペシャリストLevel1-2 日本コアコンディショニング協会(jcca)ベーシックインストラクター 中学・高等学校教諭第一種免許(保健体育) BSACオーシャンダイバープラス

クエン酸の効果については、多くの勘違いがされています。例えば「疲労回復」ですが、これも科学的にしっかりと裏付けされたものではありません。クエン酸の正しい効果と、その摂取方法について解説します。

クエン酸は人間や動物に多く含まれている有機成分のことであり、食品類の酸味の元となる成分でもあります。そして、クエン酸の効果についてですが、国立栄養研究所の素材情報データベースにおいては、

「ヒトでの有効性については信頼できる十分なデータは見当たらない。」とし、また安全性についても、
「食事からの摂取はおそらく安全だが、サプリメントなどの濃縮物の摂取する場合の安全性に関しては信頼できる十分なデータは見当たらない。」とされています。

【参考文献】
『クエン酸』(「健康食品」の安全性・有効性情報)

クエン酸に疲労回復の効果がある、といったことやダイエット効果があるというのは果たして正しいのでしょうか?

クエン酸の効果を考える上で重要なキーワードは「クエン酸回路の活性化」です。
そもそも、「クエン酸回路」とは体内の脂質燃焼を促進することができる唯一の物質です。その燃焼された脂肪からエネルギーが産生され、この一連のサイクルを「クエン酸回路」と言います。クエン酸回路が活性化されることで、より多くのエネルギーが産生されるため「クエン酸回路の活性化」が重要となります。

しかし、クエン酸は基本的に体内で合成されるため、体外から摂取をしてもクエン酸回路への直接的な効果は期待出来ないでしょう。

ではクエン酸が持つ効果とは何なのでしょうか?以下に紹介します。

1.食欲増進

クエン酸は「酸」であり、その酸味が唾液の分泌を促進し、唾液に含まれる消化酵素によって胃腸の活動がサポートされるため、食欲増進に繋がります。

2.キレート作用

クエン酸は金属イオンと結合する性質を持ち、この性質をキレート作用と呼びます。キレート作用とは、吸収率が悪いと言われているミネラル成分の吸収率を促進させる作用を持ちます。この作用のおかげで、体内に取り込まれたカルシウムや亜鉛等のミネラルが包み込まれて吸収率を上げると共に酸化を防止します。

クエン酸に疲労回復効果があると言われる理由は?

谷 俊治監修トレーナーからのアドバイス

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クエン酸の効果について紹介しましたが、最も信じられている「疲労回復効果」について解説します。これは実は科学的に支持されている効果ではないのです。

えー!!そうなんですか!?クエン酸といえば疲労回復と思ってました…。

疲労回復はない!?

実はクエン酸に疲労を直接的に回復させる効果があると裏付けされている実験結果は十分にはありません。中には、運動の前にクエン酸を摂取することで血液中のpHの低下を抑制した、つまりヒトの活動のパフォーマンスを改善したという結果もありますが、十分ではありません。

しかし、考えられる要素としては、クエン酸には
「ミネラルを吸収率を高める」
 ↓
「内臓の働きを助ける」
 ↓
「クエン酸回路等のサイクルがスムーズに行われやすくなる」
 ↓
「エネルギー代謝が効率的に行われるため疲労が残りにくく、取れやすい」

ということが挙げられます。

ダイエット

ダイエット効果についてはどうでしょうか?クエン酸とダイエットの関係性は、クエン酸と疲労回復との関係性と類似しています。

繰り返しになりますが、クエン酸には「ミネラルの吸収率を高め」、「内臓の働きを助ける」効果があり、内臓の活動が活発になると基礎代謝が上がることから、結果的にダイエットに効果があると言えるでしょう。

谷 俊治監修トレーナーからのアドバイス

全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会(NESTA)認定パーソナルフィットネストレーナー EBFA(Evidence Based Fitness Academy)認定ベアフットトレーニングスペシャリストLevel1-2 日本コアコンディショニング協会(jcca)ベーシックインストラクター 中学・高等学校教諭第一種免許(保健体育) BSACオーシャンダイバープラス

基礎代謝には、筋肉量もありますが、内臓での消費比率が高いため、内臓の働きをスムーズに活性化できると考えることはクエン酸の効果の一つとして挙げてもいいかもしれませんね。

クエン酸と一緒に摂るといい栄養成分

グレープフルーツや梅干し等クエン酸が含まれている食品やクエン酸サプリメント単体だけでも、様々な効果を期待できます。
しかし、せっかくクエン酸が豊富に含まれている食品やサプリメントを摂るのであれば、クエン酸の効果をサポートしたり高める栄養分を共に摂取しましょう。

1.ビタミンB群

ビタミンB群は疲労回復に有効的です。また、ビタミンB2はATPサイクルをサポートする栄養素であり、クエン酸と共に摂取することで効率良くエネルギー産生がされます。

2.糖分

糖分は体内ですぐにエネルギーとなってくれる成分であり、短期に疲労を軽減するために活躍します。

筋肉疲労はおおまかに長期的な疲労と短期的な疲労の2つ分類されます。
前者の長期的な疲労とはヘビーなトレーニング後、回復に数日間設けられる疲労のことを言います。一方で短期的な疲労とは、回復に数日間設けられず、筋肉の回復を急がなければならないことを指します。
この短期的な疲労を回復するためには運動直後にエアロビクスやジョギング等の有酸素運動を行うことが効果的だとされています。そして、これらの運動や筋肉疲労を回復をするためには糖分(炭水化物)が大切です。

そこでクエン酸と糖分を同時摂取することで、それぞれの効果を高めることができます。クエン酸を摂取する時は、この2つを同時摂取することを意識しましょう。

谷 俊治監修トレーナーからのアドバイス

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短期的疲労・長期的疲労ともに軽めの有酸素運動は効果的な理由は、血液の流れを促進し、全身へ新鮮な酸素を送ることが疲労回復に役立つためです。

クエン酸サプリメントの効果的な摂り方

クエン酸の摂取目安量は2g/日です。
疲労が貯まりやすかったり、ハードな筋トレや運動を規則的に行っている方は5g/日と多めに摂ることをオススメします。クエン酸が含まれているサプリメントを摂る時はメーカーが規定している摂取回数や時間帯に添って摂取することが大切です。

サプリメントと食品共通して以下のことを意識して摂りましょう。

1.こまめにわけて摂取する

サプリメントも食品も一日分のクエン酸を一気に摂ればいいというわけではありません。
クエン酸は役割を果たした後に体内には残らずに排泄されてしまうため、一気に飲んでも作用は続きません。
こまめに摂ることで、その作用は一日中働きます。

2.ビタミンB群と一緒に摂取する

前述でも説明しましたが、クエン酸はビタミンB群と共に摂取することで効果が高まります。
ビタミンB群を含むサプリメンを同時摂取したり、ビタミンB群が含まれている食品をサプリメント摂取前に摂ることをオススメします。

3.筋トレや運動後は糖分を摂取する

筋トレや運動後は筋肉疲労が起きたり、体力が消耗されている状態となります。
回復するためには、糖分とクエン酸を一緒に摂取することをオススメします。
クエン酸と糖分を含む100%のジュースを補給しましょう。

クエン酸サプリメントで副作用が生じることは報告されていませんが、摂取目安量を守って安全に摂取しましょう。

クエン酸の本当の効果とは?

クエン酸には食欲の促進や内臓の活動を活発化することによるダイエット効果など、一定の効果が期待できるものはありますが、これらも決してクエン酸の摂取だけで十分に効果が得られるものではありません。
また、一般的に信じられている疲労回復についても決して科学的に支持されている効果ではないということも覚えておきたいですね。

クエン酸に頼るのではなくて、場合によっては摂ることによって効果を感じられる事も考えられるが、何よりも基本的なバランスの良い食事あってのこと」ということを忘れないようにしてください。

また、サプリメントでのクエン酸摂取よりも、自然の食材の方が総合的に効果を感じられやすいです。サプリメントは飽くまで補助であるということも覚えておきましょう。

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